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最後の突撃

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第五章

「ではだ」
「もう、ですか」
「これで、ですか」
「撤退だ」
 こう命じたのだった。
「トルニまでな」
「わかりました、では後は」
「そのトルニで、ですね」
「反撃ですね」
「今度は師団単位で」
「そうなる、全員撤退だ」
 攻撃を止めて、というのだ。
「わかったな」
「了解です」
「では」
「もう少し暴れたかったですが」
「仕方ない、ではな」
 ナストゥラは血気盛んな部下達も宥めそうしてだった。
 そのうえでだ、こう言うのだった。
「トルニまで下がるぞ」
「そしてそこで師団全体として」
「ドイツ軍に反撃ですな」
「そして今度こそ」
「奴等を押し返しましょう」
「師団長も諦めておられぬ」
 彼等の大隊の上司である彼もというのだ。
「必ずな」
「では次の戦の為に」
「戦いましょう」
「是非共」
「そうしましょう」
 部下達もその気になっていた、それでだった。
 彼等はトルニまで退いた、だがそこで彼等はその血気を完全に消し去る様なことを師団司令部から来た将校に告げられた。
「何っ、ドイツ軍だけでなくか」
「ソ連軍まで来たのか」
「はい、東部の国境を越えて」
 その将校はナストゥラとマリシュにも話した。
「そしてです」
「攻め込んで来たのか」
「そうなのか」
「まさかソ連軍まで来るとは」
「ドイツ軍だけでなく」
「そして我が師団はです」
 その将校はさらに言った。
「このトルニを撤退してワルシャワ防衛にあたることになりました」
「ワルシャワ防衛の師団がソ連軍に向かってか」
「はい、まさにそれで」
「そうなのか」
「とにかくです」
 連絡役の将校も深刻な顔で述べた。
「我々はワルシャワに向かいます、そのソ連軍ですが」
「どういった状況ですか?」
 キュリーが将校に尋ねた、そのことを。 
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