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ドラゴンクエストⅢ 勇者ではないアーベルの冒険

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第4章 新生ロマリア王国
  第27話 迷ったら 現場に戻れと 言われても 俺の現場は 何処にあるやら (詠み人 アーベル)

 
前書き
第4章は国政モードのため、独自解釈部分がほとんどを占めます。
「こんなのドラクエ3じゃない!」
と思われるかもしれませんが、
「僕のかんがえたドラクエ3」ということで
暖かい目で見守ってください。

各話のタイトルも4部だけは、別にしました。
ネタが尽きた訳ではないはずです。ないはずです。 

 
「さて、どうするか」
誰もいない寝室で、俺はため息をつく。
ジンクとの話が終わり、与えられた寝室で寝ていた。
とはいえ、寝ることもせず、これからの事を考えていた。


まずは、基本に返って、考える必要があるな。
前の世界での、職場の上司の言葉だ。
「迷ったら、まずは現場に戻れ」
ただ、上司の職場にとっての現場は庁舎内にしかなかった。

おそらく、上司の大好きな刑事ドラマから仕入れた話だろう。
ちなみに俺が好きな刑事ドラマは、ト・・・。
・・・、話を戻すか。


俺の旅の目的は、勇者がバラモスを倒す前に、ゾーマを倒すことだ。
そのため、勇者が旅立つ2年前に俺は旅に出た。
まず、移動手段である船を手に入れた。

今後の予定を思い出す。
次に、経験値を稼いで、自分たちの戦力を強化する。
そして、地下世界への道を探す。
また、ゾーマを倒すために必要なアイテムを入手する。
最後にゾーマの城に侵入し、ゾーマを打ち倒すのだ。

このシナリオの中に、ロマリア王になるという必要性は皆無である。
だから、頼まれても断ればいい。
SFC版なら断ることが出来たはずだ。
さらに言えば、ゲームでは王様になれるのは勇者だけのはず。
どうしてこうなった。

「いや、済んだことはしかたない」
俺は首を振る。
まだ、計画は失敗したわけではない。
であれば、今後の事を考えるのだ。


王の在位は最低1年。
法律を変えれば、短くなるかもしれないが、出来ない可能性のほうが高いだろう。
出来るのであれば、あの場で重臣達が俺に進言したはずだ。
俺が王位についても、利があるとは思えないからだ。

また、王位から逃げ出すこともできない。
既に、各国の王に俺がロマリア王に就任したことが知らされているはずだ。
今から俺が逃亡すれば、国際指名手配されるだろう。

逃げ出した場合、確実にロマリア王国の探索の手が伸びる。
ジンクが探索隊を率いるだろう。
そして、ジンクに襲われたらひとたまりもないのは、確実だ。


であれば、俺がロマリア王として一年間で何ができるのか考える必要がある。
まずは、ジンクからの依頼の解決だろう。
それが解決出来ない限り、俺は王位を誰かに譲ることができない。
協力しないとわかったとたん、消されるかもしれない。

ひょっとして、殺された王は、貴族ではなくジンクや前の王に殺されたのか。
一瞬背筋が凍り付いたが、ぶるぶると体を振らしてその考えを消し去る。

依頼の解決を果たせば、ある程度行動の自由を得ることができるだろう。
ドラゴンクエストの別シナリオのように、王様のままで冒険を続けることが出来るのかもしれない。

早く行動の自由を取り戻すために、どうすれば問題が解決出来るのか。
ジンクの考えた提案内容を十分検討する必要があるだろう。
だがその前に、俺が知らなければならないことがある。

ジンクが排除すべきと提案した、貴族達のことだ。
貴族達の立場からの話をきちんと聞かない限り、動くのは危険だ。
3カ国交渉の時とは話が違う。

ジンク達の提案は、利害対立の調整ではなく、相手の完全な排除である。
今回失敗すれば、直接我が身の破滅となる。
俺は、中心となる大貴族達の話を聞くことを決めた。


ロマリアには現在、四大貴族が存在する。
ロマリア王国建国時に功績のあった者達を貴族に叙任したのだが、そのなかでも特に活躍した12人に大貴族の称号を与え、他の貴族達と別の扱いをした。
大貴族はモンスターの襲撃等によりその数を減らし、現在では四大貴族としてロマリア王国に君臨している。

今日は王として、初めて四大貴族達と話をすることになっていた。
俺が四大貴族達を見たのは初めてではない。
はじめて見たのは、最初にロマリア王に交渉を持ちかけたときだった。
だが、その場で話をすることもなかった。

俺たちは、円卓のテーブルに座っていた。

「さて王よ、話を伺おうか」
全身筋肉という感じの男が声を上げる。
この男が、近衛軍総統ヴァルゴ家の当主デキウスである。
年齢はすでに40を超えているが、その力は衰えず、ヴァルゴ家史上最強と言われている。

