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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Myth15エリーゼの涙・アムルは燃え朽ちて~No mercY~

†††Sideシャマル†††

私たちグラオベン・オルデンは、全員が魔力も体力も消費してしまった事で一度アムルに戻る事になった。私も負傷者の治療で魔力が空っぽ。ザフィーラは死にかけたし、オーディンさんも“エグリゴリ”(偽物だったようだけど、それでも尋常じゃない強さ)との戦闘で、それ以上の戦闘続行が不可なほど疲労。
アギトちゃんもシグナムもヴィータちゃんもそう。あのシュリエルだって立てないくらいだったもの。そして私たちの新しい家族になった、アギトちゃんの妹に当たる融合騎の七番騎・アイリちゃんも「今さら疲れが・・・」ってフラフラ。

「アイリ、アギト。2人ともお疲れさまだ」

オーディンさんはそう労って2人を自分の肩に座らせた。アギトちゃんはそれだけで幸せそうに破顔して、アイリちゃんは安らげる場所と解ってほんわか。
可愛いわ2人とも。このまま他の融合騎も家族に出来ないかしら。そうしたらもっと楽しい日常を送れるかもしれないのに。そんな夢のような願いを胸に、私はオーディンさんの肩の上で話している2人を眺める。ある程度魔力も回復したことで、空を飛んでアムルへと向かう事になって・・・・

「ん? なんだ? 様子がおかしい・・・!」

オーディンさんの口から焦りの含まれた、私たちにも不安を抱かせる声がぼそりと出た。私たちにはまだアムルは遠くて良く見えないけど、オーディンさんが言うならたぶん本当に異常が起きている。オーディンさんは速度を上げて、私たちも必死に追いかける。そこで判る。オーディンさんの結界が無くなってる。
それだけじゃなくてアムルの中央区から黒煙が上がってる。そこは、私たちの住んでいるエリーゼちゃんの家がある場所。オーディンさんは「エリーゼ!!」と叫んで、さらに速度を上げて私たちを置き去りにした。その衝撃でアギトちゃんとアイリちゃんは「わぁ~~っ!?」オーディンさんの肩から投げ出されて、アギトちゃんはシグナムに、アイリちゃんはシュリエルに受け止められた。

「くそっ、どうなってんだよっ!」

「判らん。だが我々がアムルを空けている間に、別動隊に攻め込まれたと見るべきだ・・・!」

「しかしあれほどの高密度の魔力で創られた主の結界を貫くなど出来るものなのか・・・!?」

「判らない。ただ何者かが結界を破壊した事実だけが、我らの目の前にある・・・!」

「そんな事より急ごう! エリーゼ達が心配だよっ!」

「そうね・・・!」

私たちも速度を上げて続く。どうか誰も亡くなっていませんように。そう心の奥底から願いながら。

†††Sideシャマル⇒エリーゼ†††

燃え上がるアムルの中央区。また・・・また、わたしの宝物(アムル)が壊された。

「っ・・アンナ・・・」

燃え盛るわたし達の屋敷を見ながら泣く事しか出来ない。わたしは、やっぱり何も出来ない無力な小娘だった。ぺたりと座り込んでるわたしは、ターニャに治癒を掛けてるルファを見る。ルファも泣きながら、それでも医者見習いとして頑張ってる。
少し離れたところではモニカが街のみんなに治癒を行ってる。2人は無傷。わたしも無傷。ただ、アイツに向かって行ったターニャや街の何人かが重傷を負ってる。街は壊されちゃったけど、救いは誰も死ななかった事。アイツは、誰も殺さなかった。そう。アイツの狙いは・・・アムルを侵略する事じゃなくて・・・「アンナ・・・!」どこにも居ない親友の名前を呟く。

「エリーゼ!!」

耳に届くわたしの大好きな人の声。バッと空を見上げれば、そこには背中から蒼く光り輝く剣の翼を22枚生やしたオーディンさんが。涙がもっと溢れ出てくる。フラフラ立ち上がって、降り立ったオーディンさんの元に覚束ない足取りで向かう。・・・「オーディンさん」ごめんなさい・・・「オーディンさん」お願い・・・「オーディンさん」助けて・・・「オーディ・・ン、さん・・」アンナを・・・「オーディンさん!」助けて・・・!
わたしは何度もオーディンさんの名前を呼びながら胸にしがみ付く。嗚咽が止まらなくなる。わたしを抱き止めてくれるオーディンさんは「何があったんだ?」って、治癒を終えてきたモニカとルファに尋ねる。

