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ソードアート・オンライン~共鳴の宴舞台~

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SAO:アインクラッド〜共鳴しあう絆の中で〜
  森の中で

 
前書き
一行でわかる前回のあらすじ

肉持ってこいほら早く。ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3 W(`0`)W 

 

第61層 フィールドダンジョン 《森の孤島》

海に囲まれたこの階層の中の島の一つで、鬱蒼と木が茂っている島である。

「フォルテ君、知っているかい?ラグーラビットはS級食材。とっても珍しいんだよ」
「知ってますよー」
「ということはそう簡単に見つからないよね。フォルテ君」
「そうですねー」
「何か作戦はあるのかい?」
「ありませんが?」
「このやろおおおおおお!!!」

突然叫び声をあげたルイン。一体どうしたというのか。

対するフォルテは特に気にもしていないようで、歩き続けている。

「なんの策もなしにあんな超級レアモンスターなんぞ見つけられるかあああ!」
「その策を今やってるんですから、邪魔しないでくださいよ。」
「策あるんかい!?」
「もちろんでしょう?もしかしてルイン なんの策もなしにあんな超級レアモンスター見つけられると思ってました?」
「うわっ…… 嫌な奴だ……」
「あっはっはっはー(棒)」

そうするとフォルテは森の中の、少し開けた場所で仁王立ちになった。

「あーなるほどな」
「はい。なので黙っててくださいね」
「あいよ。りょーかい」

BGMと、木の葉の音しか聞こえないような状況。

ここでフォルテは、ゆっくりと背中に手を伸ばした。否、手が向かったのは、背中にある武器。

掴んだ黒い柄の先には、真っ黒な球体がついていて、細く線が入っている。大きなマイクのような形だ。

片手棍カテゴリの武器。銘を《音道を照らす者(サウンドロード・イルミネイター)》という。

フォルテはそれを掲げ……

「はあぁッ!」

木に叩きつけた。
コオォォォォォォン……

意外にも綺麗な音が鳴り響く。

が、

「……ダメですね。この近くにはいないようです」
「だよなー…… まぁ流石に一発で見つかるとは思ってなかったけどな」
「とりあえず、次の場所に移動しましょう」
「りょーかい」

場所を変えては叩きつけ、を何度も繰り返す。

普通に出てくる雑魚モンスターを倒しつつ、探索を進めること十数分。

ルインが真面目にここにpopしてないんじゃね説を提唱し始めた頃だった。

コオォォォォォォン……

ルインにとっては何度も聞いた音。

しかし、フォルテはその違いを明確に感じ取っていた。

彼は自信満々に一点を指差し、言い放った。

「こっちの方向の600メートルくらい先に一体だけいるのを、確認しました。行きましょう。」
「あいよ。何時間もかからないで見つけられたのは運がいいな。全く、便利な耳してんなぁ!」
「こんなことにしか使えなさそうですけどね」

フォルテの耳。ルインはそのことを褒めていた。

フォルテの耳に何があるのか?説明しよう。

まず初めに、彼はとてつもなく耳がいい。これが一つ目の才能だが、それだけならまだ普通の領域だ。

だが彼は偶然にも、フクロウのような形の耳の穴をしていた。

左右の耳で形が違うのだ。それによって、どの方向から聞こえる音なのかがはっきりわかる。

生まれ持ったこの二つの才能は、彼の耳を強くさせた。

どんなに小さな音でも、どんなに遠くの音でも、拾うことのできる『聴覚』

どの方向からの音なのか、瞬時に知ることのできる『才能』

その二つを合わせて、その音がどのくらいの距離の、どの方向の、なんの音なのか、判断することのできる『技術』

本来このゲームの中には、そんな才能は反映されない。だが、彼の技術だけは このゲームの中でも残っていた。

簡単に言えば、彼は木を叩いて出した音が跳ね返ってきたのを聞いて、周囲に何があるのか、おぼろげにだが把握したのだ。

「説明長い」
「どうしました? ルイン」
「あ、いや、なんでもない」
「? あ、いましたよ」

動きはゆっくりと、声は小さく。

これ以上ないほど慎重に、彼らは戦闘体制へと移行する。

「どっちがやる? 俺の大剣もお前の片手棍も、狩りには向いてないぞ」
「ルインの突進技ならなんとかなるかもしれません。最善とは言えませんが、今はこれしかないでしょう」
「りょーかい」

