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伝説の子猫の伝説

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『リアス・グレモリーとの邂逅』

 白く長い髪。後ろに束ねることもせずにそのまま流して歩いている少女。
 一流の武術家が見れば一瞬でわかる強者の覇気。

 しかし、塔城小猫は自由だ。猫なので気まぐれだ。いつも気ままに生きている。
 いや、もういっそのこと自分勝手と言ってもいいのかもしれない。

 原作に関わろうとするも最初の方はゴタゴタでめんどくさいという理由でとりあえず放置。
 自称英雄を弟子にとったり。地元の子供達に武術を教えたり。そんな行動に理由をつけるなら暇だからと一言で言えるだろう。

 もともとその気まぐれな性質の片鱗は出ていたのかもしれない。
 姉がはぐれ悪魔として賞金首にされたために追ってから逃走する毎日。だけど彼女は神から転生特典を貰っていた。それなのに一時期は撃退せずに逃げていた。なぜ逃げていたのか、なぜ撃退しなかったのか?それは彼女が無意識に逃亡生活も悪くはないのかもしれないと判断したからにすぎない。

 もちろん逃走生活に飽きたあとは賞金稼ぎの撃退を始めた。神様特典をもらった転生者に普通の存在が勝てるわけがない。賞金稼ぎの中には人外の連中も居たが、軽々となぎ倒されて終わりである。その後は気ままに色々な武術家に喧嘩をふっかける毎日。本人は自分のあり方を探す試合だと思っているが、実際は羅刹王や拳王などという御大層な肩書の方々と喧嘩をしに行ったのである。そして試合後はその自由気ままさ故に好かれてしまう。

 何者にも好かれる性質。それも彼女が神から貰った特典なのかもしれない。

 彼女の本質は気ままな猫。前世がアラサーのOLだろうと、どうしようもなく猫なのである。

―――

 朝。朝食を済ませると曹操が弁当箱を片手に臣下の礼をしていた。うむ、かわいいやっちゃな。今度デートしてやろう。

「では、行ってきます」
「ハッ、ご達者で」

 残りの道場に住み込んでいる英雄たちも礼をしている。気持よく見送りだされると気分がイイものだ。

 --

 そんなこんなで学校が終わると帰宅だ。道場に行けばいつも通りの鍛錬の光景。生徒には小学生から高校生までいる。基本、曹操たちが監督はしているが、さすがにいつも曹操たちに任せては悪いので時折アドバイスをしつつ、数名程才の有りそうな者に違う訓練メニューを言いつける。ただそれだけのことをしているのにさすが師範!とかお美しいとか言わないで欲しい。ちょっと照れるかも……あ、そういえばワインが切れてたな……散歩がてら買いに行こうか……

―――

 私こと塔城小猫はイライラ中である。私は結構短気。それは自覚しているが……

 どうしてこうなるのか……原作キャラとの出会いはもう少し穏やかにしたかったのだが……

「まったくどうしてこうなるのかしらね。聖剣騒ぎで忙しいのにはぐれの討伐に来てみれば……私はグレモリー侯爵家のものよ。その無粋な仮面を外しなさい」

 そう私に勧告するのは赤毛と言うよりは紅色の髪のきれいなリアス・グレモリー。授業も持ったことがあるのでよく知っている。グレモリー侯爵家の上級悪魔、所謂お嬢様である。どうしてかしらってこっちが言いたいよ。

 実力が私より格下なのに――――頭が高い。







 最初は散歩しながら今日楽しむワインのことを考えながら歩いていた。国内ワインにするか海外ワインにするか。ワインを嗜みはじめてまだ数年だがこれも私が日々楽しみにしている趣味の一つだ。ワインを食後に少し、おつまみにチーズを一欠片。これでのんびり座っているだけで日々の疲れが取れる。ああ、今日ももうすぐ幸せな時間がやってくる。そう思いながら専門店への数百メートル。歩いてたったの数分。数分である。その間にはぐれ悪魔6匹に襲われた。

「ついに!ついに見つけたぞ!この化け猫がぁぁ!」
「お前のせいで!俺達はぁぁぁ!」
「URYYYYYYYYYYYYYYYY」

 さすがに住区で戦闘はできない。彼らの攻撃を避けつつ、人気のない廃工場に誘導する。

「ふむ?何かしましたかね?そこら辺のはぐれに因縁をつけられる覚えがないのですが……」

「な、俺を覚えていないのか!俺の主がお前を眷属にしてやろうとしたのに!それを拒否し、挙句の果てには主を追い詰め!おおおおぉぉぉぉ、お労しい!主よぉぉぉぉ」

(正直初対面なのになんかヤバイですね。どこぞのオウムの真理教よりもやばそうな臭いがします。冷静に考えればさっさと潰すべきでしょう。それに私のお楽しみタイムを邪魔されてはかないません)

