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ワンピースの世界に

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8話

スペード海賊団の記事を見てから、1年ほど経った・・・

カイトはある場所に向かっていた。

(もうすぐ会えるな・・・)

カイトの向かった先には海賊船があり、そこにはオレンジ色のテンガロンハットを被り仲間達と談笑している男がいた。

近づいていき、声をかける。

「エース」

カイトが呼んだ男が振り返り

「カイト」

「久しぶりだな、エース」

「ああ、ここに来れば必ずいると思ってたよ」

「俺がここにいるのを知っていたのか?」

「昔、シャボンディに行くって言ってたからな。それに、銀髪の賞金稼ぎがいるって聞いてカイトだと思ってた」

「そうか」

「それにしても・・・カイトは変わんねぇな」

「お互いだろ・・・お前も変わってない」

エースと話していると、エースの仲間が声をかけてきた。

「エース船長、この人と知り合いですか?」

「ん?・・・ああ、俺の兄貴だ」

「兄弟がいたんですか?」

「義兄弟だけどな」

「エースの仲間か・・・よろしくな。ここで話すより、俺が世話になってる店に行こう」

そう言ってシャッキー'S ぼったくりBARに案内する。

他の船員に聞かれないように、エースに話しかけた。

「エース」

「なんだ?」

「今から行く店にいるのは、海賊王の副船長シルバーズ・レイリーだ」

「っ!?・・・」

「お前の事は話していないし、話してみるか?」

「・・・・・・いや、いいよ。俺は俺だからな」

笑いながらエースは答えた。

「そうか・・・コーティングの腕は確かだから、安心してくれ」

「ああ」

その後店に着き、師匠とシャッキーにエースと仲間を紹介した。

レイリーはコーティングを快く引き受けてくれ、船員は目の前の人物が『冥王シルバーズ・レイリー』だとわかると、ものすごく驚いていた。

その後、店で宴会が始まりカイトとエースは二人で昔話をしながら酔っていった。

カイトが旅立ってからのダダンを始め山賊達の事、マキノや村長の事そしてルフィとサボ・・・ルフィは今でも海に出ることを夢見て修業に励んでいるらしい。

サボは・・・カイトの知っている通り、父親に見つかり連れ戻され家族の元に帰っても幸せになれず、一足先に出港したが『天竜人』の砲撃によって海に沈んだと聞かされた。

(サボの事を言うのは駄目だろうな・・・俺が出来る事はエースが死ぬ未来を変えて、サボと再開させることか)

「なあ、カイト」

「ん?」

「俺達はサボの分まで生き抜いて、夢を実現させよう」

「ああ、当然だ。絶対に俺達は死なない」

その後も酒は進み、気がつくと船員はみんな酔って店のあちこちで寝ていた。

起きていたのは、レイリーとカイト、エースだけでシャッキーはいなくなっていた。

「俺もちょっと眠くなったから寝るよ」

そう言って、レイリーに合図を送ると頷いた。空いているソファーに横になり目を閉じる。

(後は師匠に任せていいだろ、俺には解らないこともあるだろうし)

キィンとグラスを合わせる音が聞こえてきた。

明日からのことを考えながら、眠りについた。




翌日にレイリーからコーティングには3日かかることを言われ、その間にエースたちはシャボンディに遊びに行ったり、必要なものを買ったりと準備に追われていた。

カイトはレイリーの手伝いをしながら、コーティングを仕上げていった。

そして、エース出港前夜・・・

「カイトもレイリーもありがとう・・・シャッキーも世話になった」

「エースが礼を言うなんて、明日の出航は荒れるな」

「なんだと、カイト!!!テメェ!!!」

「ハハハ・・・仲のいい兄弟じゃないか」

「ほんとね、見てるだけでも楽しかったわ」

レイリーやシャッキーを始め、船員たちも笑いながら見ている。

カイトとエースは顔を見合わせると・・・

「「フンッ」」

お互い顔を背けると、また笑いが起こる。

出航前の宴が始まり、初日のように皆が酔って最後はカイトとエースが残った。

「なあ、カイト」

「ん?」

「ルフィの船に乗るのか?」

「ああ」

「そうか、ルフィの事よろしく頼むな」

「わかってる、エースとサボの分までちゃんとやるよ」

「出来の悪い弟を持つと、心配なんだよ」

「俺からしたら、エースもだけどな」

「うるせぇ」

「ハハ・・・先に『新世界』で待っててくれ、俺達も必ず行くから」

「ああ、待ってる」

「明日は出航なんだ、休んだほうがいいぞ」

「そうするよ、カイト・・・ありがとう」

「気にするな、弟の心配をするのも兄貴の役目だからな」

「そうか・・・じゃあ、寝るよ」

「ああ」

そう言ってエースは空いてる場所に横になり、眠りについた。

(ルフィとの約束まで2年か・・・それまでにもっと強くならないと、エースは絶対に死なせない。ティーチは必ずエースと接触する前に俺が始末を付ける)

