| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドラゴンクエストⅢ 勇者ではないアーベルの冒険

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第42話 そして、ジパングへ・・・

「ようやく、ついたな」
「帰ってきましたね」
俺達は、アリアハンのルイーダの酒場で話をしていた。

「あの、アーベルさん?」
「タンタルさん。どうしましたか」
「ジパングには行かないのですか?」
「もう、行きましたよ」
「ルーラの登録しかしていませんけど。用事はないのですか?」
「ああ、明日ルーラで行くつもりですから」
俺は、皆の前で話をした。
「今回は一度、船を置くためにアリアハンに戻った」
俺達は、基本的に船をアリアハンに置いている。

理由は、アリアハンがポルトガの造船技術を学ぶためである。
俺は、船体を守る特殊な金属の話をしたのだが、アリアハンは自前で船を造るのだといって、俺の助言を否定した。
せいぜい、がんばって欲しい。
それとは別に、俺はジパングでの探索で必要なものをここで入手する必要があった。


「明日は、いろいろと捜索をするつもりだから、早めに休むぞ」
「はい」
「残念ね」
「わかりました」
テルルだけは残念がったが、他の2人は俺の意見に賛成している。

セレンは、人によく話しかけられることを嫌っていたし、タンタルは3姉妹を恐れて常に周囲に気を配っているからだ。
俺が、会計を済ませるとそれぞれ家で休んだ。
タンタルは宿屋にとまった。



「どうやら、ここらへんが怪しいな」
俺は、地図を頼りに目的地に到着すると、みんなに話しかける。
「このあたりに、隠された地下への入り口があると思う」
「そうなの?」
「たぶんだが」
「怪しいわね」
「とにかく手伝ってくれ」
「はーい」
「わかりました」
「探してみます」


しばらくすると、目的のものが見つかった。
「みんな、集まってくれ」
俺は、目の前にある岩の前にみんなを集めた。

「ここに、何があるの?」
「地下への入り口さ」
「地下ですか?」
正確には地下世界への入り口といったほうがいいのかもしれない。
俺は、岩の奥と地面と間にあるわずかな隙間を示した。
真っ暗で何もみえない。
「それでは、と」
俺はジンクから教わったイオナズン(室内用改め、観賞用)を唱えた。
俺はまだイオナズンを覚えていないため、イオラ(観賞用)になるが。

光が、隙間の先にある景色を指し示す。
「洞窟?」
「たぶん、そうだろうね」
俺は、頷いた。

ゲームではジパングの住人が、難を逃れるため、下の世界のマイラに住んでいた。
冒険者でもない人たちが逃げ出すことができたことから、ジパングのすぐ近くに地下世界への入り口が存在することを予測していた。
そして、入り口の位置については、ある程度予想をたてていた。
死者の国とこの世界とをつなぐ入り口。
黄泉比良坂(よもつひらさか)
元の世界では島根県東部にあると伝えられている。
ちなみに、山陰の左側が島根県で、右側が鳥取県だ。

「最初の予測地点で見つかるとは幸先がいいな」
「予測地点とは?」
「なんでもない」
俺は慌てて否定する。

ちなみに、他の予測地点は天の岩戸のことだ。
これは、隠れた場所が闇の場所だったことに関連している。
言い伝えは日本各地にあるが、俺が知っているのは宮崎県にある神社ぐらいしか知らない。
違ったら、ジパングの村で聞き込みを行う予定だ。

「アーベル、見つかったのはいいけど、どうするの」
「いつものを試そうと思う」
「あれですか?」
「今回は、威力を抑えたものを使うけどね」
俺は袋から野球ボール程度の大きさのものを取り出す。
名付けて、魔法の玉(小)だ。
「これまでのものを使うと、爆破で洞窟を壊しかねない」
俺の言葉に、セレンとテルルは頷いていた。

