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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-10 すべての終わり
  Story10-1 75層Boss戦へ

第3者side


俺とフローラのデートの4日後、俺たち四人はヒースクリフからのメッセージを受け取り75層に来ていた。


75層のコリニア市のゲート広場には、すでに攻略チームのプレイヤーたちが集まっていた。

皆、一見してハイレベルと判るプレイヤーたちばかりで、シャオンたちがゲートから出て歩み寄ると、ピタリと口を閉ざし緊張した表情で目礼した。

今日は75層のBoss戦だ。












集合時間も近くなってきたためか転移門の辺りには攻略組のプレイヤーで溢れていた。

「よう!」

陽気な声とともに肩を叩かれたので振り返ると……そこには日本の武士みたいな防具を纏い、頭には真っ赤なバンダナをした男が立っており、隣にはスキンヘッドで両手斧を背負った男もいた。

クラインにエギルだ。

「なんだ、お前らも参加するのか」

「なんだってことはないだろう!」

「お前もちょっとは無私無欲の精神をだなぁ…………」

「無私はよーく分かった。じゃ、お前はアイテムの分配から外していいんだな?」

「そりゃないぞ!」

苦笑いしながら久しぶりに会った旧友と握手をかわした。















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆















集合時間になったようだ。

転移ゲートから新たな数名が出現した。

真紅の長衣に巨大な十字盾を携えたヒースクリフと、血盟騎士団の精鋭で、彼らの姿を目にしたプレイヤーたちの間に再び緊張が走る。


ヒースクリフが集まった人だかりの中央に行き全員に声をかけた。

「欠員はいないようだな。

よく集まってくれた。状況はすでに知っていると思う。

厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。

開放のために!」

ヒースクリフの力強い叫びに、プレイヤーたちは一斉に鬨の声で応えた。

キリトはヒースクリフの方を見ている。


ヒースクリフはそんなキリトの視線を感じ取ったのか、此方を振り向くと、かすかな笑みを浮かべた。

「キリト君、シャオン君、今日は頼りにしているよ。

『二刀流』ふるってくれたまえ。

フローラ君も、期待しているよ」

「んじゃ、その期待に答えさせてもらいますかね」

フローラがニコリと微笑み頷く中、俺は適当に彼をあしらう。

低くソフトなその声にはわずかな気負いも感じない。


キリトも無言で頷いたのを確認したヒースクリフは、再び集団を振り返り、手をあげた。

「では出発するとしよう。

道は私が開こう」

ヒースクリフはそう言うと腰の茶色ポーチから回廊結晶を取り出した。

すると、その場のプレイヤーたちから『おお……』と嘆声の声が漏れる。


回廊結晶は希少度が高い上に、NPCのショップでは売ってない。

手に入れるには迷宮のトレジャーボックスか、強力なモンスターからしかドロップしない。

シャオンたちも持っているが本当に危機的状況の時のための備えとしてもっているだけだ。


さっき皆が嘆声したのはそれをあっさり使おうとするヒースクリフに対して驚いたというところだろう。

当のヒースクリフはそれに対して意に介さぬといった感じだ。


ヒースクリフは結晶を握った右手を高く掲げると

「コリドーオープン」

と発声する。

コリドーは瞬時に砕け散り、ヒースクリフの前にある空間に青く揺らめく光の渦を出現させた。

「では皆、ついてきてくれたまえ」

一言周りに言った後、紅のマントを翻し光の中に消えて行った。


いつの間にか周りには激励に来た人たちや攻略組のプレイヤーにアイテムを売りに来た商人たちで溢れていた。


周りにいた攻略組のプレイヤーたちもヒースクリフの後に続くよう光の渦に入っていった。

残ったのはシャオンたちだけだ。

「さ、俺たちも行こうか」

シャオンの問いかけに残りのメンバーは無言で頷き、
ヒースクリフによって作られた光の渦に入っていった。
















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
















目を開けてみたら、そこはもう迷宮の中だった。

そしてその先には巨大な扉があった。

この迷宮区は僅かに透明感のある黒曜石が使用されており、それを組み上げて作られている。

ごつごつと荒削りだった下層の迷宮とは違い、鏡のように磨き上げられた石が直線的に敷き詰められていた。

空気は冷たく湿っていて、薄い靄がゆっくりと床の上をたなびいている。


周りでは30人のプレイヤーたちが三々五々に集まって、メニューウインドウを開き、装備やアイテムの確認をしていた。

「フローラ、俺が絶対に君を守る」

「うん…………」

フローラはどうやら不安のようだ、今まで25、50層のようなクォーターポイントの時はどのBossも手ごわかった。

今回もそうなると予想しているのだろう。

シャオンはフローラの手をぎゅっと握った。

そして、軽く頷く。

フローラも握り返しこくりと頷いた。

キリトたちもどうやら何かしているらしい。

ヒースクリフはどうやら今回のBoss攻略の大まかな説明しているらしい。

「今回、Bossの攻撃パターンに関しては情報がない。

基本的にはKoBが前衛で攻撃を食い止めるので、その間に可能な限りパターンを見切り、柔軟に反撃して欲しい」

剣士たちが無言で頷いた。

「では、行こうか」

ヒースクリフは無造作に黒曜石の大扉に歩み寄り、中央に右手をかける。

全員に緊張が走った。

並んで立っているエギルとクラインの肩を背後から叩き、振り向いた2人に向かって言葉を紡ぐ。

「死ぬなよ」

「へっ、お前ぇらこそ」

「今日の戦利品で一儲けするまではくたばる気はないぜ」


2人がふてぶてしく言い返した直後、大扉が重々しい響きを立てながらゆっくりと動き出した。

プレイヤーたちが一斉に抜刀する中、キリトたちも各々の武器を引き抜く。

シャオンも剣の柄に手をかける。



扉が開き、集まった攻略組たちが一斉に入って行く。
















Story10-1 END 
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