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髑髏天使

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第五十七話 挨拶その一


                      髑髏天使
                   第五十七話  挨拶
 まずはだ。博士のところでだった。
 博士と妖怪達にだ。話すのだった。
「そうか、行って来るのじゃな」
「今からな」
 こうだ。いつもの姿勢でまずは博士に述べた。
「それでだが」
「そうじゃな。帰って来た時にじゃな」
「何か美味い菓子はないか」
「ケーキはどうじゃ?」
 博士はその牧村にこれはどうかというのだった。
「とびきりのじゃ。デコレーションケーキじゃ」
「デコレーションか」
「うむ、山月堂のな」
 博士のお気に入りの店だ。その店のものだというのだ。
「そこのじゃが」
「そうか。山月堂か」
「君も好きじゃろ」
 牧村もその店の菓子は好きだと知っていてだ。そのうえでの言葉だった。
「だからじゃ。どうじゃ」
「そうだな。それではな」
「うむ、では飛び切りのデレコーションを用意しておこう」
 博士は楽しげに笑って述べた。
「今日これから注文しておく」
「済まないな」
「いいのじゃよ。君の最後の戦いじゃ」
 博士は白い髭の中に白い歯を見せてだ。そうして話すのだった。
「それが終わった祝いにじゃ。最高のケーキを一緒に食べよう」
「そうさせてもらうか」
「ではな。待っておるぞ」
「僕達もだよ」
「ケーキ一緒に食べようね」
 妖怪達もだ。牧村達に対して話すのだった。
「僕達もケーキ大好きだし」
「だからね」
「そのケーキ一緒に食べようね」
「そうだな。ケーキも皆で食べる方がいい」
 牧村は微笑んで述べた。
「だからだな。戻って来ればだな」
「御茶も凄いの用意しておきますから」
 ろく子の首が伸びてきた。そのうえで牧村に告げる。首が彼のすぐ傍まで来てだ。そうして彼に対して笑顔で声をかけるのだった。
「イギリス王室が飲むものです」
「イギリス王室か」
「それを用意しておきますので」
「緑茶も用意しておくか」
 博士は笑いながらまた話してきた。
「こちらは宮内庁ご用達じゃ」
「どうして調べたの?そんなの」
「宮内庁って」
「うむ、電話で聞いた」
 博士は妖怪達に笑顔で話した。
「宮内庁に直接じゃ」
「それでわかるんだ」
「それだけなんだ」
「そうじゃ。宮内庁に聞けば教えてくれるのじゃ」
 実際にそうだと話す博士だった。
「そうしたことは教えてくれるぞ」
「教えてくれないこともあるんだ」
「そうしたことっていうと」
「他にも」
「まあ知れば尋常なことでは済まん話もある」
 この辺りはまさに謎である。皇室の謎というもの程底の深いものではない。それを知ることは博士でも容易なことではないのだ。
「わしも知ったが」
「言えないね、多分」
「他言無用って言われたんだね」
「だからトップシークレットじゃ」
 言っているのと同じだがやはり知らないというのである。 
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