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殺し屋いじめ

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第四章

「中に何を仕込んだ」
「いや、ゴムの裏側にマスタードを仕込んだんだけれどね」」
「何故そんなものを仕込んだ」
「悪戯だけれど」
 文字通りそれだとだ、女は西郷に笑って言った。
「駄目かな」
「俺は俺を殺そうとする奴には報復する」
 このことを女に言った西郷だった。
「しかし悪戯にはだ」
「そうしたことはしないね」
「俺の流儀には入っていない」
 悪戯への報復はというのだ。
「一切な」
「じゃあいいんだね」
「いい、だが二度とするな」
 絶対にというのだ。
「わかったな」
「ああ、わかったよ」
「全く、タチの悪い悪戯だ」
 マスタードが身体のある部分に仕掛ける恐ろしい激痛に耐えながら言う西郷だった。これは彼にしても痛かった。
 だがやることはやった、そしてバスルームでシャワーを浴びたが。
 湯を出した筈だった、しかし。
 それは湯ではなかった、水だった。しかも冷水である。
 氷で冷やしたかの様な冷水にだ、彼はまた驚愕した。だが表情は変わらない、もっと言えば変える訳にはいかなかった。
 冷たさに驚愕しながらもシャワーを浴びた、それから湯に入ると。
 今度は熱過ぎた、四十四度はあろうか。風呂の湯としては熱い。
 冷水の後の熱湯に彼は浴槽から飛び上がりそうになった、しかしここでも耐えた。
 何とか風呂に彼が決めている時間まで入ってだ、風呂から上がって女に言った。
「いい湯だった」
「あんた身体真っ赤だね」
 女はベッドの中から本当に真っ赤になっている西郷の傷だらけのオールヌードを見ながら突っ込みを入れた。
「あったまったんだね」
「風呂は好きだ」
 実際にこう言った西郷だった。
「清潔にしないとな」
「そういうことだね」
「では服を着る」
 身体は拭き終えた、今彼は全裸だ。
 全裸で左手を腰の横に当ててだった、牛乳瓶の蓋を開けて飲むが。
 その牛乳はだ、何と。
 マッコリだった、このことにも彼は言った。
「酒か」
「甘酒だよ」
 しかも熱くした、だ。
「美味しいよね」
「これも悪戯か」
「美味しかったかい?あんた酒もいけるんだよね」
「嫌いではない」
 実際にそうだと答えた西郷だった。
「別にな。だが」
「牛乳と思ったらだから」
「これも悪戯か」
「駄目かしら」
「何度も言うが悪戯については俺の契約内容にはない」
 またこう言う西郷であった。
「だからだ」
「許してくれるのね」
「気にはしない」
 無表情で機械の様に答える、尚彼は今もオールヌードであり前にあるものをぶらぶらとさせつつ話している。
「そう言っておく」
「それは何よりだよ」
「さて」
 その甘酒、熱いそれを飲んでからだ。西郷は。
 いい加減下着をはくことにした、これもまた何処かのスナイパーの様に白ブリーフである、それをはくと。
 また、だ。彼は動きを止めて女に問うた。 
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