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MS Operative Theory

作者:ユリス
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統合整備計画②

 
前書き
諸説ありますが色々な資料の中で当時のマ・クベの一番低かった階級が少佐でしたのでこの中では少佐にします。 

 
——MSの規格統一化を目指したマ・クベ少佐の統合整備案——

U.C.0077,08、「独立戦争」において主力を務めることになったMS­06ザクⅡをロールアウトさせた公国軍は、開戦時数千機規模のザク・タイプMSの量産を完了していた(公国軍がルウム戦役に投入したMSの総数は、およそ3000機=ザクⅡ×2600、ザクⅠ×320ともいわれる)。

 月面都市や企業の協力があったとはいえ、1億5千万人程度の人口しかない当時の公国が、1年余りの短期間でこれだけの数のMSを生産していた事実は驚嘆に値する。MSは従来の戦闘機や戦車と比較して、より複雑かつ高度な重工業製品であり、そのコストや生産性は決して良いとは言えなかったが、戦争直前の公国では、生産をザクⅡ1機種にほぼ限定していたため大きな問題にはならなかった。

 しかし、これを問題視する人物がいた。突撃機動軍司令キシリア・ザビ少将麾下のマ・クベ少佐(当時)である。開戦前から公国軍ではザク・タイプ以外のMS開発計画が多数進められていたが、各計画は基本的にリンクしておらず、完全な縦割り体制が布かれていた。これは各計画を競わせることで開発速度を高めるメリットがあった一方、各計画官の連携が皆無というデメリットもあった。

 携行火器やコックピットの規格の違い(操作方法すら違った)だけでなく、部品レベルでの互換性すら確保されていなかったのだ。開戦以前にこの問題に着目したマ・クベ少佐は、各MSの規格統一化を上層部に具申する。複数のタイプのMSが同じ生産ラインで量産可能となれば、各MS間での互換性が期待でき、そのメリットは計り知れないものとなる。

 だが、このマ・クベ少佐のMS統合整備案はドズル・ザビ中将によって拒否されてしまう。これは、短期間での電撃的勝利を目指す公国軍にとって、長期的な計画となるMSの規格統一化が優先課題と考えられなかったためとも、MSを艦船の補助兵器と見放していたドズル中将が、MSに関する計画にさほど積極的ではなかったためとも考えられている(MSを主力兵器とするか艦船の補助兵器とするかは、公国内でも意見が分かれており、開戦以前には主力兵器派のキシリアと補助兵器派のドズルの間で激しい論戦が繰り広げられていた。話はキシリアとドズルの進退問題まで発展したとも言われている)。

 マ・クベ案には上司であるキシリア少将の推挙もあったようだが、結局これは実現せず、U.C.0079,01,03の開戦を迎えることになる。

 なお、1年戦争開戦前後のマ・クベの階級を中佐とする資料もあるが、地球降下作戦時の階級は少佐であり、彼が降格されたという資料も確認されたという資料も確認されていないことから、これは誤りだと考えてよさそうだ。



——「独立戦争」の勃発と「統合整備計画」の実施——

 U.C.0079,01,03、ついに「ジオン独立戦争」が開始された。公国軍は当初予定していたコロニー落としによる連邦軍本拠地ジャブローの破壊には失敗したものの、各サイドと連邦艦隊に壊滅的なダメージを与えており、そのまま圧倒的優位な状況で終戦協定を結べるはずだった。

 しかし、捕虜としていた連邦軍中将(当時)レビルの脱走と「ジオンに兵なし」演説によって、連邦軍は戦闘続行を決定する。実際、一週間戦争とルウム戦役で連邦軍に致命的とも思える被害を与えた公国軍も、多くの将兵と艦艇・MSを失っており、更には物資にも事欠く状況に追い込まれていた。しかし連邦が降伏しない以上、公国軍としては軍事力による連邦の撃破と地球資源の奪取、つまり地球侵攻作戦を展開せざるを得なくなった。

 そうした時期にマ・クベ少佐のMS統合整備案が採用され、「統合整備計画」が実施されることになる。同年1月のことである。

 地球侵攻作戦の決定と「統合整備計画」の採択の関係については語られている資料が存在しないため推測の域を出ないが、南極条約締結直後というタイミングから考えて、戦争の継続にとって地球用MSの必要数が当初の予定よりも大幅に多くなってしまったため(開戦以前は一太刀で連邦を打倒した後に占領軍として地球に進駐するつもりだった)、従来の生産ラインでは必要なMSのバリエーションと定数が満たせなくなったとの判断があったのだろう。

 経過はどうあれ「統合整備計画」は正式に採用された。責任者として任命されたのは、計画の発案者でもあるマ・クベ少佐であった。マ・クベ少佐の指示自体は単純なものであった。

 「ザクの生産ラインをベースにMSを開発せよ」。つまり、すべてのMSを「ザク化」しろということである。しかし、各MS開発計画、特にMS­09ドムと水陸両用MSシリーズの開発はかなり進行していたため、それらの機体はかなり進行していたため、それらの機体に関しては現状のまま開発を進めることが許され、後に生産ラインを統一することになった。

 いかに汎用性に優れるザク・シリーズであっても、それだけで地球の戦線を支え、短期間で連邦を降伏に追い込むのは不可能だと判断したのだろう(マ・クベ少佐自身が地球資源確保の責任者を兼任していたことも理由の一端である)。それでも「全MSのザク化=各機体の根本的な設計変更」には約4ヶ月の時間が必要で、その間、新型MSの開発は滞ることになった。
 
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