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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギア
第0楽章〜前日譚〜
風鳴姉弟のサプライズ(天羽奏誕生祭2019)
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かっ、奏まで!」
「ホンット、姉さんは奏さんの事大好きだよね」

 僕からの一言で、姉さんはあっという間に真っ赤になって縮こまった。
 まったく。そういう所が可愛いんだから……。

「ありがとな、翼。このイヤリング、大事にするよ」

 そう言うと奏さんは、貰ったばかりのイヤリングを左耳に付け、姉さんを抱き締めた。

 思えばこの二人、よく抱き合ってるイメージがある。
 微笑ましいというかなんというか……お互い、喪ってしまったものと得られなかったものがちょうど重なってるんだろうなぁ、と。

 だからこの二人はこれくらいの距離で、お互いに依存する事で心を保っている。僕の勝手な推察だけど、あながち間違っても居ないんじゃないかなぁ。

「あたしも、翼の事は大好きだぞ♪?」
「うう……もう……」

 あ、これ邪魔しちゃいけないやつだ。
 ここは空気を読んで、暫く二人っきりにしてあげよう。

 そう思って移動しようとした時、思いっきり肩を掴まれて引っ張られた。

「おおおおおおおッ!?」
「もちろん、翔の事もなッ!」
「かっ、奏さんッ!?」
「ちょっと、奏ッ!?」

 何事かと困惑する間もなく、肩に腕を回されたかと思えば、姉さん共々揃って奏さんに抱き締められる。
 フランクで男勝りな奏さんらしい感情表現だなと思う反面、とても恥ずかしいのだが、奏さんは離してくれる気がしない。

 姉さんに至ってはキャパシティーがギリギリらしく、そろそろ顔から湯気が出てくるのではないかと思うくらい真っ赤になっている。うん、可愛い。うちの姉さん今日一番可愛い。

「翼、翔……二人に出会えて、本当によかった……。これからもよろしくな?」

 ──顔は見えなかったけど、その時、奏さんの声はとても静かで。何処か安心したような、慈しみに溢れていた。
 


 この後、仕事が終わって戻ってきた緒川さんにこの状況を見られ、そのまま写真に収められてしまったのは別の話だ。

 その写真は今でも、姉さんと俺の机の上で、それぞれ写真立てに飾られている。
 俺と姉さん、そしてもう一人の姉とも呼べる人が、共に過ごした最後の誕生祝いの思い出として……。
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