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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉20話「Let's go 月面旅行 ぱ~と3」

 
前書き
レミリアたちは地上に送られたが、霊夢だけは月に残されていた。
依姫「あなたには、潔白を晴らしてもらうわ。地上の巫女。」
霊夢「はあ!?」
依姫「あなたが住吉三神を呼び出したせいで、わたしが呼び出したと誤認されてるのよ。」
霊夢「そう、まあいいけど。それであと何日この月の都を回ればいいのかしら?」
依姫「そうねえ、1、2週間ぐらいかしら?」
霊夢「はいはい、だったらさっさとその潔白とやらを晴らしに行くわよ。」
穢れがある者を普通に泊まらせるわけにはいかなかったので霊夢は、夜は月のリーダーが住む建物の地下に軟禁され、日中は潔白晴らしに動かされた。そのため、霊夢と裕海は一切接触していない。余談だが、霊夢が地上に帰るのは、裕海が地上に帰った七日後になる。
 

 
「今日は兎達の訓練に付き合ってもらおうと思ってるけど、いいかしら?」
豊姫が提案した。暇だし、それもいいかな。
「ああ、わかった。」
『わーい!』
うさみみ達が飛び上がって喜んだ。



「じゃあ、まずはあなたの実力を試そうかしら。あ、じゃああの兵士を呼んできて。」
「はい!」
あの兵士?ああ、門の前で警備をしていた人か。
「なんでしょうか、豊姫様。」
「あなたには、この子の相手をしてもらいます。さあ、本気で戦って見せなさい。」
「わかりました。」
いやいや、俺って武術とかやったことないんだけど。どうしようか。
「あなたは能力がすごいから、直接使っちゃいけないわ。」
直接使ってはいけないか・・・。弾幕は痛覚をいじらないとあまり効かない。だったら結界で何とかするか。
「わかった。さあ、手加減してやるから本気でこい。」
「ふん、地上人風情がなめやがって。行くぞ!」
刀を振り下ろしてきた。“威力の変化”の結界を俺の手の周りに張る。そして相手の動きを読み、相手の死角に素早く入り込み、打撃を入れる。
「ぬっ!?ぐああああっ!」
結構効いた。威力を普通の1・8倍くらい上げただけで。
「くっ!せいやあああ!」
さて、次は“速度の変化”の結界だ。俺の周りにそれを張り、素早く離れ、そして素早く死角に入りこむ。そして高速で相手の横腹に打撃をくわえる。
「ぐっがあああっ!!」
「そこまで!」
制止が言い渡された。
「ふ~ん、なるほど。自分の周りに何かしらの変化の結界を張れば一時的に能力を得られるのね。」
あ、なるほど。そうなのか。使っておいてなんだけど、今初めて知った。
「ようし、なら私と一戦交えなさい。」
うさみみ達がざわついた。まあそれもそうだろう。リーダーが地上人と一対一で戦うのだから。
「行くわよ!手加減しないからね!」
瞬時に結界を張り替える。今度は“空間の変化”だ。
「えい!」
離れたところから突きを繰り出した・・・と思ったら、目の前に手が飛んできた。危うくぎりぎりでかわす。
そうだった。豊姫の能力は、海と山を繋ぐ程度の能力だった。あっちの空間とこっちの空間を繋いでいたんだ。空間をめちゃくちゃに歪ます。そうすれば相手はその歪みを修正するだろう。その隙に“光の粒子の変化”で光線を撃つ。
「あら、厄介なことしてくれたわね。」
作戦通り、歪みに気付いた。その隙に張り替え、光線を撃つ。多分相手は空間を張り替えてこっちに飛ぶようにするだろう。だが、その余裕を作らせないために、また“速度の変化”で光の速さで飛ぶようにする。それを繰り返す。
「きゃあっ!?痛たー!いたたたたたた!?こ、降参!」
ふう、これけっこう便利だな。
「わあーっ豊姫様に勝っちゃった。」
「すごーい!」
周りにうさみみ達が寄ってきた。
「もう、なんて恐ろしい能力なの・・・ふふふ、ますます興味が出てきたわ。今度は依姫と戦ってもらいましょう。でも今は出かけてるから、何か雑談でもしてましょう。」
わあっとうさみみ達が喜んだ。
「豊姫様!この人はおもしろい話をしてくれるんですよ!」
うさみみの一人が言った。
「あら、そうなの。じゃあしてもらいましょうか。ふふっ。」
あ、なんか悪い笑みをこぼしたぞ?満足するまで聴いてやるって顔だ。