「ぅく・・イリュリアの・・ひぅ・イリュリア最強の騎士が来たんです・・・ひっく・・・」

「はい・・・イリュリア騎士団総長・・グレゴール・・・です・・・ぐす」

「騎士団総長・・・!?・・・エリーゼ、モニカ、ルファ・・・。すまない。私がもっと早く戦いを終わらせて帰っていれば・・・」

わたしの両隣りに来たモニカとルファもオーディンさんは抱きしめた。

「なんだよこれ・・・ひでぇ事しやがる・・!」

「あたし達の家が・・・」

ヴィータとアギト、シグナムさん達も無事に帰って来てくれた。それと、見知らぬ小さな女の子が1人増えてる。アギトと同じ大きさだから、すぐに融合騎の子なんだと理解。オーディンさんがまた味方を増やしたよう。本当ならその子もみんなと一緒に、いつもみたいに笑顔で迎えたかった。
でも・・・もうそれは出来なかった。それも辛かった。美味しいご飯をみんなで食べて、楽しくお喋りして、また明日を迎える。それがもう出来ない。そう思うと止まりかけた涙がまた溢れ出てくる。モニカとルファももう泣きだしちゃった。

「・・・とりあえず消火、だな。我が手に携えしは確かなる幻想・・・!」

わたしとルファの背中に回されていた腕が離れて、屋敷に向かって伸ばされた。屋敷を燃やしている炎がオーディンさんの手の平に吸い込まれていって、一瞬で鎮火。でも屋敷の大半は燃え落ちて、もう住む事が出来そうもない。父様と母様、使用人のみんなとの思い出も、オーディンさん達が来てからの思い出も・・・消えた。

「そう言えば、アンナはどこです・・・?」

シャマルさんのその一言で、わたし達は体を震わす。早く説明しないといけないのに嗚咽が止まらなくて上手く声が出せなかった。けど無理やりにでも押さえ込んで話さないと・・・

「ぅく・・・実は・・・」

◦―◦―◦―◦・・・回想です・・・◦―◦―◦―◦

シグナムさん達がイリュリア騎士団の迎撃に向かって、わたし達はいつものように祈りをしていた。どうかみんなが無事に帰ってきますように、って。祈りを終えて「砲撃・・・止んだね・・・」モニカが窓から空を眺めながら呟いた。わたし達も倣って窓から空を眺める。オーディンさんが張った魔力の結界によって空が桃色で、ちょっと変な感じ。

「アンナも大役を任されちゃったよね。すごく緊張してるんじゃないの?」

「そう? 私は嬉しいわ。魔導はオーディンさんのものだけれど、結界管理は私。アムルを護れているのは私。誇りに思うわ、この役」

モニカにそう言われて、アンナはそう誇らしげに笑みを浮かべながら手に持っている一振りの剣に視線を移す。あの剣が、あの結界を操作するための鍵だってシグナムさんは言っていた。実質アムルを護っているのは確かにアンナかも。
それから少し。何事もなく時間は経っていって、そろそろオーディンさん達が帰ってくる頃かな、と思っていると、ズズンって屋敷が揺れた。

「なに? 今の揺れ・・・?」

「ちょっ、あれっ! 煙が上がって――爆発っ!?」

ルファが慌てて窓の外を指差した。ルファの言う通り街から黒煙が上っていた。事故? ううん、だったら連続で爆発が起きるわけがない。まず間違いなく侵入者がいる。アンナが「これほどの強力な結界を抜けて来る奴なんて、かなりまずい相手だわ!」そう言って駆け出した。わたし達もアンナに続いて屋敷を飛び出して、爆発が起こってる場所を目指そうと中庭を走っていた時、

「ふむ。やはり自らが治める街の危機と知れば、否応なく安全な穴倉より出でるが主の習性か」

堅苦しい口調をした男の声が頭上から降ってきた。わたし達の先頭を走っていたアンナが急に立ち止まりつつ振り返って「屋根の上!?」屋敷の上を見上げた。わたし達も振り返って屋根の上を見上げる。そこには1人のおじさんが居た。
ただ屋根の上に登りたがるだけの頭が少し残念なおじさんならどれだけ良かったか。そして、アムルの住民であればどれだけ良かったか。屋根の上に立つおじさんは、アムルの住民でもなければ頭が残念な人でもない。

「そんな・・・どうしてお前のような奴がここに居る・・・グレゴール!」

「礼儀を弁えぬ娘だ。まぁ、よかろう。敵対者同士、礼も義も必要あるまいて」

アンナがわたし達を庇うように前に躍り出ておじさんを睨みつける。

「イリュリアに牙を剥く愚か者である魔神オーディンの弱点を突きに来たのだ」

おじさん――ううん、イリュリア騎士団総長グレゴールは真っ直ぐにわたしを見る。グレゴール・ベッケンバウアー。最前線で活躍できる騎士の平均年齢50歳を超えてもなお最強と謳われる騎士だ。そんなイリュリアの超大物が、「エリーゼ・フォン・シュテルンベルク卿。一緒に来てもらおう」わたしを狙ってる!

