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最後の突撃

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第四章

 一瞬で止めてだ、すぐにだった。
「戦車を前に出せ」
「装甲車もだ」
「機関銃で撃ってしまえ」
「それで敵の動きを止めろ」
「ポーランド騎兵でも戦車に勝てるか」
「戦車は無敵だぞ」 
 戦車は最早彼等の心の支えにさえなっていた、その戦車をだ。
 前に出して騎兵に向ける、そして。
 それと共にだ、装甲車も出して戦車や装甲車の間から機関銃を持った歩兵を配置した。そうして敵を防ごうとするが。
 ナストゥラは馬を駆けさせながら冷静にだ、こう命じた。
「いいか、ここはだ」
「はい、戦車は手榴弾ですね」
「それを投げ付けてですね」
「装甲車もだ、それで吹き飛ばせ」
 そうして倒せというのだ。
「歩兵は遠間からは拳銃だ」
「それで撃って倒して」
「接近すれば」
「斬れ」
 それぞれが持っているサーベルで、というのだ。
「いいな」
「わかってます」
「それじゃあこれから」
「よし、攻めましょう」
「今から」
「私の指示があるまで暴れ回れ」
 そして戦えというのだ。
「わかったな」
「了解です」
「ではやりましょう」
「俺達の戦いを見せてやって」
「ドイツ軍を退けてやりましょう」
 大隊の騎兵達も勇ましい声で応える、そしてだった。
 騎兵達は敵が攻めるよりもだ、素早くだった。
 突き進んだ、まずは手榴弾を投げて。
 戦車や装甲車にダメージを与える、装甲の弱い一号戦車や装甲車はそれでダメージを受けて動けなくなっていた。
 攻撃不能になった戦車、装甲車も出ていた。それを見てだった。
 ナストゥラはマリシュにだ、こう命じた。
「次はだ」
「はい、歩兵ですね」
「前に出ている戦車や装甲車は潰した、次はだ」
「歩兵ですね」
「オートバイはだ」
 この場合サイドカーも含まれる。
「撃て」
「拳銃で、ですね」
「そうだ、そうして倒してだ」
「相手は主に歩兵ですね」
「歩兵は騎兵に勝てない」
 古来より言われていることをだ、彼も言うのだった。
「だからだ」
「歩兵には突っ込んで」
「サーベルで斬れ」
 指示は一言だった。
「先程言った通りだ」
「了解です、では」
 マリシュも頷く、こうしてだった。
 彼等はこのまま突き進みだ、歩兵達にサーベルを向ける。彼等は機関銃を放つまでもなく逃げるしかなかった。
「逃げろ!」
「この場合は仕方ない!」
「相手が騎兵だと無理だ!」
 将校達もこう言うしかなかった、それでだった。 
 歩兵達は斬られるよりも逃げる、無論騎兵達は追う。戦いは最早一方的だった。
 しかしだ、ナストゥラは攻撃を一時間程続けてからこう命じた。 
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