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ベッドの横に

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第二章


第二章

「今こうして。二人でね」
「ベッドに」
「ここまで言えばわかるわよね」
 弥栄子は楽しげな笑みのまま真吾に告げた。
「そうよね、もうね」
「じゃあ俺先輩と」
「昨日私色々と愚痴言ったけれど」
 真吾にこう話すのだった。
「それ全部聞いてくれて有り難うね」
「あの、それでなんですけれど」
 真吾は戸惑いながらその弥栄子に尋ねた。
「俺どうしてその」
「私とこうなったのかっていうのね」
「それはどうしてなんですか?」
「成り行き上よ。それはね」
「成り行きって」
「昨日は凄かったわ」
 今度はそうだというのだった。
「南条君もうね」
「もうねって。今度は」
「だから。ベッドの中に二人でいるのよ」
 またこうしたことを言う弥栄子だった。
「わかるわよね」
「はい、よく」
 こう返す真吾だった。流石に彼もわかっていることだった。
「じゃあ先輩と俺は」
「今日は土曜よ」
 今度はこうも言ってきた。
「だからね」
「だからって」
「これからじっくり楽しめるからね」
 彼等の職場が土曜と日曜が休日だということを念頭に置いての言葉だった。
「いいわね。じゃあ」
「あの、それは」
 しかしだった。真吾は難しい顔で返した。
「幾ら何でも」
「嫌?」
「そんなのできる筈ないじゃないですか」
 こう反論するのであった。
「そんな、先輩となんて」
「もうしたからいいじゃない」
「だからそういう問題じゃないでしょ」
「じゃあ嫌なのね」
「嫌じゃないです」
 真吾はそのことはきっぱりと否定した。
「絶対に」
「絶対になの」
「先輩美人ですし」
 確かにその通りだ。その顔立ちはかなりのものだ。
「それにスタイルも」
「いつも気をつけてるからね」
「それに性格もですし」
 気立てがよくて気さくなことでも知られている。所謂性格美人でもあるのだ。
「人間性格ですしね」
「そうそう。子供の頃から言われてきたわ」
「ですけれど」
「駄目なのね」
「気付いたらこんなことになるって」
 真吾はベッドの中で頭を抱え込んだ。
「本当に。何が何だか」
「済んだことは悩んでも仕方ないじゃない」
「悩みますよ」
 真吾はこう反論する。
「それはまあ」
「くよくよするタイプなのね」
「普通そうなりますよ。というか」
「というか?」
「先輩冷静ですね」
 それが彼にとっては信じられなかった。
 
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