「逃げてエリーッ!!」

アンナのその叫びでハッとして踵を返そうとするけど、足が動かない。恐い。怖い。コワイ。グレゴールが、じゃなくて・・・アンナを失いそうになるのが何よりも怖い。だって相手はイリュリア最強の騎士。アンナだって強いけど、相手が最悪過ぎる。
二の足を踏んでいると、「モニカっ、ルファっ、エリーを連れて逃げてッ!!」アンナは2人にそう告げる。でも2人も動けない。アンナを独りにして、その先がどうなってしまうのか想像に難くないから。

「何やってるのッ、早く逃げ――」

「無理を言うものではない。あの娘たちは、お前の身を案じているのだ。親しき者の危険を目の前にして、そうそう見捨て逃げる事など出来はせん」

何もかもグレゴールの言う通り。アンナが「私はあなた達を護る騎士なのっ! 行きなさいッ」怒鳴ってくるけど・・・。嫌だよ。置いていけないよ。アンナ、殺されちゃうかもしれないのに。もう二度と会えないかもしれないのに・・・。
両拳をギュッと握りしめてグレゴールを睨みつける。すると「良い。小娘にしては鋭い殺気だ」そう言いながら地上に降り立った。グレゴールは体を包んでいたマントを払って、背中にある鞘から一振りの剣を抜き放った。

「再度言おう。エリーゼ・フォン・シュテルンベルク卿。我と共に来てもらおう」

「馬鹿を言わないで。誰がエリーを連れて行っていいなんて許した?」

アンナがレイピア・“アインホルン”を起動して、剣先をグレゴールに突きつけて・・・目にも留まらぬ速さでグレゴールの胸を貫いた。「え?」わたしたち全員からそう漏れる。あまりに呆気なく刺さったアンナの“アインホルン”。
グレゴールの胸が少しずつ血に染まっていく。そしてガクッと膝が折れてそのまま地面に倒れ伏した。アンナは呆けた顔で「やった・・・の?」グレゴールの生死を確かめるためにしゃがもうとして、

「ふむ。瞬速にして華麗な刺突、実に見事だったぞ娘」

「「「「っ!?」」」」

何事もなく立ち上がったグレゴールにわたし達は戦慄。だって確かに刺さったし血も出た。それなのにグレゴールは顔色一つ変えないで、今こうしてわたし達を見詰めている。グレゴールは刺された辺りを弄りながら何度も頷く。それを見てアンナが「逃げて・・・早く・・・!」震えた声でそう言ってきた。そして足元に赤紫色の魔法陣を展開して、“アインホルン”に赤紫色の雷撃を纏わせた。

――カスパール――

「お願いだから早く逃げてッ!」

“アインホルン”を振るう事で生まれた雷撃の魔力弾を8基、グレゴールに向けて放った。グレゴールは動かないで、何をするまでもなく堂々と仁王立ちのまま直撃を受け入れていく。感電しているのは確か。だけどそれでも倒れないし笑みも消さない。全身に鳥肌が立つのが判る。おかしい。刺されても雷撃を受けても倒れないその体もそうだけど、ただ真っ向から受けようと考えるその思考を導き出す頭はもっとおかしい。

「あ、あなた・・ま、まさか・・・痛みに快感を覚える人・・・?」

グレゴールのあまりの異常さにアンナがそう言って後ずさる。するとグレゴールは大笑い。ひとしきり笑った後に「解らんか? お前の魔導程度では倒れん、と教えているだけよ」と告げた。それでやっと思い知る。あれだけの攻撃を受けても平然としている。それはつまりアンナの攻撃は一切通じない。アンナはグレゴールに勝てない。これは解ってた。だけど何一つダメージを与えられないなんてあんまりだよ。

「解ったか? 解ったのなら退け。そしてお前の主であるエリーゼ・フォ・シュテルンベルク卿を差し出せ」

「寝言は寝て言うものよ・・・! ちゃちな攻撃で倒れないなら、直接その心臓と脳髄を貫いて殺してやるッ!!」

――バリサルド――

アンナの雷撃纏う刺突を剣でいなしたグレゴールは「無駄だというのがまだ解らんか? いや、解っていながらか。大した忠義心だ」空いている左手で拳打を放ってきた。アンナも負けじと顔面に迫る拳打をかわして肩から突っ込んだ。グレゴールは少しもよろけない。でも「体内に直接電流を流して、内臓を焼き滅ぼしてやるッ」またグレゴールに“アインホルン”を刺したアンナがそう言った直後、

