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ワンピースの世界に

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7話

グランドライン前半の最後の島、シャボンディ諸島・13番GRの中にあるシャッキー'S ぼったくりBAR

その中でカイトはある新聞の記事に目を止めていた『スペード海賊団』

(ついにエースが出てきたか・・・それにしても俺がシャボンディに来てからもう6年も経つのか)

「どうかしたかね?」

「いや、俺がここに来てもう6年が経ったなと思ってさ」

「もうそんなに経つのか・・・早いものだな」

「師匠とシャッキーには世話になりっぱなしだな」

「気にすることはない、私も楽しんでるからな」

「私もレイさんと同じね、カイトちゃんを見てると楽しいから」

「楽しい?」

「ええ、ここに来てからレイさんにそっくりになっているんだから」

「私に似ているか?」

「そっくりよ、仕草や雰囲気・・・それに女遊びに関してもね」

ニヤニヤ笑うシャッキーに、顔を見合わせるカイトとレイリーは苦笑いを浮かべた。

「さ、さあ・・・出かけてこようかな」

「女の子のところ?」

「違うよ、久しぶりに億越えの賞金首が来るらしいから、お金稼ぎに行ってくる」

そう言って店を出た。



残った中の二人は

「6年か・・・本当に早いものだ」

「そうね、来た時なんかは本当に子供だったのに。あっという間に成長して強く格好良くなっていったわね」

「そうだな、あの成長は目を見張るものがあった」

「教えた人のおかげかしら?」

「ハハハ、だといいんだがな」

「フフフ、でも本当に面白い子ね」

「ああ、もう少ししたら旅立つだろうが、きっと大物になるぞ」

カイトの座っていた場所を見ながら、二人は笑っていた。



億越えの賞金首を捕まえたカイトは、金を貰い本部を出ようとした所で声をかけられた。

「カイト、ちょっと待ってくれ」

「ん?(ゼファーか)」

「お前時間はあるか?」

「ああ、今なら大丈夫だ」

「じゃあ、ついて来てくれ」

ゼファーの後について行くと、港の方に近づいていく

(港に何かあるのか?・・・海軍の入隊を進めるつもりじゃあないよな)

しばらく歩くと一隻の軍艦の前に着いた。

「さあ、乗ってくれ」

「いいのか、只の民間人を乗せて?」

「かまわんさ、俺の客だ」

「わかった」

軍艦に乗り込みゼファーについて行く、すると軍艦は出航し始めた。

「おいおい、船が動き始めたぞ」

「カイト、少し俺に付き合え」

「・・・・・・」

「この航海は、訓練生のためのものだ。そう長くはない、付き合え」

「わかったよ」

「まぁ、ゆっくりしておいてくれ」

「ああ」

「アイン、ビンズ」

「「はい」」

「この船にいる間カイトの世話を任せるぞ」

「「はい」」

(これって前に神様にお願いした奴かな?って事はZになるきっかけの航海か・・・どうしよ、関わったほうがいいのか?)

「どうした、カイト?」

「いや、なんでもない。それより部屋に案内してくれ」

「わかった。アイン、ビンズ案内を頼む」

「はい、こちらへ」

「ああ」

部屋に案内され、とりあえず寝ることにする。

「何かあれば、声をかけてください」

アインと呼ばれた女性が声をかけてくれた。

「ああ、ありがとう」

そう答えて部屋に入り、ベッドに横になる。

(まさか今になって、Zイベント起こるとは思わなかったな。神様の力は凄いって事か・・・確か真犯人が分からなかったからドフラミンゴにしてくれって頼んだ気がする。・・・いま考えても仕方ないし、その時に考えたらいいか)

その後は何事もなく航海は進み、あと3日でマリンフォードに着く距離になったとき現れた。

深夜に大きな物音と船が揺れるほどの衝撃

一気に意識が覚醒した。

(来たか・・・とりあえず甲板に行ってみよう)

コートを着て刀を持つと、部屋から出ていった。

外に出ると周りの海兵たちも大騒ぎしていた。

甲板に向かっていると、アインがカイトに気がついて近寄ってきた。

「カイトさん、ご無事でしたか?」

「俺は大丈夫だ、アインこそ大丈夫か?」

「あ、はい・・・私も大丈夫です」

「何があったのか、分かるか?」

「何者かが攻撃を仕掛けてきたこと以外はまだ解りません、今はゼファー先生が迎撃にあたっています」

「そうか・・・ちょっと甲板に行ってみるよ」

「えっ・・・危険です。先生からも避難するようにと「俺はゼファーの部下じゃないからな」・・・」

そう言ってアインを置いて、甲板に向かう。

甲板に出るとゼファーと何者かが戦っているのが見えた、辺りには怪我をした軍人がいるが幸いな事に死人はいなかった。

(誰だあれは?予定通りなら、ドフラミンゴだと思ったのにフードを被っているから分からないし、剣を使っている・・・剣なんか使ってたか?・・・まぁいいか)

ゼファー達の戦いを見てると、徐々に押され始めていた。

(このままじゃやられるな)

ゼファーの胸に一筋の切り傷が付き血が溢れ片膝をついた、そこを狙って剣が振り下ろされた。

キィン

振り下ろされた剣をカイトが防いだ。

「カイト・・・お前」

ゼファーの声を無視して、担ぎ上げるとアインの元に運ぶ。

「カイトさん、ゼファー先生」

「ゼファーの傷を治療してやってくれ、あいつは俺がやる」

「は、はい」

ゼファーをアインに任せて、フードを被った男に向かい合う。

「関わるつもりはなかったんだけど、知り合いが殺されたら気分が悪いから、俺が相手になるよ」

言い終わったと同時に斬りかかってきた。

振り下ろされた剣を避けて、腹部に蹴りを放つ。腕でガードされるが後方まで吹き飛ばした。

「グゥ」

壁にぶつかり止まった所に追いつき、拳で顔面を殴る。一発目は当たるが、二発目は避けられて距離を取られる。

「嵐脚・乱」

無数の斬撃がフードの男に向かって飛ぶ。

いくつかの斬撃は持っていた剣で弾かれたが、体に無数の切り傷が刻まれた。

「・・・・・・・・・」

(反応なしか)

