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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第3章
月光校庭のエクスカリバー
  第60話 エクスカリバーを許さない!

 
前書き
思わずかなりの残酷描写をしてしまったところがあるので気を付けてください。 

 
「聖剣は悪魔にとって最悪の武器よ。悪魔は触れるだけで身を焦がし、斬られれば即消滅する事だってあるわ。そう、聖剣は悪魔を滅ぼす事ができるの」
「……恐ろしい武器ですね」
あの後、俺の部屋で部長から聖剣について聞いていた。
俺の他にもアーシア、千秋、鶇さん、燕ちゃんが聞いていた。
明日夏は木場の事が気になるのか、ここにはいない。
「でも確か、扱える者が極端に限られているって…」
「ええ、そうよ千秋。それが聖剣の最大の難点なの。だから教会は聖剣の一種であるエクスカリバーを扱える者を人工的に育てようと考えたの。……それが聖剣計画…」
「……聖剣計画…」
「私が教会にいた頃はそんなお話なんて聞いた事も…」
「でしょうね。もう随分前の話になるもの。計画は完全に失敗したと聞いてるわ」
「……なんだ…」
……悪魔にとってそんなに恐ろしい計画が成功してたかと思うとゾッとするぜ。
「……もしかして木場君って…」
「……その計画の…」
「……ええ、祐斗はその生き残りなの」
「え!?」
「木場さんが!?」
って事はつまり、木場はアーシアと同様に教会の出身と言う事になる。
「あ!」
「何?」
「ちょっと待ってください」
俺はとある写真を持ってくる。
そう、木場がおかしくなるきっかけになったあの写真だ。
「……木場がこの写真を見て…聖剣だって」
『えぇッ!?』
「……エクスカリバー程強力な物ではないけれど…間違いないわ。これは聖剣よ」
「……確かにこれを見た時からあいつは様子がおかしくて…」
「……イッセーさんのこんな身近にあったなんて…」
「思い出した!俺、この子の家族に誘われて何度か教会に行った事があるんですよ」
「………そう言う事……ここの前任者が消滅した訳が分かったわ。………でも確か……」
「部長?」
「ああ、ごめんなさい。祐斗の事はとりあえず少し様子を見ましょう。さて、もうこんな時間、そろそろ寝ましょう…」
って、そう言うとおもむろに服を脱ぎ出した!
「ぶ、部長、何故にここで服を!…」
「何故って、私が裸じゃないと寝られないの知ってるでしょう?」
「イヤイヤイヤ!じゃなくて、何故に俺の部屋で!」
「貴方と一緒に寝るからに決まってるでしょう?」
「はぁッ!」
いや、当たり前の事のように言われても!
「なら私も寝ます!イッセーさんと一緒に寝ます!」
「私もイッセー君と一緒に寝る~!」
『ちょッ!?』
アーシアと鶇さんまで服を脱ぎ出した!
「姉さん、何やってるのよ!」
「せっかくだから~、燕ちゃんも一緒に寝よ~」
「ちょッ!?服に手を掛けないで!?脱がすなぁぁッ!!」
鶇さんが燕ちゃんの服を脱がそうとしていた!
「わ、私もイッセー兄と一緒に寝る!!」
とうとう千秋まで脱ぎ出したぁぁッ!!
なんでさっきまで深刻そうな雰囲気だったのに、こんな展開になるんだぁぁぁッ!!


「……何やってるんだか…」
俺は嘆息しながらケータイを切る。
千秋が部長の話をケータイを通じて俺に聞かせていたのだが、深刻そうな雰囲気が部長の一緒に寝る宣言で見事に混沌とした(カオス)な雰囲気になってしまった。
「……やれやれ…」
俺はケータイをしまい、木場の方に視線を戻す。
木場の様子が気になり、遠くからこのようにして様子見していた。
「……聖剣計画…か…」
……そして木場のあの様子…。
俺は頭の中で最悪のシナリオが思い浮かんだ。
「……聖職者のやる事じゃねえな」
いや、フリードみたいなイカレ神父がいたんだ。
頭に浮かんだみたいな事をする奴がいても不思議じゃねえか。
「ん?降ってきたか…」
雲行きが怪しかったが、案の定雨が降ってきた。
木場の方もバカな事をやるような雰囲気はギリギリ感じられないし、ずぶ濡れになるのもあれなので退散するか。
帰路につこうとしたら、ふととある臭いが鼻についた。
「……この臭いは…血…」
しかも雨が降っているにも関わらず尋常じゃない程臭う。
明らかにおかしい。
まずこんな住宅街の道で血の臭いがするはずもなく、しかもここまで臭うとなると血の量も半端じゃないはずだ。
俺は臭いを辿ってとある路地裏に入る。
「ッ!?」
そこで見た光景は一生トラウマになりそうな光景だった。
「………どうなってやがる!……」
そこは一面真っ赤になっていて、とある物体があった。
赤の正体は血、物体の正体は人だったものだった。
過去形なのは、もはや原型を留めていなかったからだ。
あえて言うなら、ぶつ切り状態であった。
四肢、首を切り離され、四肢の関節の部分を的確に切り分けられていて、それどころか切り分けられた物をさらに均等に切り分けられていた。
顔に至っても鼻、両耳、唇が切り落とされ、胴体も内臓、腸も含め均等に切り分けられていた。
明らかに意図して行ったものであった。
「……うっぷッ!?…」
強烈な吐き気が襲ってきた。
……いや、むしろ吐き気程度でよく済んでるなと言えた。
常人なら頭がおかしくなる光景だろう。
吐き気をなんとか抑え、もう一度死体を見ると、何か光る物があった。
手に取るとそれは十字架であった。
「……十字架…て事はこいつは神父?…」
……何故神父がこの町に…。
そして壁を見ると、血で文字が書かれていた。
「……これをやった奴か?…」
文字は雨で少しただれていたが、なんとか読めた。
「………随分とふざけた奴だ……」
そこにはこう書かれていた。
…… Bell the Ripper(ベル・ザ・リッパー)…切り裂きベルと…。