――バリサルド――

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

グレゴールが絶叫。体内に高出力の電流を流されて、バチバチ周囲に放電しながらもグレゴールはまだ倒れない。それどころか左手を伸ばして「うそでしょ・・ぅぐ」アンナの胸倉を掴み上げた。首が閉まっている所為でアンナは苦しそう。助けに行きたいのに恐怖で足が動かない。
アンナは口端から涎を流しながら「逃げ・・て・・・はや・・」“アインホルン”から手を放して、グレゴールの左手首を鷲掴んで放そうとする。恐怖を振り払って「アンナっ!」駆け寄ろうとしたその時、「うぉぉおおおおおッ!」幾つもの雄叫びが聞こえて来た。街の人たちだ。騎士団の皆さんから譲り受けた武装を手に、グレゴールに突撃して行く。

「良い。実に良い関係を構築しているようだな、アムルの街は。羨ましい限りだ」

グレゴールはそう笑ってアンナを放り投げた。わたしとモニカとルファでなんとか受け止める。げほげほ咽るアンナに「大丈夫アンナっ?」声を掛けると、「何で逃げないの・・・!」責めるような目を向けて来た。
だから「置いていけるわけないよッ!」怒鳴る。モニカも「見殺しになんか出来ないって!」って泣いて、ルファだって「そういうこと」ってアンナにデコピン。少しアンナが放っていた空気が和らいだ気がした。でも「うわぁぁぁああああっ!」悲鳴がわたし達を凍らせる。街のみんなが宙を舞って・・・ドサドサ地面に叩きつけられた。

「加減はした。が、骨折程度の代償は覚悟してくれたまえよ、アムルの民たちよ」

グレゴールは体に刺さってる“アインホルン”や剣に斧を澄まし顔で抜いたと思えばポイポイ放り捨てて、でも“アインホルン”だけはアンナの足元に狙って放った。ザクッと地面に刺さった“アインホルン”を抜いたアンナが「エリー。モニカ、ルファ。お願い。逃げて。でないと絶交よ」そう言って、

「う・・・ああああああああああああああああああああああッ!!」

また突撃して行った。どうすればいいの? 一体どうすればわたし達は全員無事で逃げ伸びられるの・・?
ポンと肩に置かれる手。振り返れば、服飾店シュテルネンリヒトの店主ターニャが居た。いつものニコニコ笑顔じゃなくて、今までに見た事がない真剣な硬い表情。服装も、丈の長い長衣で、両腰までスリットが入ってる。足を上げれば中が見えちゃうし、体にピッタリ張り付くほどだから体型が判る、かなり妖艶な格好。

「私とアンナで押さえる。あなた達はその間に逃げて」

――紅蓮拳――

ターニャはそう言った後、突き出した拳から真っ赤に燃える火炎の砲撃を放った。砲撃が消える前にターニャはもう動いていた。火炎砲の尾を追いかけるように走って、火炎砲を回避する事で生まれたわずかな隙にグレゴールに肉薄。
そして「春光拳・炎螺双砕!」両手の平に渦巻く炎の塊を生み出して、掌底と同時に炎塊をグレゴールにぶつけて爆発を起こさせた。グレゴールはその爆発で吹っ飛んで屋敷の外壁を打ち破って・・・その姿を屋敷内に消した。屋敷の壁が壊れたけど、命があってこそだ。壊れた屋敷は・・・・直せばいいんだ。

「今よっ! 早く今の内に逃げてッ!」

「見たでしょ。私とアンナの2人なら何とかなるから・・・!」

アンナとターニャから反論はもう許さないって目を向けられる。わたしは「2人とも。・・・みんなでまた笑い合う。これ、約束だから」2人にそう告げて踵を返して走りだす。モニカとルファもわたしに続いて来る。オーディンさん達が帰ってくるまで何とか耐えて、アンナ、ターニャ。
街中を走る中、街のみんなに出来るだけ中央区から避難するように呼びかけながら「ダメっ、やっぱり思念通話が繋がらない!」オーディンさん達の誰でもいいから連絡が繋がれば良いと思って送るけど、全然繋がらない。

「また屋敷の方で爆発が起きてる・・・!」

ルファが袖で涙を拭いながら悔しげにそう呟いたのが聞こえた。わたしだってもう涙でぐずぐずだ。でもアンナとターニャが命がけで戦ってる。だから今は足を止めてまで泣いてる場合じゃない。そう思ったのに・・・「結界が、消えた・・・!?」アムルを護っていたオーディンさんの結界が消えた。わたし達は立ち止まって、桃色から澄んだ青色に戻った空を見上げる。

「結界・・・制御してたの・・・アンナ、だよね・・・?」

モニカの呟きに、わたしは脚から力が抜けてその場にへたり込んでしまった。嫌な想像が頭の中を駆け巡る。地面に倒れ伏すアンナとターニャ。2人から広がる赤い・・・。「ヤだ・・そんなの・・嫌だ!」すぐさま立ち上がって屋敷へと続く街路を逆走。
後ろからルファの「行っちゃダメっ!」って制止が掛かるけど・・・行かなきゃっ。走る。走る。走る走る走る。何度か足がもつれて転びそうになるのを無理やり耐える。

