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真・恋姫無双〜中華に響く熱き歌

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閑話 それぞれの管理者


三姉妹が宿で夜を過ごしていた頃のとある空間での話


「・・・少々予定が狂ってしまいましたね。」
そう呟くのは目の前に置いてある水晶を覗きながら端整な顔を歪ませる眼鏡の男である。
「この様子だと、この『太平天国の書』を受け取ることはまず無いでしょう。」
そう言いながら自分の懐から古臭い一冊の本を取り出す。
「本来なら、精神的に弱っている彼女らに渡してこの本に悪意と憎しみの力を蓄えさせると共に、『黄巾三兄弟』の役割を果たしてもらう予定だったのに・・・」
そう言いながら、端整な顔を益々歪ませる。
「あの男のせいで、台無しですね・・・」
そう言いながら、気分を落ち着かせることにした男は、呼吸をを整え、やがて冷静になったのか、笑顔になり、
「まあ、いいでしょう。今回は渡せなかったが、やり方次第でどうにでもなる。」
「とにかく、流れを壊さなければいい。最悪あの3人を操ればなんとかなりますしね。」
そう言いながらふふふと笑い、何の問題は無いと言わんばかりの様子である。
「しかし・・・あの男、熱気バサラと言いましたか、何者なんでしょうか?あんな男聞いたこともありませんが・・・」
「『天の御使い』の役目は『北郷一刀』ただ1人のはず。
それは変わらないはず。
なのに、あの3人に多大な影響を与えるほどの存在、ましてやこの『三国志』の『外史』においては女性の方があらゆる能力で優遇されているはずなのに、なぜ男性である彼がそれ程の影響力を?
天の御使いでもないあの男がなぜ?」
そこまで口にしてから、思考に没頭する。
彼の名前からして、彼も北郷一刀のように、三国志の登場人物で無いのは分かるが・・・ただの人間ではこんなのは、あり得ない。
なにせ、天の御使いというイレギュラーを投入し、三国のいずれかに仕えても、三国志の大方の流れは変わらず、結末がそれぞれで変わる、言わば天の御使いによる乱世の平定の物語。
そしてその始まりが三国志の始まりとも言える黄巾の乱、その鎮圧に参戦することにより、物語の表舞台に登場することになる。
それをあの男は、台無しにするところだった。
危険だ。
あの男は、危険だ。
どうにかする必要がある。
そこまで考え、
「あの熱気バサラという男が何者なのか、取り敢えず調べる必要がありますね。」
そう言って、その空間から姿を消し、何処かへ去った。





同じ頃、バサラ一行が泊まる宿の近くにて


「貂蟬よ、あのおのこがお主の話していた者か。」
「そうよ〜ん。ご主人様とはまた違うタイプのいい男よん。」
そう会話している2人組がバサラについて話していた。
片方は、もみあげをおさげにしており、着ているものはピンク色のブーメランタイプの水着のようなものだけである。
こちらは貂蟬。
もう片方は髪が白色であり、弥生時代の人間のような髪型をしており、口元にはりっぱな口髭を蓄えている。
そして着ているものは白いふんどしに申し訳ない程度に乳首だけを隠した胸当てのようなものを身につけている。
その上から黒いコートのような物を羽織り、蝶ネクタイを着けている。
こちらは名を卑弥呼という。
なお、2人とも筋骨隆々な体つきをしており、見た目かなり暑苦しく、変態にしか見えない。

「うむ、お主がそこまでいうからどれほどのものか昨日から見ていたが、あそこまで熱いおのこだとは思わんかったぞ。」
「でしょう、あの人の熱さはご主人様にも無いものよん。だから、彼ならこの外史を変えてくれると思ったのよん。」
「うむ。しかし、なぜあのおのこをこの外史に連れて来たのだ?ダーリンが居ればどこの勢力に所属しても外史は進むのではないか?」
卑弥呼がそう質問する。
「う〜ん、そうなんだけど、な〜んか嫌な予感がするのよねん。」
「嫌な予感、とな?」
「ええ、なんかこの外史、おかしいのよねん。
この三国志の外史ってえ、有名か有能な武将や文官がだいたい女の子になるじゃない?
それが周倉や満寵が男性なのよん。」
「たまたまではないのかの?」
「それが、他にも居るみたいなのよん。まあ、そこまで多い数では無いけど、これまでの外史と比べたら異常な数だわん。」
「ふむ、我らにとっては嬉しい限りなのだが、そういうことでは、何かあるかもしれんのう。」
「でしょう?だから、どうにかしてこの外史の流れを変えられないかと思って彼を呼んだのよん。」
「そうか。しかし、あのおのこは何者なのじゃ?お主がそういうからには余程の者じゃろうが。」
バサラについて卑弥呼が聞く。
すると貂蟬はふっと笑い
「ふふ、私も偶然知ったんだけどね、すごいってもんじゃないわん、彼。なんせ歌で戦争を止めた男よん。」
「なん、じゃと」
そう呟いて卑弥呼は驚愕した。
「それ以外にも、意思があるはずが無いと思われていた宇宙を遊泳する大きな大きなクジラ相手に歌わせてデュエットしたのよ、彼。」
貂蟬のその言葉を聞き、いろいろ聞きたいことができた卑弥呼だが、それ以上に貂蟬の前の言葉について聞くことにした。
「歌で戦争を止めたとは、どういうことじゃ?
過去、現在、未来、古今東西あらゆる英雄ですらなし得ていないことじゃぞ?
そんなことが可能なのかの?」
そう言葉にした。
それは事実であり、不可能なことだと認識している卑弥呼。
それは彼が女?王として君臨している邪馬台国においての経験がある。
それゆえに湧いた疑問。
その疑問に貂蟬は
「どういうことって、そのままの事実よん。
さっきも言った通り、知ったのは本当に偶然なんだけど、
彼の活躍、いや生き様を知った時にこの人なら、このなにかおかしい外史すら変えてくれる。
そう確信したのよん。」
そう語る貂蟬の顔は心配ないと言うようだった。
「うむ、お主がそこまで言うなら心配無いじゃろう。
それで、あのおのこの活躍が知りたいのじゃが」
「うふ、それなら後で見せてあげるわん!とっても熱い熱〜い彼の活躍をね。」
そう言った後2人の姿はいつの間にか何処へと消えていた。
 
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