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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another17 耄碌爺

 
前書き
全ての元凶、ゲンナイ空気を読まずに参上。 

 
目の前に現れたのは、全ての元凶、ゲンナイ…の立体映像。

アインス「久しいなゲンナイ」

ブイモン[よう、耄碌クソ爺☆。まだしぶとく生きてやがったか]

ロップモン[まだ自分は安全な池の中?]

大輔「いっそ溺れ死んじまえばいいのに」

ゲンナイ『お、お前達…久しぶりの再会で暴言か…』

ヤマト「…知り合いか?」

大輔「このクソ爺が言うには友人らしいですけど俺達からすれば自分の体たらくの不祥事を俺達に体よく押し付ける迷惑爺です…」

丈「最低だね」

キッパリと言い切る丈。
自分の体たらくによって起きた不祥事を他人に押し付けるなど誰が聞いても最低だろう。

空「それにしても私達以外にも人間がいるなんて…」

ゲンナイ『わしは人間ではあって人間ではない。』

ミミ「じゃあオバケ?」

ゲンナイ『…………いや…』

大輔「オバケの方が数十倍マシですよ。この人畜有害な耄碌クソ爺は」

ミミの率直な疑問と大輔の容赦ない発言にずるりと脱力した表情を引き締め、ゲンナイは皆に向き直った。
いつの間にか、全員がゲンナイの正面に集まっている。

ゲンナイ『今まではデビモンの妨害があってなかなか通信出来んかったが、やっと会えたのう…』

ブイモン[デビモンの妨害がなくても安全になるまで通信する気なかったろこの野郎…]

ゲンナイ『げふんげふん!!と、とにかく選ばれし子供達よ。よくやってくれた』

光子郎「は、はあ…ところで通信って…、どこからしてるんですか?」

わざとらしく話題を変えたゲンナイに呆れながらも会話が進まないと判断した光子郎は質問する。

ゲンナイ『このファイル島から遠く離れた海の向こう、サーバ大陸じゃ』

海の向こう。
数多の強敵が座す、その場所にゲンナイはいる。

ゲンナイ『詳しいことは大…』

大輔「殺すぞ」

説明を押しつけようとするゲンナイを殺意をこれでもかと内包した声で脅す。

ゲンナイ『…えーと、まずはわしのことじゃな。わしは大輔達が言ったようにゲンナイという者じゃ。この世界はお主らの世界にある、コンピュータ・ネットワークの中にある情報、つまりデータを基に作成された世界じゃ。ここは、ネットの情報やデータが物体として実体化した世界、故にデジタルワールドと呼ばれておる。その中でも、実体化したデータの内、生き物であるものの総称をデジタルモンスターというから、この世界のことをデジモンワールドと称する者達もおる。そして、この世界の安定を司っておるのが、ホメオスタシスという監視を行っておるセキュリティシステムの一端。彼の人は実体を持っておらんのでな、媒体か、手足となる存在が必要となる。その手足となってセキュリティシステムの代行を任されているのが、エージェントと呼ばれるわしのような存在なんじゃ』

光子郎「この世界が僕達の世界のコンピュータ・ネットワークを基に!!?信じられない…」

丈「じ、じゃあ僕達はつまり、パソコンの中にいるってことかい?テレビゲームやパソコンゲームじゃあるまいし、にわかには信じられないなあ。頭が痛くなってきたぞ…」

ゲンナイ『厳密にはお前達の肉体をデジタルワールドに適応出来るようにデータ化して、この世界におる』

太一「えっと…つまり…どういうことなんだヤマト?」

ヤマト「お、俺に聞くなよ…」

アインス「ふむ、簡単に言うとゲームのキャラクターに近い存在になったと考えればいい。限りなく人間に近いデータだとな」

タケル「ゲームのキャラクター?」

アインス「そうだな、イメージ的にはそうだ。しかしデータ化したとしても怪我をすれば痛みを感じる。つまり取り返しのつかない怪我をすれば命に関わることも変わらないということだ。データだからといって過信はいかんぞ過信は」

チラリと大輔以外のメンバーを見遣れば、上級生組は投げやりになりかけていた自分を鑑みてぞっとしていたらしい。
変な沈黙が漂う。

タケル「えっと…僕達はどうやったら元の世界に帰れるの?」

アインス「(ナイスだ高石)」

ゲンナイ『それはじゃな…』

ザザ…っと映像が揺らぎ始めた。

ゲンナイ『いかん、通信が…サーバ大陸へ来て敵を倒してくれ。選ばれし子供達よ。選ばれし子供達なら出来るはずじゃ…』

光子郎「こ……、来いと言われても場所が分かりません」

太一「そこかよ!!?」

ゲンナイ『あ、すまん。地図をすぐに送る。それからお前達にこれを転送する』

光と共に太一達の元に転送されたのは、かつての太一達の必須アイテムのタグであった。
しかも今回は9人分。

ミミ「何これ?ペンダント?」

ゲンナイ『これはタグと言ってな。これに紋章というアイテムをはめることで、アグモン達は完全体に進化させることが出来る』

紋章とタグを映す。

アグモン[僕達が完全体に!!?]