「エリー・・・!」

名前を呼ばれた。しかもその声は、今一番安否を知りたかった「アンナっ・・?」の声だ。キョロキョロ辺りを見回すと、一軒の家の陰から・・・「え?」わたしが出て来た。呆けてしまっていると、「変身魔法で、今はあなたの姿をしてるのよ」アンナの声がもう1人のわたしの口から発せられた。

「変身魔法って・・・何でわたしなんかに・・・・あ」

どうしてアンナがわたしに変身しているのかその理由を察した。だからアンナのその馬鹿げた考えをすぐさまやめさせようと駆け寄ったところで、

「ごめんね」

「ぅぐ・・!?」

お腹を殴られた。殴られたところを手で押さえながら、どうして?って訊こうとしたけど声が出ない。それどころか目の前が暗くなる。ダメ・・・意識が遠のく。耳にドサッと音が届く。わたし自身が倒れた音。揺らぐ視界に入るアンナの表情はとても悲しそうで・・・辛そうで、もう泣いてしまいそうなもの。

「今までありがとうエリー。オーディンさんと幸せになってね。・・・・さようなら、私の命よりもずっと大事な・・・私の妹(エリー)・・・」

ここでわたしが完全に意識を失った。
あれからどれだけ経ったんだろう。わたしは目を覚まして・・・「アンナっ!?」すぐさまアンナの姿を捜す。気が付けばそこは誰かの家の中で、わたしはベッドに寝かされていた。わたしはアンナを捜すためにすぐに跳ね起きて家の外に出る。
それにしても「アンナ、本気で殴ったよね・・・痛い」殴られたところがズキズキ痛む。でも構っていられない。今はアンナを捜さないと。だけど、どこを捜せばいいのか判らないまま走り続けて・・・・結局は逃げ出した屋敷に戻ってきた。

「・・・・ひどいよ・・・・」

最後に見た時より酷くなってる屋敷の損害。フラフラ近付いていくと、「ターニャっ!」燃える屋敷の前で倒れてるターニャの姿に気付く。駆け寄ってみれば、ターニャは傷だらけだった。

「エリー・・ゼ・・・無事・・で・・よかった・・・」

「無事だよターニャっ。ごめんなさい・・・ありがとう・・・!」

わたしを見て安堵してるターニャに、守ってくれたことにお礼を言う。するとターニャも「ううん・・・私も・・・アンナの事、ごめん・・ね」って謝った。そしてターニャは何度も意識が飛びそうになるのを堪えながらも教えてくれた。
アンナとターニャが、グレゴールからわたしを護るために考え抜いた末に決断した策。それはやっぱりわたしの考え通りだった。アンナは、わたしの身代わりとしてグレゴールに連れ去られた。

「「エリーゼっ!」」

後ろから呼びかけられて振り返る。息を切らしたモニカとルファが駆け寄って来て、私の勝手な行動を怒る前に・・・「ターニャっ、それに街のみんなも!」ターニャの様子と、倒れたままの街のみんなを見て、すぐに治癒の魔導を掛け始めた。

「エリーゼ、すっごく心配したんだからっ! あとで文句聞いてもらうからねっ!」

「そうだよっ。・・・・それで? アンナはどうしたの・・・?」

モニカのその一言にビクッとなる。「実は――」わたしが見た事、ターニャが話してくれた事を伝える。見る見るうちに2人の顔が強張っていく。そして「そんなの自殺行為じゃんかッ!」モニカが叫んだ。ルファも「気付かれでもしたら、すぐにでも殺されてしまう・・・!」顔が青褪めた。
わたしが俯いた事で2人は口を噤んで「ごめん」本当にすまなさそうに謝ってきた。わたしの身代わりになったアンナ。そのアンナの行動に文句があるという事は、それはつまりわたしが拉致されるべきだったという事になるから。
それに察したから2人は黙ったんだ。「い、今からでもわたしがイリュリアに行けば・・・」そう言って立ち上がろうとすると、「ダメっ! アンナの決意が無駄になる!」ターニャに止められた。

「・・・解ってるでしょ。あなたが人質になると、間違いなくディレクトアは力を揮えなくなる。そうなればシュトゥラは負ける。それにあなたの命を盾にディレクトアを操って、戦争の道具にするかも。あのディレクトアが敵になる。そうなれば・・・判るでしょ。イリュリアの一人勝ち。だからアンナは命を懸けた。シュトゥラの未来のために。そしてあなたとディレクトアの未来のために」