「お姉様、ただいまもどりました・・・って何サボっているんですか!」
依姫が戻ってきた。
「これは休憩よ♪きゅーけい!」
豊姫がかわいらしく反論した。
「それよりも、あなたは裕海と戦ってもらうわよ。さあ、本気で戦いなさい。」
「はあ・・・わかりました。」
あれ?依姫が空気に流された。それとも豊姫に甘いか弱いのか。
「じゃあ来なさい!」
「ああ。」
“速度と停滞の変化”の結界でかなり早く動けるようにした。
「火雷神よ、汝の怒りを雷に変え、すばやく動き回る鼠に落とせ。」
急に空が暗くなり、雨が降り出した。びしょ濡れになるが、あまり気にしていたら隙ができる。ってあぶな!こわ!目の前に雷が落ちた!?急停止しなかったら喰らってた!次々と雷は落ちてくる。ならば、“流れの変化”の結界を張る。これで相手の方に流れていくようにした。
「っ!?」
避けられたか。相手が雷を撃てば撃つほど相手に返ってくる。さあ、どうする?
「加具土命よ、汝の父に斬られた恨みを鼠にたたきつけよ。」
なんと、ものすごい勢いで火が襲ってきた。なるほど、火は易々と流れていかない。“速度の変化”で素早くかわし、“天候の変化”で豪雨を降らす。
「・・・きりがないわね。なら・・・速須佐之男命よ、八岐大蛇を切り刻んだように、厄介な鼠をばらばらにしてしまえ。」
わあ、こわい。これはそろそろ本気を出していかないとやばいな。“重力の変化”の結界を依姫の周りに張り、スペカを唱える。ただの弾幕ならまだしも、光線だったら痛いらしいからな。

天変「局地的大彗星豪雨」

重力が重くてなかなか動けないはずだ。さっきからとんでもない勢いで剣らしきものが飛んでくるが、なんとかかわしている。
「っ!?う、動けない?体が重い・・・あっ!!」
依姫はまぶしい光に飲まれていった。



うさみみ達はかなりざわついていた。月のリーダーを2人も倒してしまったからだろう。
「ど、どうしよう。こんなことが街に知られてしまったら・・・」
さっき起き上がった依姫が深刻な顔でつぶやいた。
「まあ、すこしやりすぎたから、その辺は何とかするよ。」
実際、あそこまでやる必要なかったし。結構焦らされたからな。
「なんとかするってどうするの?」
豊姫が質問した。子供のようにびしっと挙手して。
「“伝達の変化”をいじった結界を張って、絶対にここから情報が漏れないようにするんだよ。たとえ誰かがしゃべったとしてもそれはすべてなかったことにされる。」
「へえ~っなんでもありなんですね。」
レイセンが驚きの顔で言った。
「じゃあ、お願いできるかしら。」
「ああ、任せておけ。豊姫。」
えいっと力を込める。よし、完了。さて、・・・あれ?なんかふらつく。どんどん視界が暗くなっていく・・・
そしてしまいには音も聞こえなくなって意識を手放した。



「ありがと・・・えっ!?どうしたの!?倒れちゃった!?」
「依姫、落ち着いて。この子は疲れて寝てしまっただけよ。というか、どうしてあれだけ能力を使ってすぐそうならないのか不思議だわ。それよりも兎さんたち、裕海を救護室へ連れてって!!」
『はい!』