しばらく一人で飲んでから、カイトも眠りについた。




翌日目が覚めると、店の外でエースとレイリーの話しているのが聞こえてきた。

(たくっ・・・挨拶くらいしていけよな。まぁ、エースらしいか)

エース達が店から離れていき、少ししてからレイリーとシャッキーが入ってきた。

「あら、カイトちゃん。起きてたの?」

「ああ、今さっきね」

「遅くまで飲んでたみたいだな」

「ちょっと飲みすぎたかも」

「フフ・・・お水持ってくるわね」

「ありがとう」

「師匠、エースはどうだった?」

「エースか・・・血は争えんと言ったところかな。色々話してみると、昔のアイツを思い出したよ」

「そうか、ならいいんだ」

「はい、どうぞ」

シャッキーが水を持ってきてくれた。

「ありがとう」

水を一気の飲みほし、シャッキーの出してくれた朝食を食べていると、電伝虫が鳴り出した。

「もしもし」

「カイトか?」

「ああ、珍しいな。じいさんがかけるって」

「・・・・・・・・・・」

「で、一体何?」

「サカズキがシャボンディに向かった」

「なにっ!?」

「ワシが言えるのは、これだけじゃ」

「わかった」

電伝虫を切ると刀を手に取り、店から飛び出した。

見聞色の覇気で見ると、離れた場所でエースが戦っているのが見えた。

(エースと赤犬の相性の悪さはわかってる、間に合えよ)

その場所まで、全速力で駆けていく。





「グッ・・・クソが」

「「「エース船長」」」

「もう諦めんかい、お前じゃワシには勝てん」

膝をつくエースの前に海軍の『最高戦力』大将・赤犬が立っていた。

「ワシが出てきた以上、お前はここまでじゃ」

サカズキが拳を握ると、ボコボコと腕が沸騰してマグマに変わる。

殴りかかるサカズキの拳を交わして、距離をとり

「火拳」

エースの腕から炎が走り、サカズキに直撃する。

「ハァハァ・・・効かねぇのか」

「いい加減に、諦めんかい」

サカズキの拳がエースに向かって、振り下ろされた。

「「「船長」」」

ギィン!!

エースに当たる直前で、カイトの刀がサカズキの拳を止めていた。

「ギリギリだったけど、間に合ったな」

「カ、カイト」

「おどれ・・・賞金稼ぎが、なんのつもりじゃあ」

「弟の出航を見送りに来たんだよ」

「弟じゃと」

「ああ、だから邪魔するな。赤犬」

「邪魔なんは、おどれじゃ」

(先にエースを逃がしたほうがいいな)

カイトはエースの上着を掴むと、船に向けて投げた。

「ウワァァァァァァァ」

甲板に直撃寸前で、船員にキャッチされた。

「船長、怪我はないですか?」

「俺は大丈夫だ。・・・カイト」

「エース、ここは俺に任せてさっさと行け」

「な、何言ってんだ。出来るわけないだろう」

「エース!!!昨日言ったことは覚えてるか?」

「えっ?」

「先にいけ、俺達はあとで行く・・・だ」

「あ、ああ」

「今はお前が出航する時だ、行け!!!」

「・・・・・・わかった。ありがとう。お前ら・・・出航だ!!!」

「「「はい」」」

帆を張り、徐々に船が沈み始めると・・・ドンっとでかい音が鳴り響いた。

(軍艦からの砲撃か・・・させるかよ)