「アンナ・・・」

また涙が溢れ出る。「ターニャ。アンナが無事で帰ってくる事って・・・」モニカのその問いにターニャは「もう逢えないって思った方が良い・・・かも」残酷な答えを返した。

「アンナを助けに行かないと・・・!」

「助けに行ってもダメ。アンナは・・・元から死ぬつもりなの」

「「「え・・・?」」」

「自分だって人質としてディレクトア達の活動を邪魔する駒にされるかもしれない。だからアンナは考えた。死んでもアムルに損害がない自分って決めつけたアンナは、エリーゼを連れて来いって指示を出した奴を暗殺するつもりなの。何もせずとも偽者とバレれば殺される。だったら殺される覚悟で・・・・」

それがアンナの狙いだった。始めから死ぬつもりだったんだ。だから、さようなら、って。もう全部は手遅れなんだって思えてしまう。もう何も出来ない。「アンナ・・・アンナぁぁぁ・・・!」出来る事と言えば、泣くことくらいだった・・・・。

◦―◦―◦―◦・・・回想終わりです・・・◦―◦―◦―◦

話を終える。オーディンさん達も、アンナのその覚悟と行動に顔を青褪めさせた。そしてすぐに「マイスターっ、アンナを助けに行こうよっ!」アギトがオーディンさんにそう言うと、オーディンさんも「もちろんだっ」って踵を返そうとする。
オーディンさん達グラオベン・オルデンなら、きっとグレゴールを相手でもアンナを取り戻せるはず。だからお願いしますって言おうとしたんだけど、ターニャが「ダメだよディレクトア」オーディンさんを止めた。

「どうしてなのターニャ? まさかアンナを見捨てる、なんて事は無いわよね・・?」

「私だってアンナを助けたい。でも・・・アンナを盾にされたら、いくらみんなでも勝手が出来ないでしょ・・・?」

「だからと言って見捨てるわけにはいくまい。アンナは我々の大切な家族だ。家族に危害が迫っているのならば、何をしても助ける」

「最悪アンナが深い傷を負っても、私とシャマルで完璧に治す。もちろん最悪な展開などにさせない。大丈夫だよターニャ。それにエリーゼ、モニカ、ルファ。必ずアンナを無事に連れてかえ――」

――フェイルノート――

空気を裂く音と一緒にアムル上空を飛んできたのは、あの巨大な砲撃を反射するための砲弾。

「くそっ、魔力が残り少ない時に限って・・・!」

オーディンさんが憎々しげにそう呟いたのが聞こえたから、すぐにオーディンさんの右手を取って、手の甲に口づけする。わたしの能力・乙女の祝福クス・デア・ヒルフェを発動。2つ有る魔力核の片方の魔力を全てオーディンさんに流す。

「助かったよエリーゼ。・・・ちょっと無茶が出来そうだな。アイリ・・・!」

アイリって呼ばれた新しい家族の子は「うんっ!」力強く頷いて、オーディンさんと融合した。そして「我が手に携えしは友が誇りし至高の幻想」オーディンさんは詠唱して、両手を空に翳した。

――天花護盾(クリュスタッロス・アントス)――

空に咲くのは、氷で出来た雪の結晶ような盾。それに反射鏡の砲弾が着弾――したと同時に一瞬に氷結されて粉砕、小さな氷の破片となって宙に散った。

――カリブルヌス――

遅れて来た巨大な魔力砲。すると氷の盾が少し傾いたのが見えた。魔力砲が着弾。すると空に軌道を変えて消えて行った。オーディンさんは「馬鹿正直に受けるより逸らした方が良いな、やはり」と納得したように頷いてる。
もうイリュリアの砲撃なんて怖くない。そう思ったのに、「・・・・嘘だろ・・・連発してきやがった!!」ヴィータの叫びに、わたし達は戦慄する。同じ砲撃が続けざまに飛来してきた。さすがにオーディンさんも「それは卑怯だろうッ!」そう叫んで、

――女神の護盾(コード・リン)――

――天花護盾(クリュスタッロス・アントス)――

氷の盾が3枚追加されて、そして女性が祈る姿が描かれた盾が4枚、計8枚の盾が空に展開された。「オーディンっ!?」シュリエルさんの悲鳴。空からオーディンさんへと視線を移す。絶句。オーディンさんの顔色は真っ青だった。
それに小さく「またやってしまった」と悔しげに、そして哀しげに呻くのが聞こえた。一瞬で理解する。「マイスターっ、また記憶を失っちゃったんじゃ!?」アギトの悲痛な叫びを聴くと、頭の中がグチャグチャになりそうになる。

「いっつつ・・・。気にするな。私にとってもうひとつの故郷とも言えるアムルを護れるなら――」

7つの砲撃が盾に着弾して、さっきと同じように空へと軌道変更されて消えて行った。

「安い代償だ」

オーディンさんは無理やり笑顔を作ってわたし達を安心させようとしてる。こんな時になんて言えばいいのか判らない。頼ってばっかりで、オーディンさんにだけ辛い思いをさせて・・・・

(こんなわたしに、オーディンさんを好きになる資格なんて・・・きっと無い・・・)

