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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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四章 モンバーバラの兄弟
  4-15宿願の一歩前

 バルザックは立ち上がり、大仰(おおぎょう)に手を振り上げる。

「親が愚かなら、子も愚かだな。見るがいい!私の力を!この素晴らしい、進化した身体を!」

 高らかな宣言が終わると、バルザックの身体が醜く膨れ上がり、豪奢(ごうしゃ)な衣装が弾け飛ぶ。
 顔色は悪くとも人間のものだった皮膚は、分厚く硬い魔獣のそれに変わり、剛毛が飛び出るように生え揃う。
 裂けた口からは牙がのぞき、目は吊り上がって瞳孔は細まる。
 全身の筋肉は盛り上がり、指先には爪が、頭部には角が、長く鋭く伸びる。

 父の(かたき)、それでも人間だったはずのバルザックは、異形(いぎょう)の魔物に姿を変えた。


「これは……進化(しんか)の、秘法(ひほう)!?」
「ちっ、悪魔に魂を売るってのは、こういうことかよ!」
「兄さん!」
「わかってる!」

 マーニャは取り出していた静寂(せいじゃく)(たま)を、天に(かざ)す。
 静寂の玉が光を放ち、バルザックを照らし出す。

「それがどうした!」

 バルザックは構わず呪文を唱えるが、発動しない。

「貴様!何をした!」

 マーニャは答えず、守備力低下の呪文を唱える。
 先に斬りかかっていたオーリンとミネアの武器が届く前に、魔力がバルザックを包み、呪文で弱った魔獣の皮膚に、槍が、鉄球が突き刺さる。
 バルザックは激昂して腕を振り回し、オーリンを弾き飛ばす。

 オーリンに追いすがろうとしたバルザックに、マーニャの火球が炸裂し、反対方向に吹き飛ばす。
 ミネアはオーリンに取り付き、回復する。

 バルザックが広範囲に火の玉を吐く。
 オーリンは盾を構えて突っ込み、背後に隠れるようにミネアが続く。
 マーニャは火の玉をかわしつつ重ねてルカニを唱え、さらに弱まる皮膚にふたつの武器が食い込む。

 マーニャが火球で攻撃と牽制を兼ね、時に近付いては身をかわして撹乱(かくらん)し、オーリンは前に出て注意を引きつつ槍を振り回し、ミネアは攻撃と回復を随時行う。

 魔法を封じたバルザックを三人は圧倒し、遂には打ち倒した。

「やった……!」
「いや、まだだ」

 まだ息のあるバルザックに、とどめを刺すため近付く。

 瞬間、悪寒が走り、咄嗟に下がって距離を取る。


 三人とバルザックとを隔てる空間に、突如として、獅子に似た巨大な魔物があらわれた。


「ちっ、新手か!」
「そんな、ここまで来て……!」

 獅子の魔物は、バルザックを見下ろし、尊大(そんだい)に語りかける。

「不覚を取ったものよ、バルザック!そんなことでは、デスピサロ様に申し訳が立たぬわ!」

 バルザックは倒れ伏したまま、卑屈に応じる。

「こ、これはキングレオ様!なにとぞ、このことをデスピサロ様には、ご内密に……。」 
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