カイトが腕を横に振ると、腕から雷が飛び砲弾を撃ち墜とした。

「おどれ、能力者か」

赤犬は体をマグマに変え、カイトも拳を構える。

「ああ、ゴロゴロの実の雷人間だ」

「海軍入りを蹴る時点で、悪に近いと思うとったが・・・やっぱりそうじゃったのぅ」

「そうか?・・・俺から見たら『天竜人』みたいなゴミに尻尾を振ってる、お前らの方が悪だと思うけどな」

「世界の理も知らんガキが、大口を叩くのぅ」

「帰ったら、その理も調べてみるさ。エース達も行ったし、もうここに用はない」

「そんなこと気にせんでええわい、ここで消えろ」

「やってみろ!!」

カイトと赤犬は同時に動き、拳同士がぶつかると・・・衝撃波が二人を中心に広がっていく。

「チッ」

「クソガキがぁ」

一度距離を取り・・・

「剃」

赤犬の背後に回り込むと、蹴りを放つ。・・・これは避けられ、裏拳でカイトの顔を狙ってくるがガードして後方に飛び距離をとった。

「チッ・・・ちょこまかと鬱陶しいのぅ」

「素直に帰れば、俺も助かるんだけどな」

「お前を始末したら、帰るわい」

(陸には赤犬と海兵、海には軍艦が3隻か・・・砲弾撃たれてもめんどくさいから、先に沈めるか)

「考え事とは、余裕じゃのぅ・・・大噴火」

赤犬が腕の部分をマグマのように煮えたぎらせてから、カイトに向かって拳を繰り出し巨大なマグマの塊を放ってきた。

(流石にこれは受け止めたら、大変なことになるな)

「剃」

向かってくる、巨大なマグマの塊を交わして・・・

「5000万V万雷」

軍艦に向かって無数の落雷を放つと、火薬に引火したのか主砲の辺りが爆発した。

(これで砲撃はなくなるだろう)

「おどれ、クソガキが・・・」

「砲撃なんかしてくるからだ、俺に構うより救出に行ったほうが良いんじゃないか?」

「お前を始末してからで十分じゃ」

そう言って赤犬が、殴りかかってきた。

「紙絵」

赤犬の拳を避け、隙を狙い

「獣厳」

赤犬の顔を殴りつけた。

「グォッ」

数メートルほど吹き飛ぶ赤犬、それに追いつき手をかざして

「1000万V放電」

「ガアアァァァァァ」

(この辺でいいだろう)

「じゃあな、海軍」

そう言って、その場を離れた。・・・後ろから赤犬の声が響く

「あの悪を逃がすな!!!ここで始末するんじゃ!!!」

「「「「はい」」」」

海兵がカイトのあとを追ってくる。

(チッ・・・めんどくさい。この後どうするか、海兵のいない場所を探すか)

見聞色の覇気で辺りを見ると、ある人物たちを見つけた。

(あいつらって・・・まてよ、赤犬も俺を追ってきているな。・・・・・・よし、上手くいけば面白いことになるな)

カイトは方向転換して、向かう場所を変えた。




カイトの向かった先は、1番GR・・・

赤犬と海兵が追いつく速度で逃げたふりをして、ここに着いた。

「追い詰めたぞ」「もう逃がさん」等の言葉を聞きながら、周りを海兵で囲まれた。

「サカズキ大将が来るまで、絶対に逃がすな!!」

「「「オオー」」」

その言葉と同時に、多数の海兵がカイトに向かってきた。

敵の攻撃をかわしながら、反撃し海兵を倒していく。

かなりの海兵を倒した所に、赤犬が現れた。

「もう逃がさん!!ここで死ね!!」

「やってみろ」

赤犬の体からマグマが溢れ出し、犬の形を作り襲ってきた。

「危なっ」

咄嗟にかわすが、カイトの後を追いかけてきた。

(追尾してくるのかよ・・・)

向かってくる犬に対して、腕を向けると

「5000万V雷鳥」

鳥の形をした雷をぶつけて、相殺した。・・・その隙を狙って赤犬が仕掛けてきた。

「冥狗」

(これって白ひげの顔を削った技だろ)

咄嗟に上体を捻ってかわし、空いている左脇腹に蹴りを入れる。

「グッ・・・」

「危ない技だな・・・」

「しぶといのぅ、いい加減に諦めんか」

「お前らが諦めろ」

一旦距離を取り、赤犬に向けて手を構える。

「次のは気をつけろよ・・・1億V雷龍」

雷の龍を放つ、放たれた龍は赤犬を目指して飛んでいく。

「チッ・・・流星火山」

赤犬の放った火山弾が、カイトと雷龍を目掛けて飛んでいく。

幾つかの火山弾が直撃して、雷龍はかき消された。

カイトは腰に差してある刀を鞘ごと抜き、火山弾をある方向に弾いた・・・そこにいたのは・・・

(これを待ってたんだよ、3個くらい飛ばせばいいか・・・喰らえ天竜人)

