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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉21話「自立人形、お疲れ会、そして・・・」

 
前書き
早苗「裕海さん、外の世界にいた頃は何をしていましたか?」
裕海「何をしてたって聞かれてもねえ、そんな雑な・・・。もう少し絞り込んでよう。何を言えばいいかわからないよ。」
早苗「あ、すいません。どこの大学行ってましたか?」
裕海「・・・早苗はたしか女子高生だったんだよね?」
早苗「はい、それがどうかしましたか?」
裕海「俺、中三なんだよ。」
早苗「えっ、ええー!?私よりも年下だったんですか!!」
裕海「そう。まあ身長のせいかよく高校生と間違えられるんだけどねえ。」
諏訪子「あら裕海、ここにいたの。そろそろ日が暮れるわよ?」
裕海「あ、本当だ。ありがと諏訪子。早苗、じゃあまた今度ね。」
早苗「はい、さようなら。」
裕海「あ。それと、霊夢から伝言を伝えといてって言われたんだった。」
早苗「なんでしょうか?」
裕海「“あんたたちの分社建ててやったわよ。隅っこに小さくね。”だってさ。」
諏訪子「・・・小さくかあ・・・あの巫女のプライドもあるだろうけど、まあ、うちのあれを見たらさらに小さく建てたくなるわよね。」
早苗「・・・そうですね。」
裕海「?」
神奈子「ふあ~あ、起きたてはつらいなあ。・・・ん?どーかしたか?あ~、寝みい。寝よ。」
裕海「ああ~・・・まあ、がんばれ。」
神奈子「な、なんだその目は!?私が何をしたっていうんだ!?」
 

 
俺が幻想郷に戻ってきて早数週間。幻想郷はいつもと変わらない。しかし、俺の家はいつもよりにぎやかだった。
「きらちゃん、紅茶入れてくれる?」
「はーい!私頑張るよ!」
「ほたるちゃんはお菓子とってきて。あそこの引き出しに入ってるから。」
「わかったー!」
そう、俺は“自立人形”を作ったのだ。長い銀髪と、青い目が特徴のきらちゃんこと綺羅星人形。長い金髪と、緑の目が特徴のほたるちゃんこと蛍石人形。背丈は20センチほど。そもそもなぜ自立人形を作ったか。まあ簡単に言えば、家が大きいから一人で暮らすには少し不便なところがあるのだ。かといってそこらでうろついてる妖怪を捕まえて暮らさせるというのはおかしな話。人間はもう論外。誘拐犯になってどうすんだ、というわけでこの人形たちを作った。仕組みは別枠でする。多分。
「はい!入れて来たよ!」
「お菓子持ってきたよー!」
「ありがと、2人とも。ご褒美あげる。」
そういって2人の小さな頭を撫でる。
「えへへ~。」
「にゃ~ん。」
可愛いペットで、働く屋で、オプションだ。この子にはそれぞれ能力をつけた。まず、きらちゃんは「再生を操る程度の能力」。“再生の変化”の結界を中に張っている。ただし、物ぐらいしか再生できない。ほたるちゃんは「域を操る程度の能力」。“域の変化”の結界を中に張っている。ただし、なかなか使い道が来ない。ちなみに、この子たちの内部には“無力の変化”の結界があり、どんな力も受け付けない。つまり、壊れない。
「やっほー、裕海。元気にしてた?・・・ってなに?その人形たちは。」
紫がスキマから現れた。
「あ、紫。この子たちはこの前俺が作った自立人形さ。」
「あ!不審者!ほたるちゃん、どうする!?」
「きらちゃん!これは攻撃しかないね!」
・・・見よ!この働きぶりを!
「・・・働き屋ね。」
よしっ!・・・まあ脳内茶番はここまでにして。
「2人とも、この人は俺の友人、八雲紫だよ。覚えておいて。」
「そうなんだ~。ごめんね、八雲紫さん。」
「紫さん、ごめんね~。」
「律儀なのね、この子たちは。あ、そうじゃなくってね、紅魔館でパーティをするから誘いに来たのよ。」
紫が本題に入る。ああ、きっと第二次月面戦争のおつかれ会みたいなことか。
「ああ、行くよ。いつ?」
「今から。」
「そうかそうか、今からああ!?」
まさかの「今から」が出たか。今昼なんだが?
「あら、そんなに驚かなくても。とにかく今来てちょうだい。水着を持って。」
「え?水着?冬なのに?」
そう、今は冬なのである。かなり寒いから今日は暖かくして家にこもろうかと考えていたところだ。
「紅魔館に、なぜかプールがあるの。水着は持ってるわよね?」
「ああ、持ってるけど・・・なぜプール?」
「吸血鬼たちが、月の海を見て泳ぎたくなったみたいなのよ。」
ふ~ん。まあ、レミリアなら考えそうだな。
「そう、じゃあ準備するから先行ってて。」
「わかったわ。」
スキマの中に入って行った。さて、あの子たちに指示を・・・おお?
「水着!持ってきたよ!」
「あと、いつもの用意!」
なんて優秀な子たちなのだろう。あの会話を聞いて水着と、カバンを持ってきてくれるなんて。
「よしよし、いい子いい子。」
いつもより長めに頭を撫でる。満足そうな顔をしてくれた。
「さて、行くか!」
「おー!」
「おー!」
きらちゃんが頭に、ほたるちゃんが肩に乗った。すっとスキマを開け、中に入る。



