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ドラゴンクエストⅢ 勇者ではないアーベルの冒険

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第41話 そして、ポカパマズの考察へ・・・

俺は師匠の家を出ると、南下して、ムオルの村に立ち寄っていた。
到着したときは夜中だったが、宿屋に無理をいって泊めてもらい、昼に起きてからこの村の情報収集を行っていた。
「水鉄砲はなかったか」
「みずてっぽうって、なに?」
テルルは質問する。
「口で説明するより、作った方が早い。機会があれば、つくってみるよ」
この後、ジパングによる予定だ。
竹があれば、自作をしてもいいだろう。

しかし、水鉄砲がないということは、SFC版準拠であることになり、オルテガの兜がここにはあるということか。
勇者ではない俺にとっては、どうでもいいことだが。

「ところで、ポカパマズってなんでしょうね?」
タンタルが俺に尋ねてきた。

この村に、冒険者がくるのは珍しいらしく、以前に尋ねてきたのは8年ほど前にポカパマズさんと呼ばれる戦士以来だという。
「さあ、なんでしょうね」
「アリアハン出身といわれたけど、基本的にアリアハンの出身者は4文字以内だよね」
「名前が長いと、早死にするという迷信のことですか?」
タンタルが俺に聞いてくる。

「まあ、迷信と言えばそうですが、冒険者に限っては、あながち間違いでもありません」
「と、いうと?」
「呼び名が長ければ、パーティ内での連携に時間を要します、程度の話ですが。愛称で呼び合えば問題ないですし」
俺は適当に答える。
ふと、俺は、ポカパマズの由来を勝手に思いついたので、披露してみた。

「ポカパマズとは、大いなる厄災という意味だ」
「それにしては、村のひとのポカパマズという言葉への反応は好意的だったわよ」
「あれは、もう8年も前の話になる」
俺はテルルの指摘を無視して、話し始めた。

「かつて、この町を20年に一度襲う厄災があった。田畑は荒れ、娘はさらわれ、老人達は情け容赦なく殺されていった。
この町の人はこの厄災のことを、畏怖を込めて大いなる厄災「ポカパマズ」と呼び、忌み嫌っていた。
だが、1人の男によって新しい展開を迎えることになる。

世界を旅する戦士がいた。
この戦士は偶然、厄災の元凶となるモンスターを討伐した。
しかしながら、この戦士は全身傷だらけとなり、なんとかこの村にたどり着いた。

この戦士が村の前で倒れていたところ、1人の子どもに発見された。
子どもは、その男を助けるため村人達に声をかけた。
しかし村人達は、今年が厄災の発生する年であることを思い出し、男が大いなる厄災「ポカパマズ」だと恐れ、とどめを刺そうと決意した。

しかし、それを救ったのは、ポカパマズを最初に発見した子どもであった。
その子どもは、男の手荷物から厄災の元凶であるモンスターの角を発見し、この男が厄災のモンスターを討伐したことを村人達に説明した。

最初は半信半疑だった村人たちも、村の長老達が、男が持っていたモンスターの角が間違いなく厄災の元凶であるモンスターのものだったことを確認したことから、その男を「ポカパマズ」さんと呼んで大切にもてなした。

怪我が癒えた男は、村人たちから、大いなる厄災の話を聞いた。
男は村に張り巡らされた結界を調べると、一部の力が弱くなっており、20年に一度弱くなった部分から結界に侵入することで、モンスター達が襲撃をしていたことが明らかになった。

男はモンスターの牙を利用して、結界を修復し、モンスターからの厄災を防ぐことに成功した。
町の人たちは感激し、ずっとこの村で暮らすことをすすめたのだが、男は魔王を倒し息子と一緒に平和な世界をつくるのだと言って、旅を続けたのだった。


という話があったとしたら、信じるかい?」

「はい、信じます」
「信じるかい、というのは?」
「まさか、作り話なの」
セレン、タンタル、テルルがそれぞれ異なる感想を述べた。

「ああ、俺の思いつきだよ」
「すごいです」
「セレン。へんな事で感心したら駄目でしょう。すぐに調子にのるから」
「だまされるところだった」
「だますなんて、人聞きが悪いですよ。最初から、思いつきだと・・・」
俺は、話を続けることが出来なくなった。

近くにいた男が、急に俺の胸ぐらをつかんできたからだ。
「あんた、どうしてその話を知っている!」
「はい?」
「本当なの、アーベル」

俺は男を睨みながら話した。
「離してください」
「・・・」
「これは俺の思いつきです。手を離してもらえないのなら、真実だと思われますよ」
「・・・ああ、済まない」
ようやく男が俺から離れた。
「いえいえ、こちらこそ失礼しました。勝手に作った話を、大声で話したら気になりますよね」
「まあ、作り話だと思っているのなら、かまわないさ」
男は疲れた様子で、俺の元を離れていった。

男は、他の村人達のところへ行って、ひそひそ話をする。
途中で、こちらの方に視線を向けてくる。


「さあ、出かけるか」
「はい」
「・・・。そうだな」
「そ、そうね」
俺達はそそくさと村を出て行った。
 
 

 
後書き
今回のポカパマズ大いなる厄災説は、SFC版のオープニングを基にして、勝手に作ってみました。
なので、公式設定ではありません。
本当のところは、どうなのでしょうか?

 
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