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オズのモジャボロ

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第一幕その十一

「それもかなり」
「そうなの、じゃあ皆でね」
「歌いましょう、そうして遊びましょう」
「歌はとてもいいわよね」
 ドロシーはにこりとしてこうも言うのでした。
「落ち込んでいる時もそれで気持ちが明るくなるわ」
「落ち込んでいる時は歌ですね」
「ええ、明るい歌を歌うことが一番よ」
 落ち込んでいる時はというのです。
「本当にね」
「そうですね、では今は落ち込んでいないですけれど」
「皆で歌いましょう」
 そうしてさらに明るくなろうというのです、恵梨香達はベッツイも入れて四人で明るく歌ったりもしました。そうしてでした。
 晩御飯の時間になるとまた一緒に食べました、ベッツイもそのハンバーガーを両手に持って食べてから言いました。
「ふう、私がアメリカにいた時なんて」
「なかったんですか」
「こうした感じのハンバーガーはね」
 なかったとです、カルロスに答えるのでした。
「私はドロシーの少し後にオズの国に入ったから」
「その頃はですか」
「何か私達がオズの国に入ってから」
 その時からというのです。
「食べるものが随分と変わったのね」
「そうなのよね、朝だって」
 ドロシーもベッツイに言います、見ればドロシーはサラダを食べています。
「もう本当に」
「全くって言っていい位変わったわ」
「パンやオートミールだけでなく」
 そういったもの以外にというのです。
「今じゃ御飯も食べて」
「そう、お米のね」
「お魚も食べてね」
「お味噌汁だって」
「和食ですね」
 ここで恵梨香が二人に言いました。
「それですね」
「そうそう、貴女のお国の朝御飯ね」
「そうしたものも食べているわ」
「多分明日もそうよ」
「おかずは卵焼きで納豆も出るわよ」
「あっ、納豆もですか」
 納豆のことを聞いてです、恵梨香ははっとしたお顔になって二人に言いました。
「お二人共納豆も召し上がられるんですか」
「ええ、最初はその外見と匂いにびっくりしたけれど」
「美味しいわよね」
 二人は恵梨香に納豆についてにこりとしてお話します。
「御飯にかけるとね」
「最高に美味しいわよね」
「まさかオズの国で納豆が食べられるなんて」
 とてもだというのです。
「信じられないですね」
「納豆ねえ、あれはね」
 カルロスはホットドッグを食べつつこう言いました。
「日本の食べものの中で一番変わってるよね」
「よくそう言われるわ」
「塩辛とか梅干もびっくりしたけれど」
 はじめて食べた時はというのです。
「納豆は特にね」
「長い間関西では食べられなかったのよ」
 恵梨香達の通う八条学園は神戸にあります、まさに関西です。
「それで食べてたら凄い色々言われたのよ」
「ううん、糸引いてるからね」
 だからだとです、ベッツイも言います。
「納豆って」
「匂いもしますよね」
「凄くね。ウィッシュチーズよりも」
「だからなんです」
 それでだというのです。
「関西ではどうかって言われていました」
「ずっとなの」
「はい、そうでした」
「抵抗あるって言ったらあるのが当然よね」
 ベッツイもこの辺りは否定しません。
「オズの国の食べものはアメリカのそれが反映されるけれど」
「つまりアメリカでも今は納豆を食べることが出来るんですね」
「和食って全部香りもいいと思ってたよ」
 カルロスはここでこうも言いました。 
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