ゲンナイ『大輔とアインスはデジメンタルのことを考えて、2人の紋章は他の物とは違い、進化持続時間の延長の効力を持っておる。』

大輔とアインスのパートナーデジモンはアーマー進化主体だ。
元々進化持続時間が短いゴールドブイドラモン、マグナモン、ラピッドモンに進化するには喉から手が出るほどに欲しい。

大輔「ゲンナイさん。俺少しだけあんたを見直したぞ」

アインス「ああ、本当に少しだけ見直した」

ゲンナイ『…すまん、そろそろ本当に通信が…後は頼んだぞ選ばれし子供達よ…サーバ…陸…』

キィン、と高くハウリングのような音が響き、それに驚いた皆が閉じた目を開けた時、ゲンナイ老人の立体映像は、跡形もなく消え去ってしまっていたのだった。

光子郎「…地図は無事届いたみたい、です」

空「これから…どうする?」

太一「とにかく山を降りようぜ!!何か食って元気出して、決めんのはそれからだ!!」

大輔「そうですね。」

アインス「今日は高石とパタモンの好きな物を作るからな?」

タケル「本当!!?」

アインス「頑張ったからな」

パタモン[わあい!!]

はしゃぐタケルとパタモンを見て、一同は笑みを浮かべた。




































清らかな水が絶えず湧き出る泉の辺で、久しぶりにゆっくりと過ごせる夜。
一口食べるごとに、飲むごとに、言葉を交わすごとに、張り詰めていた心も身体も緩やかに解けていくのを感じる。

全員【ご馳走様!!】

アインス「お粗末様」

美味しい手料理に、全員が満足そうな表情だ。

大輔「ふう…やっと落ち着けるな」

テントモン[腹一杯になったら、なんか眠なってきよりましたな]

呑気な台詞が言えるのも、生きているからだ。
今の自分達ならそれがどんなに素晴らしいことか分かる。

太一「さて、飯も食ったしこれからのこと決めようぜ!!」

太一が元気よく立ち上がる。
英気を養ったその瞳は、迷いなく勇ましい。

空「ゲンナイさんは、サーバ大陸に来いって言ってたわよね…」

隣に座っている空が、太一を見上げる。
光子郎がゲンナイから送られてきた地図データを開いて皆に見せた。

光子郎「この地図が正しければ、ここからかなり離れてるはずです」

ファイル島であろう小さな島は、大陸からかなり離れており、とても1日2日では辿り着けそうにない。

ミミ「私25メートルも泳げないんだもん。そんなの無理!!」

アインス「例え遠泳の世界チャンピオンでもこの距離を泳いでいくなんて確実に無理だろう。深海魚とご挨拶する羽目になり、魚の餌となるだろう。」

大輔「…筏で行くしかないですよ。何日かかっても。イッカクモンに引っ張って貰えれば楽なんでしょうけど」

ゴマモン[そんな距離泳げないって…]

大輔「だろうな」

期待していなかった大輔はアッサリと諦める。
それはそれで複雑なゴマモン。

丈「まさか行く気かい?」

全員【?】

丈「この島からデビモンはいなくなった。黒い歯車も消えた。ほぼ一周したからどんな場所もだいたい分かるし、水も食べ物も困らない」

空「どういう…意味?」

思わず問いかけた空に、丈の演説はさらに力強くなる。

丈「あのゲンナイって奴のこと、簡単に信じていいのか?そりゃあ大輔君達の知り合いかもしれないけどデビモンの件もある。ゲンナイって奴になりすました奴の罠の可能性も捨てきれないじゃないか」

たまらず太一は丈に食ってかかる。

太一「何弱気になってんだよ!!ここに居続けたって、元の世界には戻れないんだぞ!!?」

丈「そ、そりゃあそうだけどさ…」

アインス「まあ、気持ちは分からなくはないがな」

危険を冒してまで、新天地向かう価値がどれだけあるのか。
それを考えれば確かに丈の気持ちは分からなくはない。

大輔「でも今回は太一さんに賛成ですね。危険がある分、得る物もでかいでしょう」

丈「でも…」

大輔「だったら丈さんだけ残ったらどうです?」

丈「う…」

冷たい視線をくれてやり、丈を強制的に黙らせた。

タケル「行こうよ。」

ヤマト「タケル?」

タケル「行こうよ!!どんな敵が待ってるか分かんないけど、やってみようよっ!!」

パタモン[みんなで頑張れば何とかなるよ!!]

大輔「タケル…パタモン…」

大輔はタケルを見る。
少しずつタケルは変わり始めている。

大輔「そうだな、行ってみっか。大丈夫だ。いざとなったらみんなは俺が守る。」

アインス「私はお前について行くぞ」

太一「お前ばっかにいい格好させるかよ!!行くぞアグモン!!」
アグモン[うん!!紋章さえあれば完全体に進化出来て今より強くなれるんだ]

ピヨモン[空、行きましょ?私が絶対空のこと守るわ!!]

空「…そうね、行きましょう!!」

テントモン[何とかなりますて、光子郎はん]

光子郎「そうですねっ」

パルモン[サーバ大陸には私より綺麗な花はないだろうけどさっ]

ミミ「なーに言っちゃってるのよ、もうっ」

ゴマモン[おいらは泳いで海を渡れるしねっ♪]

丈「わかったよ、僕も行く」

ガブモン[ヤマト、行こうよ!!]

ヤマト「ああ、行こう!!」

ブイモン[覚悟を決めたか?じゃあ行くぞサーバ大陸に!!!!]

全員【おーーーっ!!!!】

呼応する全員の掛け声が、空気を爽やかに震わせた。 
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