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オズのモジャボロ

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第六幕その八

「臆病ライオンさんと腹ペコタイガーさんはお元気かな」
「いつも通りよ」
「とても元気だよ」
「それは何よりだよ。いやあ、僕は最近ねえ」
「最近?」
「最近どうかしたのかな」
「実は虫歯になったんだ」
 ここで困ったお顔になった豹でした。
「それで困っているんだ」
「それは大変ね」
 虫歯と聞いてです、ドロシーも困ったお顔で応えました。
「虫歯だと」
「うん、どうしたものかな」
「ちょっと見せてくれるかな」
 モジャボロがその豹に言いました。
「その虫歯を」
「見てくれるかな」
「僕は歯医者さんではないけれどね」
「それでもなんだ」
「うん、まずは見せてもらってね」
 そしてだというのです。
「何か出来るかも知れないからね」
「じゃあ見てね」
「それではね」
 こうしてモジャボロは大きく開かれた豹のお口を見てみました。その白い歯の奥の一本がです。
 黒い虫食いの様なものがありました、それがでした。
「ああ、奥の方にあるね」
「左の下のだよね」
「うん、そこにね」
 虫歯が一本あるというのです。
「あるよ」
「そうだよね、どうしたものかな」
「そうだね、抜けるかな」
 歯を、というのです。
「ちょっと酷いみたいだからね」
「抜くの?歯を」
「そうするべきかな」
「いや、それだと痛いからね」
 だからだとです、豹はモジャボロに困った顔で答えました。
「抜くことはね」
「嫌なんだ」
「他の方法はないかな」
 豹は困惑している顔でモジャボロに言うのでした。
「抜く以外に」
「そうだね、それだとね」
「それだったら歯医者さんはどうかな」
 ここでこう言ってきたのはトトでした。
「そこで治してもらったらどうかな」
「歯医者さんだね」
「そう、そこに行けばいいかな」
「歯医者さんといっても」
「確かこの辺りにおられるわよ」
 ドロシーも言ってきました。
「そうした人ならね」
「何処かな」
「ええと、この煉瓦道を左に行ってね」
 そしてだというのです。
「カドリングのお家で看板が立てられているお家があって」
「歯医者さんの看板がだね」
「そう、そこに行けばね」
「歯を治してくれるんだ」
「そうしてくれるわ」
「抜かないで済むかな」
 その虫歯をというのです。
「これから」
「うん、そうだね」
「それじゃあね」
 こうしてでした、豹は歯医者さんのところに向かうことにしました。ですがここでドロシーは豹にこう言いました。
「けれど虫歯はね」
「どうしてなったかだね」
「そう、そのことだけれど」
「歯を磨かなかったんだ」
 それでだというのです。 
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