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銀河を漂うタンザナイト
テルヌーゼンと会議室と・・・
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二人はグラスを合わせると、一気にあおった。

「うん、うまい」
「ええ」
「ところでな、クロパチェク」
「はい」
「おれは、お前とただ酒を飲むためだけに呼んだんじゃない。でなきゃ、こんな風に呼びつけるもんか」
「でしょうね」
「まあいい、本題に入ろう」
「はい」
「お前さんは今回の功績で中将に昇進だ、おめでとう。そしてお前さんの艦隊の幕僚の何人かも昇進することになった。これがそのリストだ」
「ありがとうございます。ところでいつ辞令が出るので?」
「今月中に出る予定だ。ただヤンのように派手な公表はない」
「そうですか」
「それともう一つ、コイツはシトレ本部長からの命令だが、今度テルヌーゼンでやる士官学校創立記念式典に出ろとのお達しだ。お前さんは卒業生だからな。どうせならまとめてやってしまおうということだろう」
「わかりました。しかし、ずいぶん急な話ですね」
「そりゃそうだ。何しろ昨日決まったんだからな」
「えぇ…」
「ま、そういうわけで忙しくなるぞ。覚悟しておけよ」
「了解しました。それにしても、なんで急にそんなことを?創立記念式典なんて、ここ数年聞いたこともありませんがね」
「それはな、この前のアスターテでの大敗から目をそらすための一環だからだな。後はまぁ、シトレ本部長の影響力拡大のダシに使われてる、といった所だろうな」
「成程、あの狸おやじ、ウゥン、校長らしいですね」
「まったくだ。ま、お前さんがやることと言ったらひよっこ共相手に適当にそれらしいことを言うだけだ、大したことはない。ま、せいぜい気楽に頑張ってくれ」
「はぁ、そういうもんですか…」
「ああ、そういうもんだよ」
「しかし、それならヤンの方が遥かに適任では?」
「まぁ、本部長もそう考えていたようだが実行に移す前にトリューニヒトが先手を打ったからな。その対抗馬も兼ねてだろう。それにあいつも出るには出るが、性格や士官学校時代の成績も鑑みるとお前さんの方が、この手の仕事に適任だからな」
「成程、わかりました。では失礼しました。それとキャゼルヌ先輩、勤務中の飲酒はほどほどにしといたほうがいいですよ」
「わかってる、わかってる…」

こうしてクロパチェクは士官学校の創立記念行事に出席することになったのだった。 


自由惑星同盟首都 ハイネセンポリス空港 

出発当日、アラン・クロパチェクは搭乗ゲートの前に立っていた。彼の手には礼服やら財布やら諸々の物を入れたカバンが握られている。並んでいる間は特にやることもなく彼はそのカバンを見つめていた。と誰かが彼の肩を叩いた。振り向くと見知った顔があった。

「やぁ、クロパチェク」
「ヤンじゃないか、奇遇だな」

ヤン・ウェンリーとその被保護者のユリアン・ミンツ少年だった。

「お久し
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