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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第1章
旧校舎のディアボロス
  第8話 神器と士騎家の正体

 
前書き
まだまだアーシアは出ません。 

 
「まず、天野夕麻の正体は堕天使よ。そして、貴方に接触した目的は貴方の中にある物を調べる為よ」
「……俺の中にある物?」
「それは神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれる物よ」
「……神器(セイクリッド・ギア)……?」
神器(セイクリッド・ギア)とは、特定の人間の身に宿る規格外の力よ」
「歴史上に残る人物の多くが、その神器(セイクリッド・ギア)の所有者だと言われているのですよ」
「規格外と言っても、ほとんどが人間社会規模でしか機能しない物ばかりだ。最も、例外でとんでもない力があるやつもあるが」

 リアス先輩と姫島先輩、明日夏が神器(セイクリッド・ギア)ってのについて説明してくれる。

「イッセー、手を上に翳してちょうだい」
「は、はい」

 俺は左腕を上に挙げる。

「目を閉じて、貴方の中で一番強いと感じる何かを心の中で想像してみてちょうだい」

 先輩にそう言われ、俺は真っ先にドラグ・ソボールの主人公である空孫悟を思い浮かべた。

「じゃあ、その人物の一番強く見える姿を真似るの。強くよ。軽くじゃダメ」

 ……マジですか……。

「諦めてさっさとやれ」

 俺が何を想像したのか分かってるのか、明日夏が急かしてきた。
 クソ!こうなったらやってやる!
 俺は立ち上がると、空孫悟の必殺技の構えを取る。

「ドラゴン波ッ!」

 俺は開いた両手を上下に会わせ、手前へ突き出しながら高々と技名を叫ぶ!空孫悟の必殺技ドラゴン波のポーズだ!
 我ながら会心のできだった。……公開処刑なせいで、素直に喜べないが……。

「さあ、目を開けて」

 先輩の言う通り、目を開ける。すると、俺の左腕が光りだした!


ー○●○ー


 光が止むと、イッセーの左腕に赤色の籠手が装着されていた。
 赤い籠手?まさかな……。
 俺はある神器(セイクリッド・ギア)の事を考えるが、その可能性を一端伏せる。

「これが……?」
「そう、それが貴方の神器(セイクリッド・ギア)。一度ちゃんとした発動ができれば、後は貴方の意思でいつでも発動可能になるわ」

 イッセーは籠手をまじまじと見る。

「天野夕麻は、それが自分達堕天使にとって危険だと判断したからお前を殺したんだ。正確には堕天使のトップの命令だがだな」
「……でも、俺はこの通り生きているぞ……?」
「死んだお前をグレモリー先輩が生き返らせたんだ。……悪魔に転生させてな」
「えっ!?」
「瀕死のお前が無意識にこいつで先輩を召喚してな」

 俺はあるチラシをイッセーに見せる。

「それは!?」
「こいつは悪魔を召喚する魔方陣が描かれたチラシだ。お前がもらった物と同じやつだ」

 そう、これは悪魔を召喚する為の魔方陣が描かれたチラシだ。ちなみに、これは千秋がもらった物を俺が没収した物だ。

「そして、私は貴方を生き返らせた。悪魔としてね。貴方は私リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったわ。私の下僕の悪魔として」

 バッ。

 そして、イッセーや先輩達の背中からコウモリのような翼が生えた。
 それを見て、イッセーはかなり困惑していた。
 ……さて、そろそろ聞くかな。

「ところで、俺と千秋を呼んだ理由はなんですか?」

 俺は先輩に訊く。イッセーの知り合いで異能の存在を知っているってだけで呼ばれるとは思えないからな。

「ふふ、そうね。じゃあ、聞くわ。二人は何者なのかしら?」

 ……やっぱりそれか。何となく予想はできていた。
 イッセーには内緒にするつもりだったが、まあ、良いだろう。
 俺は千秋と目配せをして頷き合う。

「俺達は『賞金稼ぎ(バウンティーハンター)』です。……見習いですが 」
「『賞金稼ぎ(バウンティーハンター)』?」
「一般的に知られてるものとは違うもので、魔物なんかの異能、異形の類い専門にした職業みたいなものです」
「面白い事実ね」
「元々、生活費を稼ぐ為に兄貴が知り合いから聞いて始めた事がきっかけで、俺達もそれに関わる様になりました」
「冬夜さんが!?」