「ッハ!怖気づいたか!この人数だ。悪魔でも無いお前が我らにかなうわけがない。どうやらお前は上層部とのコネを持っていたようだが今は関係ない。なんせお前はあくまでも無い只の人間なのだからなあぁぁ!!お前が俺らにボコボコにされたあとは奴隷として売ってやろう。奴隷を買う奴らは異常性癖者が多いからな。そうすればお前は毎日毎日すりつぶされる毎日。お前の謝罪などいらない!ただ死が有るのみだぁぁぁ!」

 調子に乗って私めがけて一斉に襲い掛かってくるはぐれ共。こういう低能なやらからはどうして下半身のことしか考えられないのか。それに魔力を使えばいいものの、わざわざ拳とは気が利くものだ。私に喧嘩を売った以上生かしはしない。道場破りでは無いからな。しかしこいつらの動きを見るが、圧倒的に―――

「速さが足りない!!!出直して来なさい」

【剃】で上に避け、そのまま腕に武装色をまとわせて驚いているはぐれ共が固まっているところに突っ込む。

「まあ、私の能力の実験台にはなるでしょう。実験の内容は……悪魔はどこまで振動に耐えられるかです。では、失礼して。重拳Level2」

 日々繰り返した鍛錬。相手の体にどれだけの力で、どれだけの速さで繰り出せれば最低限の労力で殺せるか。ただそれだけを追求した一撃。私を侮辱したこいつらは活かす価値すら無い。ただ海よりも深い絶望を死とともに与えるのみである。

 繰り出すはただ6発の拳。グラグラの実の能力と武装色の覇気を込めた一撃。ここまでの一連の動作で約3秒。なかなか仕上がったものである。

「ふむ、これくらいの力加減ならうまく覇気を纏わせることができるようです。前はいまいち手を抜きすぎましたか……」

 私に襲いかかってきた無礼者は一瞬で破裂してしまったようだ。Level2ですら殺人拳となりうるのにその先の技を出す日が来るのだろうか……はぐれ悪魔6匹。強くはないとはいえ、弱くもない。今一度自分の実力を自覚してもいい頃合いかもしれない。今度北欧に行ってこようか……

 すると自分の方に近づいてくる気配が数名。一応顔を隠すのにこの前お祭りでとったこの愛と勇気だけが友達のキャラクターの仮面を付けておこう。実はこの仮面、意外とお気に入りであったりする。







 そして話は前に戻る。自分の首筋に剣が2本つきつけられている。薄っすらと首筋に流れる血。あとで仙術で治療すればいいだけの話なのかもしれないが、肉体ベースが人間だった場合のことを考えているのだろうか?何事にも絶対はないということは教師として日々説いているはずだが……これをやった犯人は……この2人とも見覚えはあるな。【鉄塊】か武装色を使えば難なくやり過ごせるがこれ以上私のワインタイムの予定を伸ばす訳にはいかない。一応両手を上げると、グレモリーがこちらにやってきた。そして私の仮面をバッとはがすと言う。仮面が取れる時に鼻にぶつかった……

「さて、あなたは誰なのかしらね」

 仮面を下に落とされて彼らが私の顔を見た時のリアクションはなかなか楽しめるものだ。

「「「なっ!塔城先生(子猫ちゃん)!!」」」
「はい、いかにもその通りなのですが……いつも学校で教えている先生にこの仕打とはあんまりですね……」

 イライラしているためか覇王色の覇気が少し漏れてしまった。すこしだけ能力を開放する。起きるのは地響き、そして揺れ。まるで龍の唸り声だ。ただしその中心にいるのは龍ではなく白い子猫だったが……

「やめなさい!私はこの地域の管轄のものよ!あなたが先生だろうと何者であろうとこれは許されない行為だわ!」

 私の実力が一瞬で理解できたのか、それともテンプレート的な勧告文だったのか。この地域に住むものとしては前者に期待するが……どうやら後者のようで。自分が不利に陥っている状況が理解できていない。全くもって嘆かわしい。

「齢20も行かぬ小娘が誰に物を申すか。貴様ら、図が高いぞ?」

 少しくらい怒ってもいいだろうか? あ、古臭い物言いになってしまった。
  
 

 
後書き
オウムって鳥っていう意味じゃなくてインド系の言葉なのねw 
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