シュリエルさん達も、オーディンさんの負担を減らすために防御を手伝おうって相談し合ってる。少し離れたところで意識を取り戻したみんなの様子を看てるモニカとルファ。それなのにわたしと言えば、泣いて喚いてオロオロうろたえていただけ。本当に嫌になる。

「我が主っ! 戦船ですっ!」

「次から次へと・・・本気で潰しに掛かってきたな、イリュリア・・・!」

「反射砲に艦載砲。さすがに我々だけでは防ぎきれんぞ!」

「オーディンさん、どうしたらいいですかっ!?」

「そ、そうだオーディンっ。前の戦いで召喚した使い魔を出せばいいじゃんっ」

「アンゲルスをか? 今の魔力で行けるか・・・? いや、そんな事を言っている場合じゃないな」

「いくらなんでも無理をし過ぎですオーディンっ」

「そ、そうですっ。最悪、今度の記憶障害で私たちの事を忘れてしまうかもしれないんですよっ」

シャマルさんのその言葉に、わたし達はハッとする。今はまだわたし達との思い出は消えてないけど、いつ消えちゃうか判らない。もっと後かもしれないし、次かもしれない。だから「マイスターっ、もう魔力を使っちゃダメっ」アギトが泣きだす。

「しかしそれでは――」

1隻の戦船が放った砲撃がアムルの端に着弾して、その振動がわたし達を襲った。しかもそれだけじゃない。戦船の様子がおかしい。徐々に高度を下げて行ってる。あのままじゃ墜落するのに。それなのに降下が止まらない。本当に墜落・・・まさか。

「おい、ちょっと待てよ。戦船が突っ込んできやがった!」

戦船が墜落して、アムル郊外の一画を押し潰した。その上砲門を開いて砲撃を放ち始めた。郊外が火の海になる。最初は頭が理解できなかった。でも事態を呑み込めた瞬間、

「いや・・やめて・・・やめて・・・やめてよ・・・もうやめてよぉぉぉーーーーッ!!」

泣き叫んだ。あそこには、初めて医者らしい事をして、初めて担当した患者さんだったオーディンさんと話した別宅があったのに。頭の中が真っ白になって、ただやめさせたいって思って駆け出そうとしたけど「エリーゼっ。街のみんなの避難を優先しよう!」ターニャがわたしの肩に手を置いてそう言ってきた。
避難? 何を言ってるのターニャ。避難なんかしたら、街がもっと壊されちゃうよ。壊されるより支配されちゃうかも。そうなったら好き勝手される。家族を喪って、屋敷を失って、最後はアムルの街そのものを失っちゃう。それだけは絶対にダメ。嫌だ。だから何か言い返そうって思うんだけど、声が出ない。頭は、心はもう理解してる。ここに居てももう何も出来ない。それほどまでに追い込まれてる。

「もう解ってるでしょ、エリーゼ。ディレクトア達も。状況は最悪すぎる。私だって悔しいよ。でも見て。今からあの戦船の侵略を食い止められる? ディレクトアはもう限界。シグナムさん達だってもうフラフラ。アンナは居ない。ここでまたグレゴールのような騎士が現れたら、間違いなく負ける」

ターニャの反論を許さないって目に、わたしもオーディンさん達も黙るしか出来なかった。

「・・・グラオベン・オルデンのみんなに、アムルの主としてお願いがあります。アムルの住民の避難を・・・ひぅ・・アムルからの退避を・・・ぅく・・・」

「「「「「「・・・ヤヴォール・・・」」」」」」

「・・・決断してくれて、ありがとう・・・エリーゼ」

オーディンさん達は了承してくれて、ターニャと一緒に散って行った。

「「・・・・エリーゼ」」

「悔しい・・・ひっく・・・悔しいよ・・・ぐす・・・わたし、何も出来なかった!!」

「「エリーゼ!」」

モニカとルファが抱きしめてくれた。
今日この日、アムルに住んでいたわたしたち全住民は、イリュリアの侵略行為に屈し、イリュリアから逃げるように避難した。わたしは・・・親友のアンナを失って、屋敷を失って、果てにはアムルの街全部を失った。

◦―◦―◦―◦―◦―◦

イリュリア王都スコドラに在る王城の大庭園。池の畔に、イリュリア女王テウタがロッキングチェアに揺られながら恋愛小説を読み耽っていた。彼女は待っていた。イリュリア騎士団総長グレゴールに下した命令を、彼が果たし、成功報告をしに来るのを。
小説を半分ほど読み終え、「運命の赤い糸、ね~」と自分の小指をしげしげと眺め始めた。それから自分が恋愛をしている妄想をし、「ないわね」ガックリ肩を落とす。とそこに、「テウタ陛下」と呼ぶ声が。テウタは小説に栞を挟み閉じ、「待っていましたよ、グレゴール」と姿を現したグレゴールを迎え入れた。

