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真・恋姫無双〜中華に響く熱き歌

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第10話 夢への情熱

食事処を出て、街を見てまわっているバサラ。
今まで聞いたことも無い星の文化や風習に触れ、その好奇心に火が着いたようである。
とは言っても、その表情はいつもの表情と変わらず少し気だるそうではあるが。

そんなバサラではあるが、ある場所まで来て足を止めた。
「ん?なんだありゃ?」
そう言って、首を回し、ある方向を見るとそこには
「はーい、お集まり頂きありがとうございます。
私たち、数え役満姉妹って言いまーす。」
「チイたちの芸と歌、聴いてってねー。」
「お願いします。」
3人組の少女たちがなにやら何かするようである。
その前には、何人か人がいたが、あまり人気が無いようで、興味本位で来たような人がほとんどのようである。
そしてバサラはというと、
「へえ、どんな歌を歌うか、楽しみだぜ。」
彼らしく、彼女たちの歌がどんなものか楽しみにしているようである。
彼女らの芸が始まったが、大きい箱の芸をする際に失敗し、ほとんどの客が帰ってしまう。
「あう〜、お客さん帰っちゃった。どうしよー。」
「もう、姉さんが失敗するからよ!」
「う〜、ごめんね〜。でも、まだ歌が残ってたのになー。」
「姉さんたち落ち着いて。それよりも、誰もお金払ってってない。」
「うっ、それはまずいわね。無料見なんてって言いたいけど、あれじゃ何も言えないわね。」
『はあ・・・』
先ほどの失敗で客がほとんど帰ってしまったことで反省会のようなものをしている3人。
その3人にバサラが
「なあ、お前ら歌わねえのか?」
と声をかける。
3人は、バサラがいたことに気づいていなかったらしく、いきなり話かけられて驚いた顔でバサラを見る。
そして、ピンク色の髪の少女が
「うん・・・お客さん帰っちゃったし、歌ってもしょうがないかなって。」
と悲しそうな顔でそう言う。
それにバサラは
「そうかい。」
とそっけなく言う。
だが、背負っていたギターを構え、
「なら」
ギターの弦を弾きながら、
「俺の歌を聴けえええええ!!!」
『え?』
「いくぜ!!NEW FRONTIRE!!」
そう曲名を宣言しながら、曲を弾いていく。




なんなんだろう、この人は?
私たちの前にいきなり現れて、歌わないのか聞いて来たと思ったらいきなり歌いだして。
しかも、俺の歌を聴けって。
そのあと曲を弾いて、その曲名らしきものを言ったりして。
少しの間曲を弾いたと思ったら、歌が始まった。
その歌を聴いている内に、私は昔のことを思い出す。
私は、いや私たちはこの大陸で1番の芸人、いや歌い手になるために故郷の村を飛び出した。
もちろん両親から猛反対された。
なぜなら、この乱世でそんな甘いことを言っている場合ではない。
当然私たちも分かっていた。
だが、夢を叶えるために、挑戦するために、飛び出した。
いつの日か故郷に帰る、でもそれは夢を叶えてからと、そう誓って。
しかし、先ほどの通り、歌だけでなく芸を取り入れて集客をしてもお客が集まらない。
私たちには、才能が無いのか?
いくらやり続けても、無駄なのか?
そう思いつつも、やり続けてきたが、もう、辞めたほうがいいのかと悩み、諦めかけていた。
そんな折にこの男の人がいきなり現れ、歌い出した。
その歌は、目標、夢に向かって情熱を持ち続けてただひたすら突き進む、そんな歌だ。
私たちの村は貧しくて勉強なんてしてこなかったから、難しい言葉や聞いたことも無い言葉もあって分からない言葉も多い。
だけど、これだけは分かる。
この歌は、どんな困難があろうと胸にある情熱を無くさずにひたすら夢に向かって突き進む。
ただ、その思いを歌に込めている。
だから昔のことを思い出したのだろう。
そこまで思うと、頬を伝う自分の涙に気づいた。
なぜ、涙を流したのか。
いや、涙を流した訳はなんとなく分かっている。
この歌を聴いて、この歌に込められている思いを感じて、今までの自分たちが間違ってなかったと感じたから。
そして、また夢に向かい突き進んで行く覚悟ができたから。
何気なく姉さんたちの顔を見ると、2人も泣いていた。
だが、どこか晴れやかそうな感じと何か覚悟を決めたような、そんな顔をしていた。
2人も顔をこちらに顔を向けてきた。
だが、私もだろうが、2人の顔は涙でぐちゃぐちゃであり、女としては人に見られるのは恥ずかしい顔をしていた。
だけどそんなことは気にならないくらい、今は清々しい気分だ。
そして、今この時は、この人の歌を聴いていたい。
たぶん、姉さんたちもそう思っているだろう。
なにせ産まれた時からの付き合いだし、血を分けた姉妹であるから。
そう思っていると、歌が終わり、曲も終わる。
まだ、まだ聴きたい。
あなたの歌が聴きたい。
そう思っていると彼が
「お前ら、泣くほど感動して聴いてくれたんだな。」
微笑みながらそう言った。
彼の顔を見て、言葉を聴いて、ある思いが湧いた。
思いが湧くのと同時に口から言葉が出てきた。
「私たちをあなたの弟子にしてください!!」
そう言うと姉さんたちが私のほうに顔を向け、驚きの顔で見ている。
だが構わずに言う。
「あなたの歌を聴いて、私たちは夢への情熱を思い出しました。
ですが同時に自分たちの未熟さを思い知りました。
だから、お願いします。どうか私たちを弟子にしてください!!」
そう頭を下げる。
そして姉さんたちも
「お願いします!!」
「チイたちを弟子にしてください!!」
頭を下げる。
この人に私たちのお願いは通じるか。
そう思っていると、
「俺は弟子なんか取らねえよ。他を当たんな。」
そっ気なくそう言った。
だが、この人に教わりたい、この人以外あり得ない、そう思ってしまった。
「せめて、歌を、歌とはなにか教えてください。お願いします!!」
ふたたび頭を下げる。
駄目か・・・そう思っていると、
「歌ってのは歌いたい時に歌うんだよ!」
そう言った。
「歌いたい時に歌う・・・」
そう呟く。
「ああ、それが歌だ!」
そう言って、楽器を背負い、ここから去ろうとする。
「待って!あなたの名は?」
「熱気バサラ」
「熱気、バサラ・・・」
そう呟いて、彼の背中を見つめていた


しばらくして、私たちは宿に戻った。
「今日のお兄さん、すごかったねー。」
「ほんとほんと。何者かしらね、あの人。」
そう天和姉さんと地和姉さんが言う。
でも、その顔は穏やかな笑みだ。
「でも、あのお兄さんの歌聴いて、頑張ろうって気持ちになったよ。」
「うん、チイもそう思った。」
やはり、姉さんたちも同じ事を思ってたみたいだ。
「私も」
「2人も?同じこと考えるなんて、やっぱり私たち仲良し姉妹だー。」
そうはしゃぐ天和姉さん。
だが、その後すぐに
「だから、明日も頑張って歌おう。
頑張り続ければ、いつか夢は叶うもん。」
微笑みながらそう言った。
「うん、頑張ろ!」
「そうね、頑張りましょう、姉さんたち。」
そう返事をし、決意を固める。
いつの日か、夢を叶えるまで。













「そう言えば、人和ちゃん、いつもと違って今日は熱かったね。」
「そうね、今日は熱い性格だったわね〜。」
「そ、それは、その」
と、2人の姉に弄られる妹の姿があったが、割愛する。






 
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