弾いた場所にいたのは、3人の天竜人と護衛の黒服が数名・・・離れた場所には首輪を付けられた奴隷がいた。

「「「ギャー」」」

断末魔が辺りに響いた、着弾した音と土煙が上がった。・・・煙が晴れると

カイトの弾いた火山弾が命中し、クレーター状に抉れた地面には黒焦げの死体が転がっていた。

(良かった、奴隷達には当たらなかったな)

「「「わあぁぁぁ、天竜人が殺された」」」

辺りの海兵が騒ぎ出した。

「あ~あ、大将が天竜人を殺しちゃったよ。やばいんじゃないのか、大変だな(棒)」

「おどれは、ここで必ず殺す!!!」

「キレるなよ、お前の攻撃が当たったんだぞ。俺は弾いただけ」

「やかましい!!!」

(ブチ切れてるな・・・まぁ当然か)

赤犬は拳をマグマに変えながら、向かってきた。

「電光」

その瞬間辺りには光熱と雷鳴が響き、視界を遮った。

カイトは赤犬の懐に潜り込み、両手の拳を赤犬の胸につけ

「六王銃」

その瞬間、赤犬の体に衝撃が走った。そして口から血を吐き、前のめりに倒れた。

「「「大将が負けた!!!」」」

海兵達にも動揺が走り、動けなくなったいた。

「俺はここから消える、追ってきたら殺すぞ」

(疲れた、さっさと行かないとな。ほかの大将が来たら、面倒だし)

カイトは奴隷達に近づいて行った。

「お前らの所有者ってのはもう死んだ、首輪を外すから逃げろ」

そう言って首輪を引きちぎり、爆発する前に投げるを繰り返した。

「これでいいだろ、さっさと逃げろ」

「ありがとうございます。ですが私達は、天竜人の所有物の証が刻まれています。ここで逃げてもいつかは捕まり、連れ戻されるので・・・」

(そうだったな、確か逃亡も犯罪なんだよな・・・本当にふざけた法律だな)

「わかった、安全なところまで逃がしてやるから、ついてこい」

「本当ですか?」

「ああ、早く行くぞ」

「「「はい」」」

そう言って奴隷達8人を連れて、その場を後にした。

目指すは13番GR、シャッキー'S ぼったくりBAR

(師匠とシャッキーには挨拶しておかないとな、そのあとはどうしよ)





シャッキー'S ぼったくりBARに着くと中に入る。

「だいぶ派手にやったようだな」

「知ってるんだ、シャッキーも?」

「ええ、カイトちゃんはする事が派手だから。後ろにいるのが助けた娘達?」

「ああ、追っ手から逃すまでは一緒に行こうと思って」

「カイト・・・何処か当てはあるのか?」

「無い。どうするかも決まってない」

「ハハハ・・・」

「師匠、笑い事じゃないって」

「すまん、カイト・・・これを」

レイリーはエターナルポースと手紙を出した。

「これは?」

「そこに行ってみろ、もしかしたらその娘達を匿って貰えるかもしれない」

「ああ」

「絶対じゃ無いが、行ってみる価値はあるだろう。船の用意はしてある、食料や水も積み込んでおいた」

「師匠」

「カイトちゃん、気をつけてね」

「シャッキー」

「さあ、行ってこい。時間はない、ゆっくりしていたら海軍が来るぞ」

「ああ、行ってくるよ・・・次に来るときは海賊王と仲間を連れて、戻ってくる」

「待っているよ」

店を出て、レイリーが用意してくれている船に乗り込む。

(予定外の戦闘になったけど、仕方ないよな・・・天竜人はざまあみろだし・・・とりあえずこの教えられた所に行ってみよう、それからだな)

帆を張り、シャボンディを後にした。



数日後・・・

世界政府直下『海軍本部』

元帥センゴクの前には3人の大将、ガープやその他の中将、海軍の上層部が集まっていた。

「先日のシャボンディ諸島での一件・・・全くとんでもない事をしてくれたものだ」

「すまんかったのぅ、ワシがいながら天竜人の事は「間違っても」・・・」

「間違っても大将の攻撃で天竜人が死亡したなど、あってはならない事だ」

「「「・・・・・・・・・・」」」

「天竜人を手にかけたのは『賞金稼ぎ・カイト』だ。白ひげに手傷を負わせ、大将を倒すほどの奴だ、海軍の威信にかけても捕まえる・・・いいな」

「「「「はっ」」」」


その日、全世界に向けて一人の賞金首の手配書が配布された。



『DEAD OR ALIVE  雷帝・カイト  7億5千万ベリー』




























 
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