 俺達の兄士騎冬夜の名前が出た事で、イッセーが驚く。

「なるほどね。職業柄、ずいぶんと色々詳しくなったって訳ね?」
「……はい」

 兄貴が色々なコネで情報を得ており、それがそのまま俺達の知識になっている。……中にはとんでもない情報があったりするが、これは言わないでおこう。

「貴方の口振りから、最初からって訳じゃなさそうね?いつからなの?」
「……十二年前からです」
「そんなに昔から?」
「……ええ」

 十二年前と言う単語に、イッセーは沈痛な面持ちになる。

「……明日夏、それって……」
「……ああ……父さんと母さんが交通事故で死んだ年だ」

 ……十二年前、その年に俺達は両親を事故で亡くした。
 イッセーもその事を知っている。

「……当時、十歳だった兄貴は、俺達を養う為に『賞金稼ぎ(バウンティーハンター)』の道を歩み始めた」

 その事実を知ったのは、しばらく経ってからだがな。

「……その二年後には姉貴も『賞金稼ぎ(バウンティーハンター)』の道に、そして、俺達も将来自分で稼ぐ為にその道に入った」
「……やっぱり、千春さんも……」
「……ああ」

 千春、俺達の一つ上の姉だ。
 どうやって兄貴の事を知ったかは知らないが、兄貴の事の情報源は姉貴からだった。

「……そう。幼い頃からとても辛い想いをしてきたのね……」

 いつの間にか、先輩も沈痛な面持ちになっていた。

「……いえ、イッセー達とバカな話をしたりと色々と楽しい時間を過ごしてきてはいたので、そこまで辛い人生ではなかったです……」

 俺は本心でそう思えていた。千秋も兄貴も姉貴も同じ想いだ。
 さて、俺達の事はこんなもんで良いか。

「……それで、俺達の事をどうするんですか?」

 一応、俺と千秋は警戒しながら先輩を見る。

「じゃあ、せっかくだから仲良くしましょう」
「「はい?」」

 先輩の言葉に俺達は思わず、少し呆けてしまった。

「元々、そのつもりで呼んだのよ。正体はついで」

 先輩は悪戯が成功したような顔をして言う。

「言ったでしょう。貴方の事も気に入ったって。友達の為に迷わず命を代価にしようとした貴方を」
「なっ!?明日夏、お前!?」

俺が命を賭けようとしていた事にイッセーは驚愕していた。

「ダチのために命懸けるくらい当然だろうが」

俺は迷い無く言う。

「明日夏…っ……」

 そんな顔をするなよ、イッセー。

「じゃあ、改めて紹介するわね。祐斗」

 木場が立ち上がる。

「僕は木場祐斗。兵藤一誠君と士騎明日夏君と同じ二年生って事は分かっているよね?え~と、僕も悪魔です。よろしく」
「……一年生、塔城小猫です。よろしくお願いします。……悪魔です」

 小さく頭を下げる塔城小猫。

「三年生、姫島朱乃ですわ。一応、研究部の副部長も兼任しております。今後もよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ。うふふ」

 礼儀正しく姫島先輩は深く頭を下げる。
 最後にグレモリー先輩。紅い髪を揺らしながら堂々と言う。

「そして、私が彼らの主であり、悪魔であるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね、イッセー、明日夏、千秋」
「よ、よろしくお願いします」

 ま、これもまた一興か。
 俺と千秋はお互いに視線を合わせた後、頷く。

「「よろしくお願いします」」 
 

 
後書き
明日夏と千秋の兄と姉の名が登場。その名は士騎冬夜と士騎千春。
そして、明日夏達の正体は魔物なんかの類い専門の『賞金稼ぎに(セイクリッドバウンティーハンター)』。
その実力は後々記載します。
 
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