「……随分と荒れ果てたものだ」
「……破棄された所とは言え、これはちょっと…」
「つい最近、堕天使と悪魔が一騒動したとは聞いてたけど…」
「……どうでもいい。潰し合いなら勝手にやってろだ」
「しかし遅いな?」
「……待ち合わせ場所はここで合ってるのか?」
「間違うはずがないわ。ここは私が両親と過ごした所よ。子供の頃にねぇ」
「あ、かわいい。そっちの男の子達は?」
「幼馴染みよ。よく一緒に遊んでたの。元気にしてるかなぁ?せっかくだから後で顔を出しに行こうっと」
「そんな事より、先に来てる奴らは何やってるんだ?場所がここなら既に大分過ぎてるぞ」
「……確かに、ちょっと心配ね?」
「……やむを得ん。三手に別れて探索を行う。私は一人で、君達は二人ずつで探索に当たってくれ」
「分かった」
「ハーイ」
「はい」
「了解」
「……二時間後にここでおち会おう………最悪な事態になってなければいいが……」


「俺達仲間だろ!」
……すまない、僕は本来、仲間と楽しく過ごしちゃいけないんだ。
……そんな資格なんか僕には…。
雨が降りしきる中、僕は傘も刺さずに歩いていた。
恩がある部長にもあんな態度をとってしまった。
(……騎士(ナイト)失格だね)
歩いていると、物陰から人が出てきた。
「あ、ああ、た、助けてぇ…あぁぁぁッ!!…」
「……神父?」
出てきたのは神父であったが、突然悲鳴を揚げて倒れた。
……何かに追われているようであったが…。
「ん?」
さらにもう一人人影が現れた。
「やあやあ、ヤッホー、おっひさだね~♪誰かと思ったら~…クソ悪魔のクソ色男君ではあ~りませんか~…」
「ッ!フリード・セルゼン!!」
現れたのは以前戦ったはぐれ神父の男であった。
「……まだこの町に潜伏していたのか…」
「すんばらし~い再会劇にアタシゃ涙ちょちょ切れまくりっスよ!ふっふ~♪」
……相も変わらずふざけた言動だ。
「……あいにく、今日の僕は機嫌が悪くてね」
「ヒャハハハハハァッ!!そりゃまた都合がいいね~♪ちょうどオレっちも神父狩りに飽きたところでさ~♪」
「ッ!?」
奴の持つ剣を見て、僕は驚愕する。
「その輝き…オーラ…まさか!」
「バッチグーッ!ナイスタイミーング!以前のお返しついでに試させてくんねえかなぁ?どっちが強いか!お前さんのクソ魔剣と~ッ!この聖剣!エ~クスカ~リバ~とさァッ!!」
「ッ!!」
……僕はエクスカリバーを許さない!…。
「ン~、ンフフ~フフン♪死ねってんだ!」
「ふぅッ!」
ガキィィィン。
「グ…ググッ!」
「売りの端整な顔立ちが~、歪みまくってますぜ~ッ!この聖剣エクスカリバーの餌食に相応しいキャラに~、合わせてきたぁッ♪」
「ほざくな!!」
「ア~ウッ!」
僕は彼を押し返す。
「……イケメンとは思えない下品な口振りだ~…な~んつって♪」
「光喰剣(ホーリー・イレイザー)ッ!!」
剣から闇が伸び、聖剣に絡み付くが、聖剣のオーラであっさりと霧散してしまった。
「あ~、それ無駄っスから…ザ~ンネ~ン♪」
「……ふ、試しただけさ…その剣が本物かどうかをね…これで心置き無く剣もろとも八つ裂きにできる訳だ!」
僕は遠慮無しに斬りかかる。
「オ~ウッ!」
「フッ!フッ!ハッ!」
「イタスッ!イタスッ!オ~ウッ!」
ズバッ。
「ぐわぁぁッ!?」
……腕を斬られてしまった。
……傷は深くないはずなのに、焼けるように痛かった…。
「……うっ…」
「言ってなかったけ~?この聖剣はクソ悪魔キラー用の剣なんだよ~♪サーセン…」
「……知ってるよ!忘れた事もない!!」
「アアッ!?」
覗き込んできた彼の足払って後ろに転ばせる。
「アンッ!?あぁ、キッタネー!」
「悪魔らしいだろ!フゥッ!」
「インヨッ!」
転んだところをすかさず斬りかかるが避けられてしまう。
「アァァァ!……ハア…ハア…なるへそ~………アレェ?……」
「ハァッ!」
「ワリィッ!お呼びが掛かっちゃったわ~!て~事で…ハイ、チャラバ!」
「……ぐっ!?」
彼が何かを地面に叩きつけた瞬間、辺り一辺を閃光が照らす。
「………」
光が止むと彼はすでにいなくなり、この場には僕と神父の死体だけが残っていた。


「……成果は?」
「……一人見つけたわ…」
「……すでに殺られていたがな…」
「……こっちも一人見つけたけど…すでに殺されていたわ…」
「……そっちはどうだったんだ?」
「……こちらも一人…君達と同じ状況だ…」
「……三人も…」
「……調査員は六人…」
「……あと三人…」
「……でもこの様子じゃおそらく彼らも…」
「……仕方あるまい…情報は新ためて自分達で集めるとして…当初の予定通りにリアス・グレモリーに接触する」  
 

 
後書き
今回出てきた血の文字は敵オリキャラの通り名です。
元ネタは当然、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)です。 
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