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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその四十

「彼等は多くの資源とだ」
「移住先もですね」
「見付ける、そこにはどうも他の知的生命体はいないらしい」
 彼等はというのだ。
「だからだ」
「自由に進出出来ますね」
「やはり他の知的生命体がいるとな」
 八条は曇った顔で話した。
「衝突が有り得る」
「そして、ですね」
「惨劇も起こる」
 その場合もあるというのだ。
「どうしてもな」
「人類の歴史でもありましたね」
「他ならぬ彼等の歴史だ」
 エウロパのというのだ。
「彼等は大航海時代で中南米やアフリカに進出したが」
「そうした場所においてでしたね」
「そこにいた人たちを虐殺してだ」
 そうしてというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、でしたね」
「文明も文化もだ」
「全て破壊しました」
「アステカもインカも滅ぼした」
「あの忌まわしいことがですね」
「起こるかも知れない、しかしだ」
 八条は表情を変えた、今度の表情は。
 強いものだった、その強い顔で言った。
「そうした生命体がいないのなら」
「それならですね」
「自由にだ」
「進出出来て」
「彼等の色でだ」
 エウロパのそれでというのだ。
「暮らせる」
「それも平和に」
「私はエウロパの愚行を憂いはしないが」
「惨劇はお嫌ですね」
「それが他の知的生命体でもな」 
 自分達と違う存在でもというのだ。
「多くの命が失われることはだ」
「避けるべきですね」
「そう考えている、人はものを食べる」
 言いつつ無花果を噛んだ、その甘さと香りが口の中を支配する。
「それは命を奪うことでもある」
「それは果物も同じですね」
「果物も生きているからな」
「そうなりますね」
「菜食主義は命を奪わないと言われていたが」
 その実はというのだ。
「作物つまり植物も生きているからな」
「やはり命を奪うことですね」
「人は。生きているものは生きている限り命を奪う」
 それが宿命だというのだ。
「どうしてもな、しかしな」
「出来る限りですね」
「無駄に命を奪わない」
「それが大事ですね」
「エウロパ人は無駄にドードー鳥を狩った」
 地球ではモーリシャス諸島に棲息していた、飛ぶことは出来ず丸々と太って歩くのも遅い鳥である。
「そしてだ」
「ドードー鳥は地球からいなくなりました」
「オオウミガラスもそうした」
 北極圏にいた飛ばない鳥である。
「そうしたことはだ」
「あってはならないですね」
「生きている限り命は奪うが」
 このことは事実であるがだ。
「しかしだ」
「それは無駄にはですね」
「すべきでない」
 決して、というのだ。 
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