二人の間から音が消える。

出るはずがないのに、全身から汗が吹き出るような錯覚を受けるほど、二人は緊張していた。

その緊張の糸が千切れるのは、突然だった。

「フォルテー! 加勢しにきたぞー!」
「「!?」」

大声で、我らがリーダーリークさんが後ろから抱きついてきた。今度はがっちりと。

その反動で、フォルテは前に倒れこんだ。ちょうど、ラグー・ラビットの目の前に。

つまり……

「あ…… 逃げちゃいました……」
「ちょ、何やってんすか!? リークさん!」
「えへへー 今度は離さないぞー」
「なに? この人酔ってない!? SAOの中だと酔わないんじゃねぇのかよ! つかうちのギルドそんなに余裕ないぞ!? そしてそこ! フォルテ! にやけてんぞ!」
「え? に、にやけてました?」
「うん! そりゃもうバッチリと!」

一気に緩いムードになったが、超レアモンスターを逃してしまったのは惜しい。

彼らもそう思ったらしく、もう一度試してみるようだ。

ちなみにひっついているリークさんはルインが剥がした。その際、彼が「リア充爆発しろ…… リア充?ネト充か?」ってつぶやいていたのは聞かなかったことにしておこう。

「……」
「どうだ? いたか?」
「ダメですね。よほど遠くに行ったか、デスポーンしたかはわかりませんが、見つかりませんでした。」
「あぁ…… 勿体ねぇ……」
「そーだよ! なにしてるのさ! ルイン!」
「フィーネさんもそうだけどなんで悪いことがあると俺のせいになるんだろう……」
「あっはっはっはー(棒)」
「とりあえずそこら辺の豚とか狩って肉だけとろうぜ。 一応ラグラビも探しながらな。」
「また見つかるとは思えませんけどね…… さっきがラッキーすぎたんですよ」
「いくぞー! ものども続けー!」
「「なんであの人あんなに元気なの……?」」

だが、期待とは裏腹にその後、何度繰り返しても反応はなかった。

「だあー…… いねぇー……」
「やっぱりさっきのを逃したのは痛かったですね……」
「お腹すいたよ〜 ルイン〜 なんか頂戴」
「えっと…… 昼の残りならあるっすよ」
「頂戴!」
「そうですね。ちょっとだけ休憩にしますか」

リークとルインがサンドイッチを食べ始め、フォルテも食べ物をオブジェクト化した。

とてつもない量のメロンパンを。

「……」
「……」
「ん? どうひまひた?」
「「いや、別に……」」

本人はなんとも思わないのだろうか……?

その時、近くの水面に波紋が浮かび上がった。

水面から出てきたのはクジラのような風貌のモンスター。

《バルーン・ホエール》小型だが、耐久力も高く、少し遠距離から水を吐き出して攻撃してくる厄介な敵で、レアモンスターでもある。

「出てきてほしいレアモンスターはお前じゃねぇっての!」

ルインが大剣へと手を伸ばす。が

「フォルテ?」

それをフォルテが手で制した。

いつになく真剣な顔を浮かべるフォルテ。彼はゆっくりとバルーン・ホエールに近づき……

「どうぞ」

その場にメロンパンを置いた。

「「!?」」

するとバルーン・ホエールはメロンパンに近づき、匂いを嗅いで……

フォルテと固い握手(?)を交わした。

「「!?!?」」

そして二人(一人と一匹)で仲良くメロンパンを食べ始めた。

「……どゆこと?」
「フォルテ今日からビーストテイマーだね! 良かったね!」
「え? あ、それでいいの?」
「メロンパンを愛する者は……皆同志です。」
「くるぅぅ!」
「うん、お前がいいならいいや。もうなんとも思わない」
「そろそろ帰らないと、ヒナさんが寝ちゃいますね。帰りますか。」
「ステーキ……」
「別の肉でなら作れるっすよ! 落ち込まないで!」

ちなみにこの後それなりの量の肉を持って帰ったが、無駄にキラキラした目で「持ってきた……? お肉……」と聞いてきたヒナにすごい罪悪感を感じながら事情を説明し、ものすごくガッカリされた後、フォルテが連れてきたクジラをむにーってやってたフィーネさんが、ステーキ作ってる最中のルインにお仕置き(後ろから生卵ドーン)を決行して、 ステーキ失敗してリークさんにもお仕置きされた。

ちなみに卵はスクランブルエッグっぽい何かにしてスタッフ(?)が美味しくいただきました。 
 

 
後書き
メロンパン大好きとかあのキャラと同じやん……
フォルテ「ま、まぁ……そうですけど」
そしてくじらの登場ね。
フォルテ「かわいいですよね〜」
あんまり出てこないけどね。
フォルテ「えっ……?」
それじゃあ次回のお話も!
フォルテ「耳を傾けてみてくださいね!」
ばいばい〜 
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