だが、自らの力を過信するあまり、他の貴族や俺を見下す姿勢が見られる。
俺のことなどは、「口先だけで王位に就いた」と公言してはばからない。
実際は「就いた」が「就かされた」の違いがあるが、訂正すればさらに恥ずかしい話になるので、俺は訂正はしないことを決めていた。

今回最初に話を切り出したのは、早く話を終わらせて、武術の鍛錬の時間に充てるつもりのようだ。

「自分はこの国で生まれた訳ではない」
別の世界から来たことは言えないな。
「この国のことは、冒険者で会ったときとアリアハンで知った知識しかない」
俺は前の王を含めて全員を見渡す。
「であれば、前の王を含めて重臣である皆さんと協力して、国を運営しなければならない。
しばらくは、これまでどおりとして皆に任せることになるが、今の時点で自分に伝えるべき事があれば、話して欲しい」

デキウスが口火を切る。
「王よ、これまでどおりなら話すことはない」
「そうか」
「そうだ」
デキウスは挑むような目つきで、俺をにらみつける。
「わかった。よろしく頼む」
「ふん」
デキウスは、口先だけは立派だなと言いたげな様子だ。
「デキウスよ。鍛錬がしたいのであれば、帰って良いぞ」
デキウスは喜んで立ち上がる。
「さすが、口先で王になっただけのことはある。失礼する」
デキウスはそのまま部屋を出た。

他の貴族は驚いたが、デキウスの対応をみて苦笑する。
「デキウスらしいな、落ち着きの無い奴め」
白髪で長髪の老人が俺に声をかける。
財務大臣を務めるライブラ家の当主ガイウスだ。

ジンクからの話では、国家財政を担いながら、商業ギルドとの癒着で財を蓄えている強欲爺さん、と言うことだ。
「わしから、話すべき事は税率の引き上げだな」
他の重臣のうち若い者はうなずき、中年の男は険しい表情をする。
ちなみに、前王は座っているが話をしないよう、あらかじめ釘をさしている。
ジンクは重臣ではないので、部屋の入り口で待たせている。

「デキウスがいないから言うわけではないが」
前置きをしてガイウスが説明する。
「兵士があまりにも多すぎる。
兵を減らすか、給金を引き下げないと将来が問題だ」
若い重臣はうんうんとうなずき、中年は困ったような顔をする。
「他にもあるが、細かい話だ。今言うことはそれだけだ」
デキウスと異なり、ガイウスはそのまま話を聞くようだ。
普通はそうするものだが。

「さて、マニウス。君の話を聞こうではないか」
「そ、そうですな」
ガイウスから話を振られた中年の男は、しどろもどろに話し始める。
内務大臣マニウス。スコーピオ家の当主だ。
見るからに小心者で、実際小心者だった。

「わたしの方からは、特に・・・」
「それなら、わしのほうから話しをしよう」
ガイウスが突然話を引き継いだ。
「今、財政が厳しいのだが、徴税員が不足しているのも原因である」
「あ、あの・・・」
「マニウスは、優秀な官僚集団をかかえているのだが、何人かを回してほしいのだ」
「そ、それは・・・」
マニウスは額に汗を流し、しどろもどろに返答する。

「マニウスは、国家財政が厳しい折、手伝うのを拒むつもりか?」
「い、いえ。そんな・・・」
「おまちください」
俺が口を出す。
「今、決めるという話ではありません」
「では、いつ決めるのだ。国が傾いてからでは遅いのだ」
「一月や、二月で傾くほど、徴税員が不足しているとは思えませんが。違いますか?」
「・・・」
ガイウスは沈黙する。

「マニウスよ」
「は、はい、アーベル王さま」
「特になければ、話を進めてもかまわないかな」
「はい」

俺は、若い重臣に視線を移す。
彼の名はレグルス。外務大臣を務めるカプリコーン家の当主だ。
レグルスは挑発的な目を向ける。
若いと言っても、20代後半だ俺よりも10歳は年上なのだ。(見た目の年齢が)
「今後の交渉は、全て私にまかせて欲しいものですな」
レグルスは不満そうに口を開く。

レグルスの不満はもっともだ。
3カ国交渉の担当は外務大臣である自分のはずだった。
ところが、ジンクという元遊び人が担当になり、手柄をあげたのだ。

ジンク自身は、誉められただけで終わったが、俺が王になってしまった。
自分が交渉役をしていれば、今頃自分が王になっていたと思うのも根拠のない話ではない。
まあ、前の王がそれを行うはずはないのだが。

「当面、外務大臣が必要な状況ではありませんが」
俺はレグルスに軽く会釈する。
「お任せします」
「わかった」
レグルスは一瞬意外な表情を見せたが、憮然とした表情に戻って頷く。

「では、今日のところはこのへんで」
俺は四大貴族を下がらせた。


「さて、話があるのだが」
俺はジンクを席に座らせると話を切り出す。
「もう一度確認したい、この国をどうしたいのかを」
 
 

 
後書き
四大貴族を始め、12大貴族については独自の設定を考えております。

家名の付け方については、気付いた方もいるかもしれません。
私が忘れっぽい性格なので、覚えやすくしました。 
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