「ただいま戻りました」

「ええ、御苦労さま。では早速、任務報告を聞かせてください」

「はっ。陛下より承った任務、エリーゼ・フォン・シュテルンベルクの連行、無事に完遂いたしました」

甲冑に身を包んだ2人の騎士に挟まれるように連れて来られたのは、エリーゼの姿に変身しているアンナだった。エリーゼの姿を見たテウタは「私は前にしてその気迫に満ちた瞳。素晴らしいわ」と満足そうに微笑んだ。

「魔神オーディンの扱う強大な魔導に必要な魔力を補充する事が出来る、唯一の人間。エリーゼ・フォン・シュテルンベルク男爵。シュテルンベルク家の女性のみに受け継がれる能力・クス・デア・ヒルフェ。
効果は口付けした対象の魔力を一瞬にして回復させるというもの、でしたね。そのあなたが居なれば、魔神はそう安易に強大な魔導を使えなくなるはず。それに、人質としても使える。あなたを盾にすれば、人外の強さを持つ彼も反撃に抵抗する」

別人であるアンナが変身しているとは露とも思っていないテウタは無防備に歩み寄っていく。そしてアンナはと言うと、

(武装もしていない。完全に油断してる。今がきっと好機・・・!)

内心でほくそ笑んでいた。暗殺が成功すれば奇跡。その後にグレゴールや側に居る騎士たちに殺されようとも笑って死ねる。失敗して殺されても問題ない。オーディン達の邪魔になるくらいなら喜んで死ぬ。そう強く思い込んでいた。しかし、

(エリーゼ達には本当に申し訳ないわね・・・ごめんね)

アンナの脳裏に次々と浮かんでくるエリーゼ達との思い出の数々。決死の覚悟が揺らぎそうになるが、彼女にとっての宝物であるエリーゼを護るために、彼女は死を選ぶ。

(でも1人で死んでなんかやらないわ。お前も一緒よ、テウタ!)

アンナは目の前にまで来たテウタを睨みつけるために、俯かせていた顔を上げた。その瞬間、アンナは目を限界にまで開け放った。突拍子もない事態に、思考が完全に途切れる。アンナの艶やかな唇に重ねられたテウタの柔らかい唇。テウタはアンナに口づけをしたのだ。
止まっていた思考が再起動したアンナは「いやっ!」ドンとテウタを突き飛ばし、数歩後ずさって、袖口で口を何度も拭った。次第にアンナの目の端から涙がボロボロ零れ始める。

「あら? 魔力供給が起きないのね。やはり能力者からではないと発動しないのかしら・・・?」

テウタはペロリと自分の唇を舐め、「もしかして初めて? 私も初めてなの」とはじらうようにアンナを見詰める。アンナの瞳に怒りが満ちる。「ふざけるな・・・!」と詰め寄ろうとしてがすぐに思い留まった。感情に任せて暴れれば、テウタを暗殺する機会を失うかもしれないと判断したからだ。しかし、「娘。本当にエリーゼ卿か?」グレゴールが訝しみ始め、アンナは血の気を失った。

「そ、そうですよ・・・!」

か弱さを見せるかのように演じて見せるアンナだったが、グレゴールの疑問に満ちた視線は外れない。

「どうかしたのですか? グレゴール」

「いえ。先程の殺気、エリーゼ卿の側近である娘・・名はアンナだったでしょうか。あの娘と同じもののように思えましたので」

(鋭い・・・! さすがイリュリア最強の騎士・・・)

冷や汗が止まらないアンナ。しばらくグレゴールの視線を受けていたが、「グレゴール。女性をマジマジと見るのは礼に欠けるのではなくて?」とテウタに言われ、「仰るとおりです」グレゴールはようやく引き下がった。
心底安堵したアンナにさらに喜ばしい事が。テウタが「彼女と2人で話がしたいの。あなた達が下がりなさい」グレゴール達に命令を下す。普通、騎士ならば女王から護衛を外すような真似はしない。が、「了解しました」グレゴール達はあっさり了承して去って行った。

(それほどまでにテウタの実力を信頼しているというわけか・・・でも、私は!)

2人きりになり、アンナは一気に気を周囲に巡らせ始める。グレゴールがこの場に居れば、まず間違いなく反応するだろう。しかしテウタは「そう身構えなくても取って食べようとは思いませんから」気にする素振りすら見せず、ついにはアンナに背を向けた。

(今こそ好機!)

テウタを暗殺するために、アンナは・・・・・・・

「はぁぁぁぁああああああああああああッッ!!!!」



 
 

 
後書き
カリメーラ、ヘレテ、カリスペラ。
守り抜いてきたアムルがついに陥落です。そしてアンナは拉致されました。
次回からも変わらず――というかイリュリア戦争決着までバトルパートです。 
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