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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第3章
月光校庭のエクスカリバー
  第58話 不穏な気配再びです!

 
前書き
今回からエクスカリバー編です。 

 
「な、何故目覚めたらそこにおっぱいがっ!?」
朝からいきなり何を言ってるんだと思われたかもしれない。
でも、目の前におっぱいがあるのだから仕方ないじゃないか!
「………うぅぅん……」
艶かしい声が聞こえたと思ったら、おっぱいの持ち主に抱き寄せられる。
と言うか部長だった。
しかも、何も身に纏っていない素っ裸の状態だった。
……まあ、以前にも同じ展開を経験してるんだけどな。
部長が我が家で同居するようになってから数日でこのような素敵なイベントを堪能できるとは、最高だぜっ!
等と考えてると、部長が俺の事を抱きしめだした。
「……何故こんな事になってるのかよく分からんが、せっかくなので、何気に触れる程度なら…」
と、見事なおっぱいに触れようとする。
「……うぅん?」
「わっ!?」
「おはよう、イッセー」
だが、後少しと言うところで部長が起きてしまった。
「……お、おはようございます…そ、それでこの状況は?……」
「ごめんなさい。貴方が就寝してたから、お邪魔させてもらったの」
「……いえ、そう言う事じゃなく…」
「貴方を抱き枕にして寝たい気分だったの」
……なるほど、気分ですか、ははは………。
すると、部長が俺に覆い被さってきた。
「……まだ時間もあるし…ちょっとエッチな事も下僕とのコミュニケーションかしら?」
そう言って部長は額にキスしてきたっ!!
部長の言動に俺の理性が壊れ掛けていた。
「……あ、あの部長…俺も男何で…」
「襲いたくなっちゃう?いいわ、貴方の喜ぶ事なら何でもしてあげるわ」
(ッ!?何でもしてあげる!!)
そ、そんなみなぎる日本語があったのか!!
「ぶ、部長…」
コンコン。
理性が壊れ掛けた俺の耳にノック音が入ってきた。
「イッセーさ~ん、そろそろ早朝トレーニングの時間ですよ~?」
「ア、アーシア!!」
「トレーニングの事、すっかり忘れてたわ」
や、ヤバい、こ、こんな場面をアーシアに見せるわけには…。
「あ、アーシアちゃん」
「あれ?鶇さんに燕ちゃん?」
(ええぇっ!?)
鶇さんと燕ちゃんまで来ちゃったよ!
「む~、アーシアちゃんの方が早かったか~」
「……負けたくありませんから」
……なんだろう、ドアの向こうで火花を散らしてるような気がする。
「それで、イッセーはまだ起きてないの?」
「あ、はい。呼び掛けたんですけど、返事がなくて。それで様子を…」
「ああ!起きてるから!ちょっと待って…」
「三人とも、もう少し待ってなさい。私もイッセーも準備しなければならないから」
「え!?」
ガチャッ。
ドアが勢いよく開け放たれた。
『………』
そこには涙目のアーシアとジト目の鶇さんと燕ちゃんがいた。
「や、やあ、アーシア、鶇さん、燕ちゃん…お、おはよう……」
「おはよう、アーシア、鶇、燕」
俺と部長が挨拶をすると…。
「私も裸になりますぅぅっ!!仲間外れなんていやですぅぅっ!!」
「私もイッセー君と裸で寝る~!!」
「ええぇぇぇぇっ!?!?」
アーシアと鶇さんが服を脱ぎ出して来たぁぁぁっ!!
ちなみに燕ちゃんはと言うと…。
「……え…え、えっと…」
顔を真っ赤にしながら、何かを決めあぐねていた。


