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第三章


第三章

「どうするんだい?それで」
「ああ、そうさせてもらうよ」
 ロバートは微笑んで答えた。
「それじゃあな」
「毎度あり」
 店員はその言葉に笑顔で応えた。そうしてこうも言ってきた。
「他にも買うかい?」
「そう来るか」
「ここはアメリカだぜ。当然だろ」
 冗談めかした笑みでの言葉だった。
「それでどうするんだよ」
「そうだな。それじゃあな」
 勉強の意味もある。彼も決めたのだった。
「買わせてもらうか」
「ああ、それじゃあな」
 店員は他にもカントリーロックのCDを勧めてきた。だがその殆どがアフリカ系のものだった。彼と同じ欧州系の歌手は僅かであった。
 そして聴いてみるとだ。これが。
「いいな」
 よかったのである。そのアフリカ系の歌手達がだ。それでだ。
 それから彼は熱心にCDを集めてだ。聴いていった。それで店員とも話した。
「いいってか」
「ああ、いいな」
 実際にそうだと答えるロバートだった。
「どの歌手もな」
「そうだろ。俺が勧めるんだからな」
「あんたが勧めるからいいってのか」
「俺は実際に聴いていい曲を勧めるんだよ」
 彼は笑顔でロバートにこう話した。
「それが俺の主義なんだよ」
「そうだったのか」
「ああ。それでな」
 ここまで話してだ。店員は彼の顔を見て言ってきた。
「あんたも歌手だろ」
「知ってるのか」
「ロバート=スタッドマンだったな」
 彼の名前をそのまま言ってきた。
「昨日あんたのCDがうちの店にも入ったぜ」
「そうか。この店にもか」
「それで聴かせてもらった」
 笑顔で述べる店員だった。
「あれだな。いい感じだな」
「客に勧められるレベルか?」
「まあそうだな」
 それはいけるという店員だった。ところがだ。
 彼はだ。本人に対してこうも言った。
「勧められるけれどな」
「けれどかよ」
「A級じゃないな」
 特別いいかというとそうではないというのだ。
「まあそこそこ勧められるってレベルだな」
「一流じゃないっていうんだな」
「もう少し足りないんだよ」 
 店員は正直に述べた。
「あんたの音楽はな」
「もう少しか」
「ああ、演奏はあんた自身がしてるな」
「そうさ。ギターでな」
 彼は演奏も自分でしている。それが彼のやり方だ。
「ちゃんとしてるけれどな」
「それがな。今一つなんだよ」
「ギターがか」
「あんたの歌はいい」
 完人要のそれはだというのだ。
「けれどな。ギターがな」
「駄目か」
「駄目ってとこまではいかないさ」
 そこまではというのだ。
 
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