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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第六十四話 Long Sword

 
前書き
ブイモンがデジタルワールドである物を入手する。
ルナモン[リリカルアドベンチャー始まるよ] 

 
ブイモンはデジタルワールドの草原で一人佇んでいた。
目を閉じ静かに息を吐くとゆっくり目を開いた。
そして、手に持っていた剣を構えると上空から落ちる一枚の葉を切った。
ブイモン[剣術って思ったより難しいんだな…]
手に持つクロンデジゾイド製の剣。
キメラモンの攻撃、もしくはイービルリング、イービルスパイラルによって支配されたデジモンによって滅ぼされたのか分からないが、廃墟となった町にあった鍛冶屋で偶然発見した物だ。
ブイモンの身体と同じで蒼く、美しい輝きを放つ剣に思わず惹かれるように剣を手に取った。
自分の身長よりも長い剣。
剣の名前はロングソードというらしい。
どうやら鍛冶屋の主の名はウルカヌスモンというデジモンで、そのデジモンが鍛えた剣のようだ。
鍛冶屋の工房は廃棄されて随分経っていた。
どうせ使わないのなら自分が貰っておこうと考えた。
身につければ役に立つだろうとその日から剣術の練習を始めた。
今では随分サマになったが、最初は構え方も分からなかった。
ブイモン[とにかく、この剣を身体の一部のように扱えるようにならなきゃな…]
ブイモンは再び剣…ロングソードを構え直した。
ブイモン[ていっ!!やっ!!どりゃあっ!!]
何度も何度も素振りを繰り返す。
しかし独学では限度がある。
ブイモンもそれには気付いているため、誰か剣に詳しい奴がいないか思い返してみる。

伊織は…駄目だ、剣を教えて貰おうとしたら何か聞かれるような気がする。

ダスクモン…駄目だ、実力が違い過ぎて下手したら殺されるかもしれない。

他の選ばれし子供…論外だ。






























ブイモンは仕方なく伊織が稽古をしている道場に向かう。
そして窓から中の様子を見る。
伊織と…恐らく伊織の祖父であろう人物が稽古をしていた。
ブイモンは見逃さないようにジッと見つめる。
そして稽古が終わり、伊織が出ていく。
ブイモンも帰ろうとした瞬間。
主税「覗き見とは感心せんな」
ブイモン[っ!!?]
思わず目を見開いた。
気配は消していたというのに気付かれていた。
ブイモンは伊織の祖父…主税を鋭く見る。
ブイモン[(一体何者なんだ?この爺さん…?)]
主税「ほう…伊織が連れている生き物とは大分違うのう…」
ブイモン[(バレてる…思いっ切りバレてるぞ伊織、ウパモン…)]
家族にはバレていないと言っていた癖に完全にバレているではないか。
主税「…お前さんに一つ聞きたい。お前さんはデジタルな世界の住人ではないのか?」
ブイモン[へ!!?]
それはつまり、デジモンのことを聞いているのだろう。
しかし目の前にいる老人はデジタルワールドやデジモンを知っていることになる。
ブイモン[何でデジタルワールドやデジモンのことを知ってるんだ?]
主税「正確にはわしではなく、わしの息子と息子の友達じゃ」
ブイモン[爺さんの息子と息子の友達が?どういうことなんだ?]
主税「……それについてはこの老いぼれの罪も話さなければなるまい…」
ブイモン[罪?]
主税「息子の浩樹と浩樹の友人の及川由紀夫君はデジタルなキャラクターが、自由に生きていくことの出来る世界の存在を信じていたんじゃ…。じゃが、わしは自分の息子のそんな姿に、不安を感じてそんな夢みたいな話をすることを禁止してしまったんじゃ。その時の二人の悲しそうな顔は今でも覚えておる。それから、青年に成長しても浩樹と由紀夫君はデジタルな世界の存在を信じて、夢を膨らませていたんじゃ。だが、浩樹の突然の死。あの時の由紀夫君の落ち込みようは普通じゃなかった。考えてみれば当然のことじゃ…。由紀夫君にとって友人と言えるのは、浩樹だけじゃったからなぁ…。あの時、わしがもっとあの子達の力になってやれたらとそう思うのじゃよ…。かつて伊織に言った…“今何をすべきか選ぶのは己自身。そして選んだ己を信じろ”という言葉を…何故言ってやらんかったのか…」
ブイモン[爺さん…]
主税「すまぬな、つまらぬ話を聞かせて……何故この道場を覗いていたのじゃ?」
ブイモン[あ、うん。実は……]
ブイモンは主税にこの道場に来た事情を言う。
今まで、剣術などしたことがないため、独学でやってきたのだが、とうとう限界になってしまい、教えて貰おうにも剣の使い手が身近にいなかったために、仕方なく道場の様子を覗いていたのだ。
主税「成る程のう…確かに剣を使う以上、独学では限界がある…」
ブイモン[だから、道場を覗いてたんだ…今は伊織にあんまり見つかりたくないからさ…]
主税「ふむ…ではこれを使うといい」
主税は使い古された竹刀を持って来ると、ブイモンに手渡す。
ブイモン[え?]
主税「わしが、お前さんに教えてやろう。何、伊織が学校にいる間は寂しくてな…」
ブイモン[ありがとう!!助かるよ!!]
こうして剣の師を見つけたブイモンは剣の腕を確実に上げていくのであった。






























おまけ

遼「はやて達は今頃何してるかな…」
シグナム「時間からして、昼食を食べている最中だろう」
遼「だろうな。ところでシャマルはどこ行った?」
ヴィータ「え?」
シャマル「遼君、ヴィータちゃん、シグナム~。」
全員【ん?】
シャマル「今日のおやつにケーキを作ってみたの!!」
遼「ケーキ…?」
グジュ…グジュ…ブシャアアア…。
シャマル曰くケーキ?から得体の知れないガスが出ている。
シャマル「ええ!!遼君、甘い物も好きだって言っていたでしょう?だから遼君のために作ったの」
遼「ヘ、ヘエ~美味シソウダナ~」
冷や汗ダラダラで、今にも倒れそうな遼だが、フォークを握る。
ドルモン[遼!!?]
遼「シャマルが…シャマルが俺のために作ったなら…食わなきゃ男が廃る!!」
シグナム「よ、よせ!!」
遼「…ゔっ」
ケーキ?を一口食べて撃沈。
シャマル「遼君ーーーーっ!!!!?」
ヴィータ「遼…あんた漢だよ…」
 
 

 
後書き
まさかの伊織の祖父、主税さん大活躍。
久々に遼も出ました。 
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