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戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー

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第零話 誕生!!正義の兄弟戦士その四

「拉致?ひょっとして」
「高校生を」
「カルト教団か?」
「いや、人さらいでしょ」
「まさか今時街にいるなんて」
「この日本で」
「いえ、これは撮影です」
 しかしだった、男はその彼等に平然とこう言ったのだった。そして。
 他の男達が映画撮影の格好をしてみせてだ、彼等も言うのだった。
「はい、特撮の撮影です」
「彼等は只の悪の組織に襲われる通行人です」
「エキストラなので」
「何でもありません」
「何だ、そうか」
 市民達もだった、男達のその演技をだった。
 あっさりと信じてだ、日常生活に戻ってそれぞれの職場なり学校なりに向かった。日本は今日もおおむね平和だった。
 しかしその平和は完全のものではない、おおむねである。眠らされた尚智と尚武はある場所に強制連行された、その間。
 男達は彼等を縛って奥に放り込んでいるワゴン車を運転しながらだ、こんなことを話していた。
「上手くいきましたね」
「とりあえず怪しまれませんでしたし」
「後はこの二人をですね」
「閣下のところにお連れするだけですね」
「ああ、俺達の仕事はな」
 スプレーをかけた彼が彼等に答える。
「この連中を長官の前に放り出したらな」
「それで、ですね」
「無事終わりですね」
「そうだ、後は関係ない」
 凄まじくいい加減な言葉が出た。
「俺達にはな」
「ですね、これで」
「俺達の仕事は終わりですから」
 こうした話をしてだった、彼等は二人をある場所に連れて行くのだった。本人達の意思なぞ一切関係なく。
 そして二人が目覚めた場所、そこはというと。
 赤絨毯の上だった、周りには白い壁がある。
 部屋の奥には立派な木の席がある、そしてそこにすらりとした長身に鋭い目に黒縁眼鏡をかけた黒いあちこちに尖った感じの短めの髪の二十代後半の男がいた。尚智は目を覚ましてまず自分と弟がぐるぐる巻きに縛られていることを確認してから男を見て言った。
「あんた確か防衛大臣の」
「そうだ、悪田部大輔だ」
 男は自ら名乗ってきた、顔は細長く頬も痩せている。唇は小さく薄い。鼻は高めでとにかく目の光が鋭い。三白眼である。 
 その彼を見てだ、尚武も目覚めてから言った。
「はじめて見たぜ、俺」
「ああ、この人はな」
「あれだろ。暗殺買収何でもござれの謀略家だろ」
「極悪人だってな」
 尚智も弟に言う。
「目的の為には手段を選ばなくてな」
「性格は冷酷非情、極悪非道でな」
「日本で最も危険な男らしいな」
「しかも山の様な汚職に手を染めていて女好きでもあるんだろ」
「本当に悪い奴らしいな」
「政治力があるだけに余計に厄介らしいな」
「言っておくが私は己の懐には金は入れない」
 その悪田部が二人に言って来た。
「そして女も風俗嬢専門だ」
「ああ、つまり政治資金だけか汚職は」
「女遊びも不倫とかはなしか」
「確かに私は悪人だが」
 自分でそれを認めさえした、悪田部は。
「しかし足がついてまずいことはしない」
「けれど手段は選ばないか」
「そうした人なんだな」
「それはその通りだ、だが」
 それでもだとだ。また言う悪田部だった。
「少なくとも君達の敵ではない。返答次第だがな」
「返答次第って何だよ」
「そもそも何で俺達縛られてあんたの前にいるんだよ」
 二人はここでやっとだ、自分達のことについて悪田部に尋ねた。
「ここ何処なんだよ」
「それで俺達みたいな何処にでもいる高校生に何の用だよ」
「君達は日帝衆の次の政策を知っているな」 
 悪田部は二人の質問に一切答えなかった、その代わりに自分が質問をした。 
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