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オズのモジャボロ

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第十幕その三

「抓っても何にもならないよ」
「うふふ、それはそうね」
「とにかくね、まだ信じられないよ」
「そうなのね。けれどね」
「このことは夢じゃないんだね」
「そうよ。じゃあ招待状は」
「喜んで受け取らせてもらうよ」
 慎んで、です。王様はドロシーに答えました。
「そうさせてもらうよ」
「それじゃあね」
「うん、エメラルドの都だね」
「王様ははじめてよね」
「はじめてもはじめてだよ」
 エメラルドの都に行くことはというのです。
「道は地図を見ればわかるにしても」
「そうよね」
「それだけに余計に楽しみだよ」
 尚更というのです。
「あの都に行くことが」
「緑が本当に綺麗だから」
「そうそう、あの国は緑だったんだ」
 それがエメラルドの都の色です。王様もこのことは知っています。
「その緑も楽しみにしているよ」
「そうしてくれたら有り難いわ」
「是非ね。それだけれど」
「それで?」
「皆はこれからどうするのかな」
 ドロシー達にこれからの旅路を聞くのでした。
「まだ旅を続けるのかな」
「ええ、後はスクーグラー族のところに行くわ」
「あそこにだね」
「それであの国の女王様にも招待状を渡すわ」
「そうするんだね」
「ええ、これからね」
「それじゃあだけれど」
 一行が今度はスクーグラーの国に行くと聞いてです、王様はドロシー達にある提案をしました。その提案はといいますと。
「よかったら私達が送ろうか」
「スクーグラー族のところまでかしら」
「うん、そうしようか」
「私達を持ってくれてなのね」
「そうしてね。どうかな」
 こうドロシー達に申し出るのでした。
「それならすぐに行けるよ」
「そうなのね。それじゃあ」
 王様の提案を聞いてでした、ドロシーはといいますと。
 皆に顔を向けてです、どうしようかと尋ねるのでした。
「皆はどう思うかしら」
「ガーゴイルの人達にスクーグラーの国まで運んでもらうんだね」
「ええ、そう言ってきてくれてるけれど」
 こうモジャボロにお話しまし。
「どうかしら」
「そうだね、確かにそれなら僕達は楽だけれど」
 それでもだとです、モジャボロはそれはというお顔で言うのでした。
「ガーゴイルの人達に手間をかけるし」
「それによね」
「歩いていけばいいから」
 自分達で、というのです。
「だからね」
「ガーゴイルさん達のお世話になるから」
「別にいいんじゃないかな」
 運んでもらわなくとも、というのです。
「特にね」
「モジャボロさんはそう思うのね」
「うん、僕はね」
「じゃあトトは」
「モジャボロさんと同じだよ」
 トトはこうドロシーに答えました。
「やっぱりね」
「ガーゴイルさん達のお世話になるのは」
「悪いよ」
 こう言うのでした。
「歩いていけばいいじゃない」
「じゃあ貴方達は」
 今度は五人に尋ねたドロシーでした。 
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