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第三章


第三章

 けれどだった。その中でだった。
 三本目だった。それは。
「ああ、バンドな」
「へえ、バンドを結成してメジャーになるまでか」
「アメリカンドリームってやつだよな」
「それだな」
 こんな話をしてからだった。俺達はそのビデオも入れた。もうビールが滅茶苦茶に回ってきていてテンションもおかしくなってきていた。
 そしてだった。それを観ていてだった。
 俺はだ。つい言った。
「なあ」
「んっ、何だ?」
「どうしたんだ?」
「何かあったのか?」
「何かな」
 俺は酒が入って真っ赤な顔になって話した。
「急に歌いたくなったんだよ」
 俺はバンドじゃボーカルだ。それもメインのだ。髭と白もボーカルをやってる。ボーカル三人、合わせて七人の大所帯のグループでやっている。
「何かな」
「歌うか」
「そういえばな」
「俺もギターしたくなったな」
 リーダーが俺に続いてくれた。
「何となくだけれどな」
「俺もだな」
「俺も」
 今度はのっぽと細目だった。
「ベースあるしな」
「ドラムあったかな」
「ああ、あるぜ」
 俺が細目に答えた。
「古いのだけれどな」
「じゃあそれでね」
 細目は笑顔で俺の言葉に頷いた。それでだった。
 そのうえでだった。弟もだった。
「俺もサックスを出してね」
「よし、じゃあな」
「僕もね」
 最後は髭と白だった。
「これで決まりだな」
「もうお酒かなり入ってるけれど」
 それでもだった。俺達はもうそれでもよくなってきた。
 ビデオが終わったところでだ。七人一斉に立ってだ。
「じゃあな」
「かなり酔ってるけれどな」
「それでもだよな」
「歌うか」
「演奏するか」
 こんな話をして出たのは家の駐車場だった。そこに楽器を持って来てだった。そのうえで七人で位置についてからだった。
 そして歌う。その時俺は足元がふらついちまった。
「おっとっと」
「おいおい、しっかりしろよ」
「酒大丈夫かよ」
「飲み過ぎじゃないのか?」
「歌えるか」
「へっ、これ位じゃな」
 俺は足をまたしっかりとさせてそのうえで言い返した。
「全然平気だよ」
「だったらいいけれどな」
「まあそんなこと言う俺達もな」
「結構以上に飲んだからな」
「だよな」
 実は全員飲み過ぎていた。ビールもワインも飽きるだけ飲んでいた。全員顔は真っ赤になっていてにやにやした顔になっている。
 
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