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先輩の為にやっていく

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第三章

「あんたもね」
「サンドイッチは」
「いいものになると思うわ」
「そうなのね」
「頑張りなさいよ」
 母の言葉は強いものだった。
「それでね」
「先輩になのね」
「美味しいサンドイッチを作ってね」
「食べてもらうのね」
「そうしなさい、それはきっとあんたにいい思い出になって」
 そしてとだ、母は娘にさらに話した。
「財産になるわよ」
「財産になの」
「そう、なるわよ」
 こう話した。
「だからね」
「それでなのね」
「一生懸命作って」
 そのサンドイッチと林檎ジュースをというのだ。
「食べてもらいなさい、いいわね」
「それじゃあね」
「誰かの為に何かを必死にして」
 そしてというのだ。
「それで笑顔になってもらったらね」
「いい思い出になって」
「そして人生の財産になるのよ」
「財産ってそうした意味なの」
「そうよ」
 笑顔での返事だった。
「だからね」
「今は一生懸命作るのね」
「そうしなさい」
 こう娘に言って自分は寝た、だが部屋を出る時に娘の背中をそっと見て微笑んだ、心の中でエールも送った。
 翌日ひかるは自分が作ったサンドイッチと林檎ジュースを持って海斗とのデートに向かった、そして待ち合わせ場所に行くと。
 もうそこに海斗がいた、それでひかるは彼に問うた。
「待ちました」
「いや、十分前だよ」
 待ち合わせのとだ、海斗はひかるに笑って返した。
「だからね」
「それでなの」
「待ったというか僕も今来たばかりだよ」
「そうですか」
「早く来過ぎたなってね」
 その様にというのだ。
「思ってたところだったんだ」
「そこに私が来たんですね」
「そうだよ」
 その通りだと答えた。
「本当にね」
「そうでしたか」
「うん、けれど」
「はい、一緒になりましたから」
「それじゃあね」
 それならとだ、海斗は自分から言った。
「これからね」
「遊園地にですね」
「行こうね」 
 こう話してだった。
 二人は一緒にだった、電車に乗ってそれから遊園地に行った。そして遊園地で遊んでだった。昼に。 
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