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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語

作者:マルバ
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SAO編 主人公:マルバ
ありふれた冒険譚◆冒険の始まり
  第六話 第一層ボス――IllFang the Kobold Load――

 
前書き
マルバの背景設定等をつくっていたため、だいぶ更新が遅くなりました。
マルバの家族設定も作成しましたが、これが出てくるのはシリカの登場と同時になる予定です。キリトと同じようなセリフを言うことになるので、ファンの方は強烈な既視感に襲われるはず。 

 
「D、E、F隊、センチネルを近づけるな!!」
「「了解!」」
マルバとキリトは同時に叫んだ。

ボスの取り巻きであるセンチネルはそこらの雑魚にくらべればかなり強い。でも、仲間がいればスイッチができるからかなり楽だった。

「スイッチ!」
キリトがは叫んでからセンチネルの面に強烈な一撃を喰らわせる。僕はそれを聞いて左腰の曲剣を順手に持って左肩の上に構え、同時に右腰の短剣を逆手に持って右肩の上に構えた。両手の武器が光を放つ!
「うおおおおおぉぉぉりやあッ!!」
左手が先に閃く。曲刀基本技『リニアー』。左手に引きずられるように僕はセンチネルに近づき……
「せえいッ!」
左手が届くより早く、右手を突き出す。投剣基本スキル『シングルシュート』だ。ちょうどキリトが打ったところと同じ位置にナイフが突き刺さる。それに少し遅れて敵を切り裂く左手。そのまま突き抜けて次のセンチネルを狙う。投げたナイフはすでに右手の中だ。敵とすれ違ったときにしっかり回収しておいた。

「三匹目!いくよ!!」
敵に突進しながら右手のナイフを逆手に構え、左手の曲剣を腰にしまう。
「はッ!」
一気に間合いを詰めてまずは一撃、『スライスエッジ』。これをコンボの着火技として素早く順手に持ち替えて、『パラレル・スティング』につなぎ、合計三連撃を打ち込む。
「スイッチ!!」
アスナが飛び出してきて僕に体当たりして敵の間合いから吹き飛ばし、僕が使ったのと同じ『パラレル・スティング』を打ち込んだ。正確な二連撃は見事にクリティカルヒットして、敵のHPを残り二割まで削る。その横っ腹にキリトの『スラント』が食い込む!センチネルは断末魔を上げて砕け散った。


僕たちが担当する左側のセンチネルを一掃できたので、ちょっとボスの方を振り返ってみた。振り返るとほぼ同時にHPバーの最初の一本がカラになる。これだけ高レベルのプレイヤーを集めたんだから当然といえば当然だが、かなり優勢のようだ。


ボスの両横にセンチネルが新たに三体ずつ出現する。HPバーが一本消えるたびにポップする仕組みのようだ。まだまだ僕たちの役目は終わりそうにない。








戦いは続く。すでにボスのHPバーは最後の一本が黄色く染まっていて、残りのHPは最初の1/8まで減少したことが見てとれる。

きしぇええええぇぇッ!とセンチネルが奇声を発しながら飛び込んできた。左手の籠手でセンチネルのメイスを払いのけると、センチネルが態勢を崩す。右手を素早く突き出すと、『リニアー』を打ち込む!そのまま『スラント』、『パラレル・スティング』とつなぐ。一気に引いて硬直が解けたところに『シングルシュート』。刺突武器と斬撃武器、さらには投擲武器の要素をもつ短剣だからこそできる連続攻撃だ。
左腰の曲剣を抜き、センチネルと対峙する。『リーバー』の初期モーションを起こして敵を見据えた、その瞬間……!



「ダメだ!!全力で、後ろに跳べ!!!」



キリトの絶叫が周囲の時間を止めた。マルバは、『リーバー』に引きずられてセンチネルに向かいながら、首だけをそちらに向ける。キリトが目を見張る、その先に……カタナを持つボスが、何らかの技を発動させようとしているのが見えた。その先にいるのは、何故かディアベルただ一人。
ディアベルは発動しかけたソードスキルをキャンセルし、防御態勢をとったが……ボスのカタナはディアベルの盾を下方から強打し、ディアベルは盾ごと上空に吹き飛ばされた。
それを襲う、ボスの凶刃。キリトが遠い位置から何かのソードスキルを発動させながら飛びかかるが……あれは間に合いそうにない……!
と、左手に衝撃を感じた。『リーバー』がセンチネルにヒットして、そのまま突き抜けようとしている。とっさにセンチネルに突き刺さったままのナイフを抜き取り、右側に振りかぶるとボスに向かっておもいっきり投げつける。少し重い単発投剣スキル、『トルネード』はまるでブーメランのような軌跡を描いた。カタナを持つ右手に突き刺さり、ボスは動きを一瞬止め……

