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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語

作者:マルバ
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SAO編 主人公:マルバ
ありふれた冒険譚◆冒険の始まり
  第五話 第一回ボス攻略会議

 
前書き
波乱のボス攻略会議です。 

 
2022年12月2日、トールバーナにて。
第一回ボス攻略が、始まる。


集まったプレイヤーは約30人といったところか。MMORPGが初めてな僕にとっては、ボスが普通どれくらいの強さなのかが分からないから、この人数が多いのか少ないのかは判断できないけれど。

司会役をしているのは片手剣方盾の剣士、ディアベル。彼のパーティーが先日ボス部屋を発見したらしい。それで、このボス攻略会議が始まったようだ。会議は順調に始まるかのように見えた、その時。



「それじゃあ、これから攻略会議を始めたいと思う。まずは、6人のパーティーを組んでくれ。ボスにはただのパーティーじゃ対抗できない。パーティーを束ねたレイドを作るんだ。」


……パーティー?パーティーって言ったか?
僕は素人なりに効率良く経験値稼ぎをしようとずっとソロプレイをしてきた。だから、フレンドはいてもパーティーを組んだことなんて……最初の一回しかない。周りを見渡すと、もともとパーティーを組んでいたのかすぐに6人くらいのまとまりができ始める。これはまずいんじゃないか?
まだパーティーを組んでいないように見えるのは……キリトと、僕と、会場の隅にいるマントの剣士の三人だけだ。

「おおい、キリト。なんかパーティー組まないとなにも始まらない雰囲気だしさ、お互いソロだけどここは一旦組まない?」
「ああ。まあ仕方ないな。ソロじゃ参加するのは難しそうだし。」
「ねぇ、あそこの剣士さんも誘ってみる?他に組むとこなさそうだし、攻略は少しでも参加する人数が多いほうがいいんでしょ?」
「そうだな。声かけてみるか。」

マントの剣士に近づこうとして戸惑うキリト。
「……僕が声かけようか?」
「……すまない、頼む。こういうの苦手なんだ。」
「あはは、そんな感じするよ。仕方ないなあ。」
「はぁーあ。あとでなんか一杯おごるからさ。」
「いいよいいよそんなの。」

キリトに代わってマルバが剣士に声をかける。
「ねぇ、君も一人?」
「違う。周りがみんなお仲間同士みたいだったから遠慮しただけ」
「じゃあ、君もソロプレイヤーなんだね。よかったら僕たちと組まない?僕も彼もソロプレイヤーなんだけどさ、レイドを作るにはパーティーを組んでおかなきゃいけないんでしょ?今回だけ暫定ってことでさ。」
剣士はひとつ頷く。
「それじゃあ、よろしくね。」

司会の左端に新しく一本のHPバーが表示された。これで三本。上から、Malva、Kirito、Asunaとなっている。アスナ……女性プレイヤー?珍しいな。

「よし、組み終わったかな。じゃあ……」
とディアベルが続けようとしたその時。




「ちょお、待ってんかあ!!」
関西弁丸出しの声に、会場の全員が振り返る。声の主は器用に会場の段差を飛び降り、ディアベルの近くに降り立った。

「ワイはキバオウってもんや。ボスと戦う前に言わせてもらいたいことがある。こん中に、いままで死んでいった2000人に詫び入れなあかん奴がおるはずや!!」

キバオウは持論を展開しはじめた。ベータテスター出身者がいい狩場や儲かるクエストを独り占めしたせいでたくさんの初心者(ニュービー)が死んだんだという。そうか、ベータテスターたちは『死ぬことができたSAO』でいい情報を沢山仕入れていたからあんなにも効率的なプレイができていたんだな、とマルバは初めて思った。恨みがましい視線をキリトに向けてみる。
でも。それはおかしな話であった。情報はこの冊子に……道具屋でプレイヤーが無料配布していたこの冊子にかなり書かれている。ベータテスターでなくソロプレイヤーのマルバは、攻撃力が低く経験値が高めのモンスターを狩ってレベリングするのにこの冊子をかなり利用していた。この冊子があったのだから、2000人は情報が手に入らなかったから死んだのではない。言い方が悪いが、ある意味自業自得だったのだ。

ちょうど同じ事をエギルも考えていたようだ。エギルの反論にキバオウはすっかり黙りこんでしまった。



ディアベルが会議を再開する。ボスの武器は斧とバックラー。HPがレッドゾーンに入ると武器を切り替えてくるらしい。これはかなり役に立ちそうな情報だ。また、ボスには取り巻きが何体かいるそうだ。僕たちは少人数のパーティーだからこの取り巻きを相手にすることになりそうだ。

「明日は、朝10時に出発する。では解散!」






翌朝10時。
みんなそろってフィールドを抜け、さらに迷宮区を昇り、ボスの部屋に。

「聞いてくれ、みんな。俺から言うことはたった一つだ。」
ディアベルはここで言葉をきり、皆を見渡した。
「勝とうぜ!!」
ディアベルの掛け声に、皆が頷く。

「行くぞ!」

ディアベルが扉を開け放つと、その向こうに巨大な部屋が現れた。部屋の端にあるのはどうやら玉座のようだ。そこに座る人物――いや、モンスターか――が立ち上がり、武器を持つ。



――IllFang the Kobold Load――
ボスの名前の下に四段のHPバーが縦列する。
同時に、小さな重鎧のモンスターが四体ポップ。Ruin Kobold Sentinel、と読める。



「攻撃、開始ッ!」



さあ、ボス戦の始まりだ……! 
 

 
後書き
次回は戦闘シーン入ります! 
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