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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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四章 モンバーバラの兄弟
  4-14自分の中では正論

 マーニャの移動魔法でキングレオに飛ぶ。

「……便利だね。もっと早く、覚えてくれれば良かったのに」
「当ても無く探し回ろうってときに。あっても無くても、たいして変わんねえだろ」
「正論みたいなこと言うなよ」
「みたいってなんだよ」
「おふたりとも、その辺で。」


 オーリンが再び裏口の鍵をこじ開ける。

「一昨日引き千切ったのが直ってるとか。仕事が早えな」
「騒ぎにならないのが不思議だね。厳しいのか、杜撰(ずさん)なのか」
「どっちにしろ、騒がれねえなら好都合だな」


 大臣の部屋の側に、火薬を設置する。

「あとは、離れて火の玉でも飛ばせばいいな」
「派手に爆破とかやめてくれよ」
「わかってるって。行くぜ」

 マーニャが威力を調節した火球を飛ばす。

「地味にもできるんだ。」

 ミネアが呟くとほぼ同時に、火薬に引火し、轟音が響きわたる。

「ほー。なかなかのもんだな」
「すごい音だ……大臣だ!」

 隠れて様子を窺う。
 大臣は怯えた様子で、きょろきょろと忙しなく周囲を見回し、よろよろと城の奥へ向かい歩いて行く。

「見ろよ、あの顔。情けねえ」
「静かに。見つかったら、元も子もない」

 物陰に隠れ、大臣の後を追う。

 城の奥の廊下にたどり着いた大臣は、何も無いように見える壁を探り、スイッチを押す。
 壁が開き、大臣が中に姿を消すとともに、再び壁は閉じ、後には何の異常も無いように見える壁が残った。

「こんなことになってたとはな」
「この中に、バルザックの奴が……!」
「スイッチは……あった!」

 顔を見合わせ、頷き合う。


 スイッチを押し、壁が開くと同時に、中になだれ込む。
 中の大臣と兵士が、驚愕も(あら)わに声を張り上げる。

「ええい、こんなところで何をしておる?早く出て行かぬかっ!」
「聞く義理はありませんね」
「な、何者だ!ここはバルザック王のお部屋なるぞ!」
「お前ごときに名乗る名はねえ。知っててきたんだよ!」

 言い終えるが早いかマーニャが爆発の魔法を放ち、吹き飛んで壁に叩きつけられた大臣と兵士が意識を失う。
 オーリンが玉座の男に向かい叫ぶ。

「バルザック!とうとう見つけたぞ!」


 ()()な衣装を(まと)い、豪華な玉座に座る、貧相な男が、たっぷりと()を取って応じる。

「ほほう、その方等は。確か、エドガンの息子たちに、弟子。父親と師の、仇討(かたきう)ちに来たというわけか。」
「わかってんじゃねえか、恩知らずが。親父を殺した罪、命で償ってもらうぜ」
「父さんの仇!どうあっても、許しはしない!」
「エドガン様の無念!今こそ、晴らす!」

「……エドガンは、偶然に発見した、進化(しんか)秘法(ひほう)を、闇に葬ろうとしたのだ。愚かなことだ。その秘法さえあれば、世界の王にもなれるものを……。」
「秘法かなんか知らねえが。親父が消そうとして、てめえが盗んだもんだ。ろくなもんじゃねえな」 
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