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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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四章 モンバーバラの兄弟
  4-12地面の中が嫌い

「全く、ろくなことしやがらねえな。おかげで爺さんは倒れるし、鉱山には入らねえといけねえし。」
「それはそうだけど。そのふたつを並べるなよ」
「洞窟とか、地面の中は。嫌いなんだよ。生きてるうちに行くとこじゃねえよ、あんなもん。」


 まだ新しい墓の前に(たたず)む男性を横目にし、鉱山の入り口を目指して、救護所を通り抜ける。
 救護所では、鉱夫たちが横たわり、咳きこんでいる。

「鉱山から、変なガスが湧いてきて、人がばたばたと倒れたんだ。ゴホゴホ……。」
「ゴホゴホ……。命が惜しかったら、鉱山には入らないことです。変なガスが出たときから、魔物たちがあらわれはじめて……。ゴホゴホ……。」


「そりゃ、オレだって入りたかねえよ。ますます気が()()るぜ」
「毒のガスに、魔物か。何か、関係あるのか……。」
「なんにしても行くんだろ。さっさと済ませようぜ」


 鉱山の中には、(まば)らではあるが、鉱夫の姿があった。

「まだ掘ってやがるのか。命あってのもんだろうに、気が知れねえな」
「彼らには、彼らなりの事情があるんだろう。他人のことは言えないよ、僕たちも。」
「ま、そうだな」


 鉱山の中は、人工の場所とは思えないほど魔物が多かった。
 しかし魔物の集団が出ると、マーニャが火炎や爆発の魔法で派手に吹き飛ばすため、さして時間もかけずに一行は進んで行く。

「……また、派手になってないか」
「たらたらやってられねえからな」
「そういうことじゃなくて」
「最近また魔力が上がってな」
「……城で使わなくて良かったよ」


 しばらく進んだところで、物陰に隠れるように置いてある宝箱を発見した。

「火薬か?」
「違う、これは。銀のタロットだ。」
「なんだそりゃ」
「神秘の力を引き出せる占い師が使うことで、カードが持つ様々な魔法の効果を引き出せる、伝説の道具だ。なんでこんなところに」
「ほー。ついてるな、貰っとけよ。占い師のお前が拾ったのも、なんかの縁ってもんだろ」
「そうだね、偶然にしては出来過ぎてる。ありがたく、頂いて行こう」
「早速使ってみろよ」
「駄目だよ!カードの効果は、良いものばかりじゃないんだ」
「抜いときゃいいんじゃねえの」
「それじゃ効果が出ない」
「使えねえじゃねえか」
「一応、一日の最初の数回までは、悪い効果が出ないと言われてる。いざというときには、使えるよ」
「へー、そうかよ。ま、任せるぜ」 
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