目が覚めた。あれ?どうして倒れたんだっけ。
「あっ裕海さん!目が覚めたんですね!」
レイセンが涙目でとびかかって抱きついてきた。
「俺はいったい・・・?」
「能力の使い過ぎらしいです。豊姫様がおっしゃっていました。」
レイセンが馬乗りの状態で説明してくれた。胸の上って、乗られると軽くても息苦しいんだけど、それは別にいいや。きっと疲れは能力だけの問題ではない。きっと体力を大幅に削るあのスペルカードを使ったからだろう。
・・・別にいいやと流したが、やっぱよくない。苦しい。軽いが苦しい。今能力を使うのは避けるべきだろう。
「あの、レイセン?ちょっと苦しいから降りて?」
「あ、はい・・・あっ」
体勢を崩したようだ。俺の顔の方に倒れてくる・・・って近い!瞳孔が見えるくらい近い!!
「!!!!!っ」
顔を真っ赤にし、絶句している。
「す、すすすすすすすすすすいませんっ!」
ばっと飛び上がった。2Mくらい。・・・ベッドの上でそんなに飛び上がって、スカートの中からかわいい白い何かが見えちゃってるよ。“何か”が何かは言わないけど、かわいくて白い。
「気にしなくていいよ。それよりも、あの二人は?」
「と、豊姫様と依姫様のことでしゅか?お二人なら先程お出かけになられましたよ。」
まだ動揺しているのか、噛んでしまってる。でしゅかって、おかしいけど可愛いな。いますぐその頭をなでなでしたいくらい。ってことを口に出したらきっとそこで男として・・・人として終わっているだろうな。きっと。
「出掛けた?どこに?」
「いえ、そこまでは・・・」
「やっほー!裕海ー!起きてる~?いえ~い!」
・・・豊姫が、だれが見てもドン引きするようなテンションで入ってきた。緊張感皆無である。
「お姉様、ここは病室なのですから、もう少しテンション下げてください・・・」
ナイスツッコミ依姫。
「ふふふ、それよりも、あなたにいいものを買ってきてあげたわ。見なさい!」
そういって袋から取り出したのは、水晶だった。ただ、普通の水晶ではない。水晶の中にもやのような、しかしもやにしてはやけに透き通った感じのする青色の何かがあった。
「・・・なにこれ?」
とりあえず雑に質問をする。
「水晶よ。でもこの水晶は特別なの。なんと!」
「なんと?」
豊姫がテレビショッピングのMCみたいな感じで水晶の説明をしようとしている。
「綺麗なの!」
レイセンと依姫がすごい勢いでズッコケた。俺はこの体だからリアクションはとれないけど。さすが豊姫、ボケの天才だ。
「まあ地上に帰って飾るといいわ。ただ、これはどんな衝撃を与えても割れないの。傷をつけてもすぐにふさがるわ。」
ん?ふさがる?どういうこと?・・・もしかして、この水晶は力の結晶だったりするのか?
「それと、ちょっとこっちは忙しくなってきたから、明日あなたを地上に返すわよ。いいわね?」
依姫が言った。明日ならちょうどいい。明日は幽々子が地上に帰る日だ。
「ああ、わかった。」
「え~っ裕海さんもう帰っちゃうんですか~っ?」
レイセンが悲しげに言った。
「う~ん、ここへはさすがに手軽には来れないからなあ。どうしよう。」
「あら、大丈夫よ。私たちも裕海にはまた月へ来てほしいから、ちゃんと手を打ってあるわ。」
え?どうやって?スキマもさすがに使えないのに。
「あなたの能力で、この水晶に“空間の変化”の結界を張ることで私の能力みたいに使えて、こちらへ来れるようになるの。この水晶はね、力を大幅に増長することができるの。だけど、増長できる力は一つだけ。しかも、目的も一つでなければならないわ。おまけに一度力を増長させたら、その力しか発揮できないの。」
ふう~ん。そういうことか。傷がふさがるというのは、その力を登録、保存するための保護みたいなものか。
「じゃあ、気が向いたら行くよ。さて、そろそろ腹が減ったんだけど、何か作ってる?」
「はい、調理担当の兎が今作ってます。」
「うふふ、今日の晩御飯は何かしらね。」



夕食を食べ終え、風呂に入るべく廊下を歩いてると、なんか手招きする手が見えた。多分幽々子だろう。
「裕海、私たちはそろそろ帰るわね。あなたはどうするの?」
「ああ、俺は明日帰る。」
「幽々子様~っ準備は整いましたよ。あら、裕海さん。よくわかりませんがお疲れ様でした。」
「ん、妖夢もお疲れ。」
何も聞かされてないのに、と言いかけてこらえた。
「じゃあ、俺は明日幻想郷に戻るからね。」
「はい。お気を付けて。」
「怪我しないようにね~。」



風呂に入り、部屋に戻ってきた。・・・あれ?なぜ昨日と同じ、布団が3つなの?
「ごめんね~、もう一つの布団が見つからないのよ。」
「まあ、別にいいけど、そういえばなぜか昨日起きたら鳩尾が痛かったんだが、何か知らない?」
すると、豊姫はなにか思い当たったような顔をした。そしてすぐに目をそらし、にこやかな笑顔で服を整えていた。・・・なにがあった。



夜。布団の上。昨日と同じ形で寝ている。そしてまたなぜかレイセンがくっついて寝てる。嬉しいけど、なぜそんなにくっつくのか。それにしても、月って案外いいとこだったな。あと、レイセンの少し柔らかい何かが腕に当たっているのは気にしないでおこう。



「世話になったな。今度は何か手土産を持ってくるよ。」
翌日になった。昨日渡された水晶を手に、建物から少し歩いた海みたいなところで別れを告げる。
「ええ、また来てね。」
豊姫が笑顔で言う。
「兎達もあなたのことは結構気に入ってるみたいだから、また来てあげてね。きっと訓練のいい薬に
なるだろうから。」
依姫も笑顔で言う。・・・うさみみ達の訓練ってあまりはかどってないのかな?
「また来てくださいね!」
レイセンが元気に言う。この子もいい子だ。
「じゃあみんな、またね。」
そういって水晶を使って空間を変化させ、幻想郷に通じる穴に入った。



続く
 
 

 
後書き
20話です。
・・・最後のほう、ちょっと手を抜いてしまいました。理由はただ単にネタ切れです。これからも精進します・・・。 
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