だが、それだけだ。投剣スキルは総じてディレイさせる時間が少ない。


空中でなすすべがないディアベルをボスのソードスキルが襲った。恐ろしい速さの三連撃。一気にディアベルのHPゲージが減っていき、HPゲージの減少が止まる前にキリトの目前に墜落した。


ディアベルの弱々しく震える声が少し離れた場所にいるマルバにもかすかに届いた。
「……頼む、キリトさん。ボスを、……倒し」
ディアベルのHPゲージは彼が最期の言葉を言い終えることなく全損し、彼はその場で消滅エフェクトを散らした。









「ぎゃああああぁぁぁ!!!!」
ブロック部隊の悲鳴が停止した時間を動かす。呆然としていたキリトとマルバ、アスナは我に帰り、互いの顔を見交わした。同時に頷く。

「行こう、マルバ、アスナ。最期の攻撃、一緒に頼む」
「「了解」」



三人でボスに向かって全力疾走する。ブロック部隊のHPゲージは全員がイエローカラーだ。このままでは回復している暇はない。

マルバは走りながら腰のポーチから投げナイフを取り出した。本命のナイフはさっき『トルネード』で使ってしまったため、まだボスに突き刺さったままだ。このナイフではほとんどダメージを与えられないだろうが……
マルバの放った『シングルシュート』はボスの腰のあたりに命中した。ボスがこちらに向き直り、カタナを低く構えた。キリトがそれに極めて似た構えを取る。ボスのソードスキルが発動する直前、それをまるで見切ったかのように――キリトはベータテストでそのスキルを見たことがある――キリトのソードスキルがボスのカタナにヒット。
ボスのカタナは上空に弾き飛ばされた。キリトも反動で吹き飛ばされる。
そこに飛び込むアスナ。しかし、ボスはアスナがソードスキルを発動されるより早くノックバックから回復し、そのままスキルを放った。それを紙一重で回避するアスナは、しかし、避けきれずにマントが切り裂かれる。


アスナの髪が切り裂かれたマントの中から舞う。その美しさに、その場の全員が息を飲んだ。なにせ、キリトとマルバ以外はいまのいままでこのフードの剣士は男だと思っていたはずだ。


回避態勢のままアスナは『リニアー』を打ち込む。スキル発動直後の隙に命中し、クリティカルヒット。マルバはそれに続き『リーバー』を打ち込む……が、ボスが左に大きく跳んで躱された。軌道を修正して無理やりボスの右腕に当てる。と、ボスに突き刺さって貫通ダメージを(実際に貫通しているわけではないのだが)与えて続けていたマルバの愛剣が目に入った。とっさに抜き取ってバックステップ。

マルバの突進を避けた先にはキリト。そのまま駆け出して『ソニックリープ』をかます。突進攻撃を近距離から食らって再びノックバックするボスに、マルバが追い打ちの『パラレル・スティング』を放つ、その横から顔を出したアスナが同じ技で追撃する。
ボスが同時に大量のダメージを受けてディレイで動けない間に硬直が解けたキリトはステップで距離を詰めて止めの『バーチカル・アーク』を打ち込んだ。これで仕留められなければ硬直しているアスナとマルバ、キリトは大ダメージを受けるだろう。
ボスの肩から打ち込まれたスキルが腰に達する……が、ボスのHPはまだ数ドット残っている。ボスが獰猛に(わら)った……ように見えた。キリトもニヤリと笑い返すと、剣を鋭角に切り返す!V字の軌跡を描くスキルが発動し終わり、剣を振り上げた態勢のままキリトは硬直した。ボスのゲージが全損し……




【Congratulations!!】




ボスの身体が消滅すると同時にシステムメッセージが空中に踊り、戦いの(おわ)りを告げた。 
 

 
後書き
今回は長めでした。
このあとマルバは体術スキルの特訓をすることになります。
そのうちソロのマルバに協力者が現れますが、それはまた別のお話。

もしよかったら感想を一言でも書き込んでいただければ幸いです。 
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