「あら、裕海も来たのね・・・って何その人形。」
水着姿の霊夢がいた。あ、なんか人形たちが警戒態勢に入ってる。
「2人とも、ここにいる人たちはみんな俺の友人だよ。攻撃しないでね。」
「「は~い!」」
「なんだ?あ、裕海じゃないか。どうしたんだその人形?」
水着姿の魔理沙がいた。・・・女性の水着姿を見ただけで興奮して気を乱して奇行をおこすほど俺は人として終わってないからな。ちょっとどきっとしたけど。
「俺がつくった自立人形だ。いい子たちで助かるんだよ。」
「ふ~ん?そうなんだ。アリスを先越しちゃったわね。」
「アリスが枕を涙でぬらす姿が目にみえるぜ。」
・・・まあ、見えなくもないが、友人としてそれはどうなんだろう。ああ、幻想郷だからか。
「お二人さん、お名前は!?」
「なまえは~?」
きらちゃんとほたるちゃんが興味津々に2人の名前を聞いた。ちなみに、ここの住民にも同じ反応をされたので、少し省略する。



「ともあれ、よく来てくれた。裕海。」
レミリアが仕切り直しをした。
「私が呼んだんだから、私に感謝しなさいよね。」
「黙れスキマ妖怪。」
「ふふっ、吸血鬼風情がいい度胸ねえ・・・」
「お?なんだスキマ。やるか?」
レミリアと紫が喧嘩し始めた。どうしよう、とりあえず無視しよう。あ、そういえばプールあるんだった。
「さて、少しぐらいは泳ぐかな?少しだけ。寒いから少しだけ。」
「三回も言わなくてもいいわよ。」
スキマを開いてその中へ入り、水着に着替える。あ、あっちで紫とレミリアの弾幕勝負が始まってる。
「ふふ、吸血鬼はその程度なのかしら?」
「ふん、見くびるな。私はまだ本気を出してないわよ!喰らいなさい、スキマ妖怪!」
ああ、弾幕の流れ弾が。これじゃあプールで泳げやしないな。
「・・・あんたたち、うっさいわよ!神霊『夢想封印』!!」
霊夢が出した八つの光る弾がレミリアと紫に直撃し、強制的に喧嘩は終わった。・・・ダメージでかそうだな。今後当たらないようにしよう。
「わー!霊夢さんすごーい!ぱちぱち。」
「ぱちぱちー。」
きらちゃんとほたるちゃんが拍手をした。口で。
「さて、泳ぐかな。そいっと。」
俺はプールの中に飛び込んだ。
「ふう~、さむ・・・。」
せめてちょっとは温めてほしかった。飛び込んで五秒でプールからあがった。“水温の変化”を操ってもいいが、体が疲れている。それはあることが原因で疲れていた。
そう、人形たちを作ったときの疲れがまだ残っていたのだ。人形を作ったのは最近で、人形たちの仕組みを作るためにどれほど能力を使ったことか。まあ、好きでやったことだから。作って得したし。
「ご主人様、大丈夫?」
「だいじょうぶ~?」
ほら、バスタオルをかけてくれた。いい子たちで助かるよ。・・・それにしても、ご主人様はちょっと照れくさいな。
「ありがとう、2人とも。今日もいい子だね。」
いつもどおり、髪を撫でる。満足そうに微笑んでくれた。
「はあ、痛い目にあったわあ~・・・。あ、そうだ!思い出したわ!」
紫が何やら思い出したようだ。なんだろう?
「何よ紫、また厄介なことじゃないでしょうね?」
“また”って・・・。慣れてるのかい、霊夢よ。
「どうせ紫のことだから、寒中川涼みとかだろ?」
魔理沙・・・。それは死ぬぞ?それだけは御免こうむりたい。
「なんでそんなことしなくちゃいけないのよ!とにかくみんな、よく聞きなさい!」
さっきお茶を入れに行った咲夜と、プールで夢中に遊んでるフランと、座って本を読んでいるパチュリー、本の整理をしていた小悪魔を含め全員が紫の方を向いた。
「再来週、イベントを行うわよ!その名も『弾幕サバイバルゲーム』!!」
全員が「はあ?」という顔をした。もちろん俺も含む。
「紫、サバイバルゲームって何よ。」
「私も知らないぜ。」
「なにそれ~、何か壊せばいいの?」
「むきゅう、私も知らないわ。」
「なんですか?それ。お嬢様はご存じですか?」
「し、ししししってるにきまってりゅじゃない、咲夜。」
あれ?全員、知らないようだ。幻想郷にはまだないのかな?あとレミリア、噛んでるよ。可愛いからいいけど。
「ふふふ、これだからこの子たちは。サバイバルゲームっていうのはね?」
説明は三十分続いた。長いから省略するけど。



