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蝙蝠と梟

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1部分:第一章


第一章

                         蝙蝠と梟
 夜のお空にです。蝙蝠がいました。
 蝙蝠は黄色い満月を見ながら飛んでいます。その中で、です。
 一匹で飛んでいてです。こう言うのでした。
「寂しいなあ」
 一匹でいることにです。こう感じたのです。
 それで誰かいないかと思っているとです。下の方から声が聞こえてきました。
「おおい、一匹なのかい?」
「一匹って?」
「そう、君は一匹なのかい?」
 こう蝙蝠に尋ねてきたのです」
「見たところそうみたいだけれど」
「そうだよ。一匹だよ」
 蝙蝠は下の声に応えて言いました。
「僕一人なんだよ」
「そうなんだ。それじゃあさ」
「それじゃあって?」
「こっちに来ないかい?」
 声はこう蝙蝠を誘ってきたのでした。
「僕のところにね。来ないかい?」
「そうだね。それじゃあね」
 蝙蝠もです。一匹でいても仕方がないのでその言葉に頷きました。
 そのうえで、です。その声に応えてです。
 彼は下に降りました。するとそこにいたのは。
 木の枝にです。梟がいました。大きな金色の目を持った梟がです。
 彼がです。蝙蝠に言ってきたのです。
「やあ、来てくれたね」
「あれっ、梟君だったんだ」
「そうだよ。僕もね」
 梟もだというのです。蝙蝠に対して。
「一羽しかいないんだ」
「御友達とかいないんだ」
「君はいる?逆に尋ねるけれど」
「いないよ」
 蝙蝠は寂しい顔で梟に答えます。梟の前で羽ばたいて飛びながら。
「残念だけれどね」
「そう、いないんだ」
「夜には誰もいないから」
 多くの動物は昼に飛びます。だからです。
「生まれた時からずっとね」
「君も一匹なんだね」
「君もだね」
「同じだよ。夜には誰も飛ばないよ」
 梟もです。事情は同じでした。
「だからね」
「そうだよね。夜って寂しいよね」
「とてもね」
「夜は嫌だよ」
 蝙蝠は寂しい顔のままで言います。
「誰もいないから」
「けれどさ」
 ここで梟はこんなことを言ってきました。
「僕達はいるよね」
「僕達って?」
「そう。僕と蝙蝠君はね」
 梟はその蝙蝠を見てお話するのでした。
「僕達はいるよね」
「それはそうだけれど」
「一緒にいるならそれなら」
 どうかとです。梟はお話を進めていきます。
「友達にならない?」
「友達に?」
「そう、友達になろうよ」
 梟は蝙蝠をその金色の大きな目で見ながらお話します。100
「御互いにね」
「確かに僕も友達はいないし」
「僕もだよ」
「それじゃあ」
 御互いにそうだとわかってです。蝙蝠もでした。
 納得した顔になってそれでなのでした。梟に答えます。
「うん、それじゃあね」
「友達にね」
「なろうね」
 こう話し合い決めたのでした。こうしてでした。
 
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