「アーベルさん。何が始まるのです?」
「そうですね、少し岩から離れて見てください」
俺は、魔法の玉(小)を裂け目に固定すると、みんなと一緒に避難して、メラを唱えた。
岩の一部が崩れ落ち、俺達ががれきを取り除くと何とか人が通ることが出来る空間が出来た。

「威力は十分と。この程度なら、規制して販売するのは問題ないか」
俺は、爆発の威力等を報告書に記載していた。
報告書を作成し、量産化に向けた問題点を整理することで、キセノン商会から先行量産型の魔法の玉(小)をいくつか譲ってもらったのだ。


洞窟を進むと、目の前には井戸のようなものがあった。
のぞき込んでも、真っ暗で、先が見えない。
俺のイオラ(観賞用)で調べてみたが、先にある闇は一向にわからない。
先ほどの岩の破片を落としても、当たった音が聞こえない。
「とりあえず、確認出来たので今日は帰るか」
「そうですか」
「わかりました」
「まあ、いいけど」
俺達は、新たに発見した洞窟(?)を後にして、次の目的地へと向かった。



「痛かったですぅ」
「ごめんね、セレン」
「俺も痛かったぞ、テルル」
「はい、アーベル。この薬草でも食べておきなさい」
「はいはい」
俺は、袋からアリアハンで買い占めていた薬草を取り出すと、口に含めていた。

俺達は、ジパングの洞窟の入り口で経験値を稼いでいた。
ここには、メタルスライムが数多く出現する。
装甲は堅く、すぐに逃げる特性から倒すのは至難の業だが、倒すことで得られる経験値は破格だった。
というわけで、タンタル(年齢が10歳以上年上と知ってからは「さん付け」で呼んでいる)の「くちぶえ」でいつものように戦っていた。

ところが、思わぬ問題が発生した。
敵が強かったわけではない。
きちんとHPの管理をしていたので、モンスターの攻撃で瀕死になることはない。
問題なのは、敵が使う呪文にあった。
「メダパニはやっかいだな」
俺達は、きめんどうしと呼ばれる全身が顔といえるモンスターが放つ、混乱呪文「メダパニ」の対応に苦慮していた。

今回は、セレンが混乱したので助かったが、俺やタンタルが混乱したら死者も出ただろう。
混乱を防ぐために、仲間を攻撃する手段はあるが、こちらの手数が減るのでさらなるメダパニ攻撃を受ける可能性がある。
「しかたない、別の場所で戦うか」
ここ以外にも、メタルスライムが出現する場所がある。
ただ、俺が酔いに弱いため敬遠していた場所であった。。
パーティ内で死者を出すことに比べたら、酔いの一つくらいは我慢しなければならない。

「どうした、セレン大丈夫か?」
セレンの様子をみると、どこか不満そうな様子だった。
「私は、大丈夫です。アーベルは、大丈夫ですか」
「ああ、大丈夫だよ」
俺は、心配されないように笑って答えたが、セレンの不満そうな顔は収まっていなかった。

「セレンさん。俺にホイミをかけてください」
「タンタルも、薬草で回復を・・・て、けがをしてないでしょうが」
「すいません」

タンタルとテルルのやりとりでようやく俺はセレンの考えがわかった気がする。
セレンの表情が少し良くなったからだ。
「セレン、俺の回復も頼む」
「アーベル、まだ薬草があるでしょう」
「テルル、今日はこれで、帰るつもりだ。それなら、ホイミのほうが助かる」
「・・・仕方ないわね、セレンお願いね」
テルルも、セレンの表情を読み取ったのか、否定はしなかった。
「ありがとう、セレンさん」
「だから、タンタルはけがをしてないでしょう!」

喜んでホイミを唱えるセレン。
タンタルを笑いながら叱るテルル。
頭をかきながら謝るタンタル。
やがて、俺達は笑いあっていた。 
 

 
後書き
本編とは全く関係ありませんが、6月1日19時から、マインドシーカーの二次小説の転載を行います。
冷やかし程度に、見ていただきましたら幸いです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