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MS Operative Theory

作者:ユリス
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統合整備計画①

 
前書き
基本的に文字数は1500から2000程度です。 

 
——多様性と効率化という命題に挑んだ公国軍のMS規格統一化——

 限られた資源や生産ラインで多くの製品を生産するためには、省力化や効率化が必須である。

 一番効率がよいのは単一の製品のみを生産することだが、それが許されない状況では、可能な限り部品を企画・統一化することが得策である。同じシャシーを使ってセダンやバン、スポーツカーなど多数の車輌を生産するのが具体的な例であろう。

 軍事においてもこのような例は多く、砲塔を変更することで偵察車輌を装輪自走砲とする装甲車や、かつての日本軍が採用した統制ディーゼル(1.8ℓシリンダーを組み合わせることで、複数の排気量が異なるエンジンとする)などが存在した。

 より総合的な見地から遂行されたのが、同様にドイツ大三帝国が計画した「E」シリーズの開発である。これは、あまりに多様だった戦車群の統一・規格化と国内の非軍事系重工メーカーの動員によって、戦車生産の効率化を図るというものだった(Eシリーズとはこれによって開発されるはずだった戦車シリーズのこと)。

 宇宙世紀の軍事産業における一般的な効率化は、地球連邦軍の主力機ジム系列MSに見られるような、単機種への限定化による生産性や互換性の確保である。これは工業製品生産におけるもっとも基本的な効率化で、高い国力を誇る大国が選択することが多い手法である。

 これに対し、国力には劣っても(資源は乏しくても)高い技術力を持つ国家は、雑多な高性能兵器群を開発する傾向があり、それぞれの性能には着目しても効率化には無頓着である場合が多いようだ。このパターンに当てはまるのがジオン公国軍である。

 公国軍は一年戦争において多種多様なMSを開発、戦線に投入した。確かにそれぞれが強力なマシーンではあったが、あまりに多様なMS開発は運用面や生活面などで早晩問題となることは間違いなかった。

 そこで地球侵攻作戦が目前となったU.C.0079,02、突撃機動軍司令キシリア・ザビ少将の懐刀と呼ばれたマ・クベ少佐(当時)を責任者として、MSの規格統一化を目指した「統合整備計画」が実施された。

 マ・クベ少佐はMS開発会社の技術者を呼び出すと、半ば脅迫する形で、各MSをザクの生産ラインに適合するように再検討することを求めた。各MSに互換性を持たせることで、生産効率と運用性を高めようとしたのである。この命令によって各種MSの開発は一時的に停滞し、一年戦争最後の主力MSと呼ばれる「MS­14A ゲルググ」の開発すら挫折しかけたが、戦争中期には計画も軌道に乗り、「統合整備計画」仕様のMSがロールアウトするようになった。

 “ジオン驚異のメカニズム”とも呼ばれる公国軍の技術力と、ザビ家の権力をバックにした即断体制のなせる技であった。「統合整備計画」で開発された各MSのバリエーション機は、各地で反抗を開始した連邦軍との戦いに投入された。





補足事項

——MS統合整備計画の骨子と素案——

 各MSを統合し、パーツを規格化するという試みは斬新であり、前線の兵士には好評だった。しかし、本計画で開発されたMSも機種ごとに性能差(特にFZ型やゲルググJとの推力差など)が会い、他機種との連携という面では成功したと言い難い。

 また、水陸両用MSはこの計画に則った再設計と一部のパーツの共通化が行われただけに留まる。



——統合整備計画で見直された代表的なMSと落とし子——

■MS­06FZ(ザクⅡ改)

 統合整備計画の適用により、スラスター数の増加、バーニアの大型化などの改修を行った。結果、ザクⅡに比べて80%以上のスラスター推力を獲得した。しかし、推進剤の総量は変わらず、稼働時間は半分程度となった。


■MS­09R-2(リック・ドム・ツヴァイ[Ⅱ])

 ザクⅡ改同様、機体設計から見直されている。具体的には装甲形状の変更、スラスターの増設、プロペラント・タンクの設置などで、これらの仕様変更により、対弾性、機動性、稼働時間のすべてが向上している。


■MS­14JG(ゲルググ・イェーガー)  MS­14F(ゲルググ・マリーネ)

 ゲルググJは精密射撃戦用タイプとも言われ、装備しているビーム・ライフル、FCS(火器管制システム)も高性能なものを搭載している。また、ゲルググMは「海兵隊仕様」で、宇宙戦闘に特化している。


■MS­18E(ケンプファー)

 「統合整備計画」の落とし子とも言えるMS­18Eケンプファー。パーツごとにパッケージされ、わずかな人手でも組み立てられるという、「プラモデル」の様な機体であった。こうした整備や運搬時の利便さも、この計画の要素の一つだったのだろう。
 
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