間合いを詰めて

「指銃・斑」

カイトの指銃がフードの男に突き刺さり、そして倒れた。

「お前は・・・ドフラミンゴか?」

「・・・・・・・」

フードを脱がせようと近づいていくと、何かがカイトに向かって飛んできた。

「っ!?(何処からの攻撃だ?)」

飛んできた物を避けるが、幾つかは体に命中し後方に下がる。

そして辺りに散らばっていた剣やナイフが空中に浮き、ゼファー目掛けて飛んでいった。

「チッ・・・」

カイトは瞬時に回り込むと、すべての障害物を切り落とした。

フードの男に向き直ると、さっきまでいた場所には誰も居なかった・・・目を凝らすとかなり遠い所を空中移動しているのが見えた。

(油断した・・・まぁいいか、死者は0だし)

ゼファー達のところに戻り

「悪い、逃がした」

「きにするな、こっちは誰も死んでない。お前が居なかったら危なかったがな」

「目の前で死なれても、気分が悪いしな」

「フンッ・・・それにしても何者だったんだ、あの男は」

「顔を見る事は出来なかったな」

「仕方がない・・・俺の治療はもういい、他の負傷者の手当をしてやってくれ」

「「「はい」」」

ゼファーの声がかかると、周りの海兵も負傷者の治療に掛かり始めた。

(顔は見れなかったけど、ドフラミンゴにしておこう。神様だから間違いないだろう・・・それにしても・・・)

「どうかしたか?」

「いや、俺は部屋に戻ってる」

「ああ・・・カイト、助かった」

「いいさ」

部屋に戻ったカイトはコートを脱ぎ、シャツを捲って自分の体を見ると無数のアザがあり血がにじんでいた。

(まだまだ弱いな俺は・・・もっと強くならないと・・・あの時の攻撃は本体からだろうな)

ベッドに座り、フードの男のことを考える。

(糸の分身と本体ってどのくらい差があるんだろ?同じって事はないと思うけど・・・もっと修行しないと駄目だな・・・俺も本気でやったらどうなってたんだろう・・・勝てると信じたいな)

カイトが考えていると、扉がノックされた。

「はい」

「失礼します」

入ってきたのはアインだった。

「どうかした?」

「先生からカイトさんの怪我の手当をするようにと言われました」

そう言って救急箱から、いくつかの薬を取り出した。

「俺は軽い打撲程度だから、気にしなくて「ダメです」・・・わかった」

妙な迫力に押されて、手当されることにした。

「甲板の怪我人は、治療し終わったのか?」

「はい、重軽傷者は多数いましたが命に別状はないです」

「そうか」

「カイトさんのおかげですね」

「まぁ、この船に乗ってるからな」

「ありがとうございました」

「気にするなって、ゼファーにも礼は言われたしな」

「はい」

話している間に、カイトの手当も終わった。

「アイン、手当ありがとう」

「い、いえ」

「じゃあ、俺はこのまま休むな」

「はい、失礼します」

アインが出て行ったあと、横になり目を閉じる。

(帰ったらもっと修業しよ、この程度じゃあ何かあったとき守れないかもしれないし・・・)

そう思いながら、眠りについた。



3日後・・・

(ようやく着いたか、師匠とシャッキーの所に顔を出さないとな)

部屋を出て船を降りるために、外に向かう。

「カイトさん」

「アインか、どうした?」

「先生がカイトさんを呼んでいます、ついてきて下さい」

「ああ(なんか用か?)」

アインについて行くと、甲板でゼファーが待っていた。

「来たけど、何か用か?」

「ああ・・・カイト、最初で最後だ」

「ん?」

「海軍に入らないか、今回の事でお前の力の片鱗を見た」

(本気の目だな・・・これにはちゃんと答えないとな)

「俺はさ、あんたのこと好きだよ・・・ここの訓練生を見ればアンタがどれだけ慕われてるのかも解る。俺も昔は思ってた、黒腕のゼファーに教えてもらいたいって思った事もある・・・だけど断るよ」

「・・・そうか」

「俺には子供の頃の記憶がない、気がついた時には一人でこの刀だけを持ってた。名前も歳も誕生日すら無かった俺に、年齢を付けて誕生日も決めてくれた弟達がいる」

「弟がいるのか?」

「ああ、義理の兄弟だ盃を交わした。ただの子供の遊びさ、でも俺には大切な絆だ。俺は万が一の時には弟達の力になってやりたい、その為の力を求めて強くなった」

「だが、海軍に入っても守ることは「出来ない」・・・何故だ?」

「弟の一人の夢が『海賊王』になる事だからだ」

「海賊王・・・か」

「ああ」

「それを信じているのか」

「もちろん、疑った事なんかない」

「ククク・・・ワハハハハハハ・・・そうか、それなら仕方がないな」

「そんな理由だから、断るよ」

「わかった、忘れてくれ」

「ああ・・・じゃあ船を降りるぜ」

「ああ」

カイトが船を降りていくと、後ろからゼファーの声が聞こえてきた。

「お前達、今ここで聞いた事は忘れろ!!!いいな!!!」

「「「「「はい」」」」」

(アンタと出会えるようにお願いしたのは、師事したかったのは本当だよ)

そう胸の中で思いながら、船を降りていく。




















 
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