「で、弾幕サバイバルゲームのルールを教えるわ。」
紫はざっとルールを挙げた。
・審判(四季映姫、小野塚小町)、救護班(小悪魔、大妖精、妖精メイド)、月の民を除いた全員が参加権を得る。
・弾幕に五発以上当たれば失格。ビーム一発につき弾幕一発とカウントする。
・近接系なら、相手が投了するか戦闘不能になれば相手の失格。(本人の5M以内で出した弾幕は、弾幕とみなさずに近接系攻撃とする。)
・ガードはいくらでも使ってよし。
・能力は60パーセント制限される。(スキマなどの異空間に1分以上入ってはいけない)
・スペルカード、スキルカードは何枚でも使ってよし。体力の続く限り。
・システムカードも使用回数は限らない。
・地雷式攻撃には、必ず何らかの前兆が起きるように設定される。
・リンチ、不意打ちはしてはいけない。必ず相手と1対1で勝負する。いくら逃げてもよし。
・最終的に生き残った人が勝ち。
・ルールとかじゃなく余談だが、景品は上位3名に贈られる。



「一つ質問。」
とりあえず、知らない単語が出てきたので質問する。それは何かというと・・・。
「なにかしら。」
「スキルカードと、システムカードってなに?」
全員が驚いた顔をしている。紫を除き。
「ああ、裕海に言うのを忘れてたわ。てへ。」
てへっておい。まあいいか。
「スペルカードが大技なら、スキルカードは小技みたいなものね。宣言しなくても使えるわよ。次にシステムカードというのは、端的に言えばアイテムカードよ。例えば私なら、「左扇」というものを使うわ。ただし、スキルカードは何枚でも作っていいけど、システムカードは1枚しか作れないわ。」
ふ~ん、なるほど。・・・俺はスペカだけで戦ってたのか。
「他に質問はある?・・・無いようね。じゃあ、私は眠くなったから帰るわね。」
スキマを開いて帰ってしまった。
「ふ~ん?紫にしてはおもしろいイベントを思いついたものね。景品が何なのか気になるし。」
「お?じゃあ霊夢も参加するのか?」
「ええ。じゃあ、わたしもそろそろ帰るわね。」
そういって霊夢は窓を突き破って帰って行った。・・・なんでもありなのか幻想郷。
「こらーっ!霊夢!窓を突き破っていくんじゃないわよ!」
咲夜が、霊夢が飛んでいった方向に怒鳴るが、当然霊夢の耳に届かなかった。
「じゃあ私も帰るぜ。じゃあな。」
魔理沙も窓を突き破って行った。・・・人の館をなんだと思ってるんだろうか?まあ他人事を気にするほど細かくないから別にいいか。
「俺も帰るな。きらちゃん、ほたるちゃん、いくよ。」
「はーい!」
「は~い!」
スキマを開けて入る。・・・とりあえず作戦を考えておこう。



そして再来週、激しい戦いが始まるのだった。



続く
 
 

 
後書き
21話です。
綺羅星人形と蛍石人形が登場!仕組みは一から説明すると長くて恐ろしいことになります。
難解かつ複雑なので裕海しか仕組みを知りません。
さて、次回は何を書こう。いきなりイベント始まり始まりでは面白くないので、イベントの前になんか書きます。 
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