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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその四十一

「だからな」
「惨劇は、ですね」
「起こらないのならな」
「最善ですね」
「だから暗黒宙域の先に他の知的生命体が存在しないなら」
 それならというのだ。
「エウロパの発展は好ましくないが」
「衝突の心配はないので」
「それはいいことだ」
 こう言うのだった。
「実にな」
「左様ですか」
「そしてだ」
「それにですか」
「エウロパ本土と新天地までは遠い」 
 今度はこのことを指摘した。
「何十万年光年とな」
「かなりの距離ですね」
「これだけの距離があり」
 そしてというのだ。
「エウロパは中央集権国家だ」
「そのこともありますか」
「本土から離れ過ぎた領地は独立しやすい」
「かつての欧州諸国の植民地の様に」
「幾ら圧政を敷いてもだ」 
 それで力で抑えていてもというのだ。
「それでもだ」
「やがてはですね」
「叛乱を起こし」
「独立しますね」
「そうなる、だからな」
「そのことについてですか」
「あのギルフォード総統が考えない筈がない」
 八条は言い切った。
「おそらく暗黒宙域の中心にだ」
「そこにですか」
「新しい首都を設け」 
 そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「本土も新天地もですか」
「治める筈だ」
「そうしますか」
「さもないとな」
「新天地が独立しますか」
「暫くはいいが」
 それでもというのだ。
「今言った通りだ」
「本土から離れた領土は独立する」
「そうなるからな」
 人類の歴史にある通りにというのだ。
「そうなるからな」
「それで、ですか」
「将来のエウロパはだ」
 まさにというのだ。
「そうなるだろう」
「オリンポスから首都を移転させますか」
「やがてはな」
「それも人工の星等にですか」
「人工惑星なりコロニーなりでだ」
 そういったものを造ってというのだ。
「首都にする筈だ」
「星系が首都ではない」
 由良はこのことにどうかという顔で話した。
「それはまた」
「それこそがだ」
 八条はその由良に話した、甘い紅茶を飲みながら。
「コロンブスの卵だ」
「人工の星でも首都でいい」
「星系でなければならないと誰が決めたか」
 そもそもというのだ。 
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