「ふぅ」
今朝はえらい騒ぎだった。
ライザーとの一件いらい部長がますますかわいがってくれるんだけど、その度にアーシアはむくれるし、部長の影響か鶇さんのスキンシップも過激になってきたし、燕ちゃんも毒舌は相変わらずだけど俺と触れ合うの求めているような気もするし、この間の千秋の俺の眷属になりたい宣言と言い、女の子とのイベントが日に日に増えてきた。
少し前の俺じゃ考えられないくらいな状態だ。
特に部長とのエッチなコミュニケーションは最高だなぁ…。
「おいイッセー、何朝っぱらからにやけてんだよ!」
「松田、元浜」
「お前、最近変な噂が流れてるから気を付けろよ」
「噂?」
「……兵藤一誠が美少女を取っ替え引っ替えして、悪行三昧…」
「はあっ!?」
「リアス先輩と姫島先輩の秘密を握り、それをネタに…ああぁ、鬼畜三昧のエロプレイィッ!!」
「なぁ!?」
「可憐な幼馴染みの千秋ちゃん、鶇ちゃん、燕ちゃんを関係を利用して油断させ…調教…自分無しでは生きられないようにさせる肉体開発ぅっ!!」
「いぃ!?」
「さらにその毒牙は学園のマスコット塔城小猫ちゃんにも向けられ…未成熟の体を…野獣の如く貪りぃっ!!」
「その上、貪欲なまでのイッセーの性衝動は…転校したてのアーシアちゃんまでぇっ!!」
「なんだそりゃぁ!?」
……ウソだろおい、俺って学校じゃそんな風に見られてるのか…。
「って、俺達が流してるんだがな」
「はぁっ!?」
「はん!これくらいさせてもらわんと、嫉妬で頭がイカれてしまうわ!!」
「いや!すでにイカれてるかもしれん!!」
「……お前らなぁ…」
「安心しろフフフ…」
「ん?」
「ちゃ~んと女子だけでなく、明日夏と木場のホモ疑惑も流しておいたからぁ」
「多感な性欲はついに同性の幼馴染みやイケメンにまでぇぇっ!!」
「一部の女子には受けがいいらしいぞ」
「って!ふざけ…」
「……ほぉ~、あのふざけたデマはお前らが出所か…」
『ッ!?』
無機質な声音が俺の言葉を遮り、それを聞いた松田と元浜が肩をビクつかせた。
声の主は明日夏だった。
「……松田…元浜…」
『……な、なんだ?…』
「……あんまりふざけたデマを流すんじゃねえよ…」
『すみませんでした!』
明日夏に鋭い眼光でにらまれた松田と元浜は凄い勢いで見事な土下座をした。
「……たく!頭痛のタネを増やすんじゃねえよ!…」
明日夏はこの手の話題が苦手と言うか最大級に嫌悪する。
あれは中学時代、明日夏は一部の生徒達にホモ疑惑が流れた事があった。
明日夏はこの容姿だから木場程じゃないが、当時はかなりモテていた(ちきしょう!)。
だが明日夏は女の子のお誘いとかを全面的に断っていた。
当時はそれほど人付き合いが良いとは言えなかった明日夏にとって、いきなり見ず知らずの女子に誘われるのは抵抗があったらしい。
その為、普段から俺と行動する事が多かった。
だがそのせいで、俺とのホモ疑惑の噂が流れ始めた。
俺はすぐに頭を抱えた。
明日夏も最初は「噂だ。すぐ消えるだろ」と言っていたが、予想外に噂は広まり、明日夏は頭を抱えながら誤解を解く為に奔走した。
余談だが、千秋まで噂を信じてしまい、千秋の誤解を解くのが一番大変だったらしい。
てな経緯があり、明日夏はこの手の話題が嫌いだった。
「な~に?エロバカトリオが何かやらかしたの?」
一人の女子がアーシアを引き連れて話し掛けてきた。
「桐生か」
俺達に話し掛けてきたのはクラスメイトの桐生藍華、アーシアと仲がいい女子の一人だ。
ちなみにクラスから匠と呼ばれる程のエロ娘で、以前の裸の付き合いをアーシアに教えたのもコイツだ。
「アーシア、他にもいい男がいるのに、わざわざこんなのを彼氏にしなくたって」
桐生が俺を見ながら告げる。
「か、かかか、か、彼氏ぃぃっ!?!?」
桐生の言葉にアーシアが凄く動揺していた。
まあ、いきなり仲良くしている男子を彼氏だなんて言われれば、そりゃあ驚くわな。
「こんなのとはなんだ!それにアーシアは日本に来たばっかだから、いろいろ面倒見てやってるんだ!……彼氏とかそう言うのじゃ…」
後半の方の言葉を言い淀んでしまった。
「いつもベッタリくっついていて、端から見てるとあんた達、毎晩合体しているカップルにしか見えないよ~」
『合体!!』
「合体?」
「お、お前なんて事を!!巨大ロボじゃあるまいし、そんなに簡単に…グッ!?…」
エロ娘に申し立てていたら、腕が疼き出した。
「あ、悪い、俺ちょっと用事思い出した」
俺はその場を立ち去ろうとする。
「………左腕か?……」
「………じゃあ朱乃さんのところへ?……」
「………ああ……」
すれ違いざまに明日夏とアーシアとそんな会話をし、俺はその場から立ち去った。


