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詩集「棘」

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春の風




ふと見れば君の後ろ姿 何だか安堵した
きっとこれが始まり 気付かずにいたけど
たぶん…これで良かったんだね 君は遠くへ羽ばたいた
僕は胸が締め付けられ…なぜか涙が溢れたけど…

とても静かな朝の光 何かが弾け飛んだ
不意に血を流す僕の心は 君の名を呼んでいた…

舞い上がれ 春の風よ
この痛みを和らげてくれ
たった一時の安らぎさえも
君への想いで掻き乱される
吹き散らせ 春の風よ
この気持ちを忘れさせて
たった一言の言の葉さえも
僕は苦しくて声に出すことすら儘ならない…


こんなにも君のこと 想ってたんだと驚いた
繰り返す現実は 僕へと迫り来る
ねぇ…春はここにもやって来たよ 僕のことなんて忘れてる?
今は君に怯えてる 嫌われるんじゃないかって…

耳障りな雨の音 何かが壊れ始める
どうしても僕は 君の心を欲しいと願うんだ…

舞い上がれ 春の風よ
僕の魂(ココロ)を取り去ってくれ
たった一つの望みでさえも
僕の罪で叶わぬならば
吹き散らせ 春の風よ
この深い愛を忘れさせて
たった一人の人生(トキ)を歩むなら
僕は全てを棄てた方がいい…

春の風よ…全て包んで…


舞い上がれ…



 
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