暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使い×あさき☆彡
第四章 カズミちゃんはアイドル?
[3/19]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 治奈とアサキは家が近いため、いっしょに登校しており、また、ここは通学路の交わる地点なのである。

「朝から元気というか、通り越してうるさすぎじゃけえね」

 片耳に小指突っ込んでしかめっ面の治奈。

「あれ」

 アサキは、ポスターに目を向けた。
 そこからピンと来たようで、

「星川絵里奈だー。カズミちゃん、好きなの? 叫んじゃうくらい」
「ま、まあな。つうか、好きだから叫んでたわけじゃねえよバカ。……ところでアサキさあ、星川絵里奈の『星空を飛べたらね』って知ってる?」
「うん。知ってるよ。嫌いじゃないな、あの歌」
「お、そ、そうか。ちょっと歌ってみな。嫌いじゃないとか、上から目線でムカつくけど、それはそれとして」
「やだよー。わたし、歌がそんなに上手ってわけでもないからあ」

 ちょっと照れた笑顔のアサキ。
 それほど歌いたくないようにも見えないが。

「いいから! 歌詞が思い出せなくてさ。曲もちょっとおぼろげで。ちょこっと歌ってみてよ。最初のワンフレーズだけでもいいから」
「えー。どうしようかなあ」
「お願いっ! 先っちょだけっ! 先っちょのちょっと入ったとこまででいいからっ!」
「ごご誤解招くようなこと大声で叫ぶなあ!」

 治奈が、真っ赤な顔でカバンをぶうんと回して、カズミの後頭部をブン殴った。

「いてっ! ば、ばか、そんなつもりでいったんじゃねえよ。ただアサキに歌ってもらおうとしただけだよ」
「紛らわしいんじゃ!」
「そんなにいうなら……じゃあ、歌ってみるね。でも恥ずかしいから、ほんのちょっとだけね」
「やった! ありがとう。このもやもやした気分のままだったら、学校休むとこだった」
「休むなあ!」

 と、突っ込む治奈の横で、

 こほん、
 と、咳払いをするアサキ。

 人差し指で、スカートの上から自分のももをトントン叩きながらリズムとって、そして口を開く。
 歌い始めた。

「♪ はじめてえ手を取りあてえあるくうなぎさああ ぅおくのすなあきらきらアアア ♪」
「はあ?」

 カズミと治奈の顔に、無数の縦筋が入っていた。
 歌っている本人は楽しげな顔だが、音程もリズムも無茶苦茶な、酷い歌声であった。これを歌と呼ぶのであれば、だが。
 そうでないなら単なる怪音波だ。

「おい、ちょっと……アサキ」

 怪獣が街を破壊しているかのような、凄まじい光景に、すっかり呆然としてしまっているカズミであるが、ようやくそれだけを口から発した。

「♪ わたしたちもおこんなあはてなくううう広がるう星空の中アア ♪えいえんの中のおおおお」

 アサキ、手マイクを口に当てて、ノリノリである。
 最初の部分だけとかいっておいて、いつまで続くのかこの破壊
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