「明日夏君、イッセー君どうしたの~?」
イッセーが立ち去った後、さっきまで机に突っ伏していた鶇が訪ねてきた。
「用事だとさ。………左腕のな……」
「……そうなんだ~…」
後半の言葉を鶇にだけ聞こえるように言い、鶇はそれを聞いて納得していた。
「な~んだ、別に付き合ってる訳じゃないんだ」
「は、はいぃ!」
「ん~、なんの話~?」
「兵藤とアーシアが付き合ってるかって話なんだけどさ~」
「……む」
桐生の話を聞き、途端にムスっとしだす鶇。
「だってさ、アイツとアーシアって、いっつもくっついているし、何よりも、アーシアってアイツの事が…ムグッ!…」
「ああぁぁぁっ!!桐生さん、やめてくださいぃぃっ!!」
顔を真っ赤にしたアーシアが桐生の口を手で塞ぎ、言葉を遮った。
『うぅぅぅぅっ!!アイツばかりが!!』
松田と元浜が号泣しながら慟哭していた。


俺は今、旧校舎にある部室でシャワーを浴び、腰にタオルを巻いた状態でソファーに座っていた。
ガチャ。
「お待たせしました」
扉を開けて入ってきたのは、髪をおろし、白装束を着た朱乃さんだった。
「……きゅ、急にスミマセンね朱乃さん…」
急に呼び出してしまって申し訳なく思う。
「うふふ、イッセー君のせいじゃありませんわ。さあ、始めますわよ?」
「お、お願いします…」
俺は左腕を前に出すが、ついつい朱乃さんの格好を凝視してしまっていた。
「どうしたんですか?」
「い、いえ!ふ、服が…」
着ている白装束が濡れていて、思いっきり肌が透けて見えていた!
って言うか、下着を着けていない!
「ああ、儀式の為に水を浴びてきただけですわ。今日は急でしたのでちゃんと体を拭く時間がなくて。ごめんなさいね」
「い、いえ!問題ありません!むしろ得した気分…ああいや、気にしないでください!…」
「うふふ」
朱乃さんは微笑むと俺の左手を手に取る。
「イッセー君のドラゴンになった腕は思いの外気が強くて、魔力で形を変えただけでは一時的にしか効果がありませんでした。そこで、直接指から気を吸いだす事で溜まった物を抜き出しませんと…」
「……うあっ!…」
朱乃さんに指を吸われ、その感触に思わず声が出てしまった!
微動だにできず、吸引による快楽に身を任せてしまっていた。
ちなみにこの行いは部長にもしてもらっていたりする。
腕がドラゴンになってしまったが、部長を助けられた上、今後もお二人にこんな事をしてもらえるのだから、まさに一石二鳥だぜ!
「……ぷはぁ…ドラゴンの気は抜きました。これでしばらくは大丈夫ですわ」
「………あぁ、ありがとうございました……」
俺は快楽の余韻でグタッとしてしまっていた。
「……フェニックスの一戦…」
「フェニックス?」
ライザーとのゲームの事を何で今?
「倒れても倒れても立ち向かって行くイッセーは、本当に男らしかったですわ。そして、婚約パーティーに乗り込んで部長を救うだなんて、それも不死身と言われたフェニックスを打ち倒してまで。あんな素敵な戦いを演じる殿方を見たら、私も感じてしまいますわ」
「うひぃぃ!」
指で胸元をなぞられて、また声を出してしまった。
「……これって恋かしら?」
キーンコーンカーンコーン。
朱乃さんがその質問をすると同時に予鈴が鳴った。
「うふふ、またご一緒しましょうね」
そう言い微笑んだ朱乃さんは部屋から出ていった。
……なんだったんだ、さっきまでの朱乃さんは?


「じゃあ、定例会議を始めましょう」
現在、俺達オカ研はイッセーの部屋で定例会議をしていた。
何故イッセーの部屋でやっているのかと言うと、今日は旧校舎の年に一度の大掃除の日で使えない為だ。
「今月の契約計数は朱乃十一件」
「はい」
「小猫十件」
「……はい」
「祐斗八件」
「はい」
とここまでがベテランメンバーの成果であった。
「アーシア三件」
「はい」
「凄いじゃないかアーシアさん」
「あらあらうふふ、やりましたわね」
「……新人さんにしては良い成績です」
「わあぁ、ありがとうございます」
ベテランメンバーの好評にアーシアは嬉しそうだった。
「で、イッセー…」
さて、最後のイッセーはと言うと…。
「0件」
「……め、面目ありません…」
とまあ、イッセーは一件も契約を取れていなかった。
もっとも、アンケート評価に限れば、トップクラスだったりするんだが、契約を取ってなんぼなので、残念ながら評価対象にならない。
「頑張って契約を取らないと、上級悪魔への道はますます遠くなるわよ」
「分かってますとも!来月こそはトップを目指します!!」
「イッセー君ふぁいと~」
鶇がのんびりした声援を送っていた。
「お邪魔しますよ~」
おばさんがお菓子を乗せたお盆を持って入室してきた。
「あぁ、すみませんお母様」
「いいのよ。今日はカルタ研究会の会合なんでしょう」
……微妙な間違い方をしているな。
「そうそう、それと良い物を持ってきちゃった♪」
おばさんが取り出したのは、アルバムであった。
部活(悪魔稼業)の会議が急遽、アルバム鑑賞会に早変わりしてしまった。
ちなみに俺も家からアルバムを引っ張り出してきた。
「これが小学生の時のイッセーよ」
「あらあら全裸で。ちっちゃくてかわいいですわ」
「きゃあ」
「……イッセー先輩の赤裸々な過去」
「これは幼稚園の時、この頃から女の子のお尻ばっかり追いかけてて…」
「……最悪だ…」
「まあ、そう言うな。懐かしいじゃねえか」
「……そうは言うけどな…」
イッセーはかなり憂鬱な気分になってそうだった。
「小さいイッセー小さいイッセー、ああぁ!」
「部長さんの気持ち、私にも分かります!」
「アーシア、貴女にも分かるのね!嬉しいわ!」
……部長とアーシアが興奮しながらイッセーの写真を見ていた。
「懐かしいな~」
「だな」
「うん」
「そうね」
俺達幼馴染み組は昔の自分達を見て懐かしんでいた。
特に千秋達はイッセーに惚れた時期の写真を中心に見ていた。
「そう言えば貴方達は小さい頃からイッセーと一緒にいたのよね?」
「ええまあ」
「明日夏とはもう十年以上の付き合いになるんだな」
「そうなるな」
そうなると随分小さい頃からコイツとつるんでたんだな。
部長達は今度は俺達の写真も見だした。
「これが小さい頃の明日夏ね。この頃から無愛想なのね貴方」
「ほっといてください」
「千秋ちゃんもかわいいですわね。それにしても、イッセー君とのツーショットがいっぱいありますわね」
「……ううぅ…」
「……鶇先輩、この頃からすでに大きかったんだすね。
………寝る子は育つ……」
「?」
「燕ちゃんもかわいいです」
「……あ、ありがと…」
と言う感じで各々の感想を聞かされた。
「あれ?ねえイッセー君、明日夏君?」
「ん?」
「何ですか?」
鶇が中学時代の写真を指差して聞いてきた。
「この猫ちゃんは?」
そこには、中学生のイッセーとそのイッセーに抱きかかえられている一匹の子猫が写っていた。
「イッセー、猫を飼っていたの?」
「ああいえ、その子猫、迷子猫で一時期明日夏の家で面倒を見てたんですよ。もう持ち主の所に行きました」
あの時のか。
元気にしてるんだろうか。
その後もアルバム鑑賞会は続いた。
「……アルバムでここまで盛り上がるとはな」
「全くだぜ」
「ははは、僕達の知らないイッセー君達が見れるからね」
「クソ!お前は見るな!」
イッセーは木場からアルバムを奪おうとするが、木場は軽やかに避けていた。
イッセー自身も諦めているのか本気で奪いに行ってなかった。
「……ねえ二人とも、この写真だけど?…」
『ん?』
木場がある写真を指差して聞いてきた。
写っていたのはかなり幼い頃のイッセーと俺、それから栗毛の子が写っていた。
「ああ、その男の子、近所の子でさ、よく一緒に遊んだんだ。親の転勤とかで外国に行っちまったけど…う~んと名前は何て言ったっけ、え~と確か…」
思い出せないイッセーの代わりに答えよとしたが、木場の視線が栗毛の子ではなく、別の物を見ているのに気付いてやめた。
「ねえ二人とも、この剣に見覚えある?」
木場が見ていたのは写っている俺達の後ろに立て掛けている一本の剣を見ていた。
「いや」
「俺も。何しろガキの頃だし」
俺はふとその子は父親が聖職者だったのを思い出し、その剣の正体についてある可能性に至った。
「……こんな事もあるんだね…」
不穏な気配がまた出てきたな。  
 

 
後書き
アルバムの所で出てきた子猫は後々登場するオリキャラの伏線です。 
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