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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜

作者:波羅月
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第109話『隠された力』

 
時は遡り、本戦1日目の午後。晴登と風香が特訓していた時のこと。晴登の風の使い方を見て、風香が質問したのがきっかけだった。


「三浦君さ、手先や足先で風を操ることはできるみたいだけど、腕や脚でそれはできる?」

「それは……言われてみると、試したことがないです」


晴登はこれまで、風を拳に纏わせたり足に纏わせたりと、四肢の先端でしか魔術を扱ってこなかった。それは単純に扱いやすかったのもあるが、そもそも腕や脚から使うという発想がなかったからだ。
晴登の反応を見て、風香は言葉を続ける。


「だったら、それを試してみない? その方が魔力を込めやすくなるし、力を引き出しやすくもなる」

「そうなんですか?」

「手首だけでボールを投げるのと、腕を振ってボールを投げるのじゃ、後者の方がしっかりとした球を投げるよね。イメージはそんな感じかな」

「なるほど……」


例えを聞いて、ぼんやりとだが理解できた。
確かに手先だけよりかは、腕や肩からの方が力は込めやすそうである。要は、身体を大きく使おうということだろう。


「私も初めは足先だけだったんだけど、脚から使えるようになったら出力がとても上がったの。だから君の場合は腕でも同じことが言えるんじゃないかな」


実際に彼女が経験したのであれば説得力はある。手も足も使う晴登にとっては、より一層のパワーアップが望めそうだ。


「それで、具体的にどうすればいいんですか?」

「そうね……1度コツを掴みさえすれば簡単にできるようになると思う。そのためにまずは、私が教えやすい脚の方から──」






時は戻って2回戦第2試合、【日城中魔術部】対【タイタン】の試合。見事に合体魔術を防がれてしまったので、結月が切り札である"鬼化"を使ったところだ。また、晴登も特訓で身につけた"疾風の加護"によって、彼女に追随できるスピードを手に入れている。

先程は遠距離で戦うと言ったが、この状態であれば速さで相手を翻弄しながら近距離戦を行なえる。よって、2人は地面を大きく踏み込み、飛び出した。


「行くよッ!」

「オッケー!」


「「速いっ!?」」


そんな2人に追いつける魔術師はそうそういないだろう。現に、【タイタン】の2人も彼らの動きを目で追うことすらできなかった。
付け加えると、1人ならまだしも、手錠を付けた2人でこの速さなのだから、コンビネーションが抜群に良いと言える。


「右にいるぞ!」

「いや左にいる!」

「クソっ、動きが全く読めねぇ!」


フィールド上を縦横無尽に駆け抜ける晴登たち。地面を踏み込むためにスピードを緩めている時があるのだが、相手からはその瞬間しか視認されていないため、余計に翻弄されてしまうのだ。
動いてる側としては、まるで忍者になったかのような気分で気持ちがいい。


「"氷槍一閃"ッ!」
「"鎌鼬"!」

「……っ! ふっ!」


そして時折攻撃を挟み、動きを読まれないように集中を乱す。さすがに相手も手練とあって簡単には攻撃は通らないが、不意に飛んでくる攻撃を防いでいる内に疲れてくるに違いない。そこが狙い目だ。


「「そらぁっ!!」」

「「っ!!」」


ここで一度背後に回り込み、それで彼らの注意が後ろに向いた瞬間、正面から瞬時に接近して一撃をかました。
晴登の"烈風拳"と鬼化結月の拳だ。簡単には受け切れず、【タイタン】の2人は後ろへと大きく吹き飛ばされる。
そのままダウンしてくれれば御の字だが、本当の目的は──


「さ、せ、る、かぁぁぁ!!!」


『おぉっと! 恐らく、不意打ちによるリングアウト目当ての攻撃でしょうか! しかし轟選手は斧をフィールドに突き立て、ブレーキをかけることでギリギリ阻止しました! なんという判断力!』


そう、晴登たちの狙いは最初から"リングアウト"だった。というのも、轟のガードと建宮の爆風の壁は易々と突破できそうにない。大技も防がれたし、結果ダウンを狙うのは現実的ではなかった。
そうなると、残される勝ち筋は"押し出し"。素早い動きで翻弄しながら、徐々にフィールドの端へと追い詰める。惜しくもリングアウトにはならなかったが、彼らはフィールドの端まで後退していた。


──ここで仕留める。


「結月、地面を凍らせろ!」

「わかった!」


「……やられた!」

「クソっ、斧まで凍りやがった!」


建宮と轟が避けるよりも早く、結月の氷結が彼らの足元を捕らえる。ついでに地面に突き刺さった斧も、凍らせて地面と一体化させた。これでもう逃げ場はないし、防御手段も一つ減っている。


「決めるぞ! "鎌鼬"!!」

「うん! "激浪霜"ッ!!」


何らかの仕掛けがあると見られる斧を封印した以上、残った爆風のみではこの大技を防げないだろう。耐えようとしても、踏ん張るスペースも残されちゃいない。これで詰みだ。


『激しい攻撃が【タイタン】を襲う!! これは決着がついたか?!』


そういうのはフラグになるからやめて欲しいのだが、正直晴登自身も勝利を確信していた。

おびただしい量の氷槍をぶち込む結月の必殺技には驚かされたが、まともにこれを喰らって平気なはずがない。
衝撃波で煙が巻き起こって視界は悪いが、この煙が晴れれば結果は自ずと──





「は、嘘だろ……?」



立っていた。【タイタン】の2人は、ダウンすることもリングアウトすることもなく、五体満足で立っていたのだ。
これにはさすがに驚きを隠し切れない。


「あ、あれを凌いだのか!?」

「そんな!」


「……ふ〜危ねぇ危ねぇ。助かったぜ、建宮」

「全く、ヒヤヒヤしましたよ。どうやら隠し通すのはこれが限界のようですね。とはいえ、相手は切り札を切りました。今度はこちらの番ですよ、轟」

「うっし、やっと気兼ねなく振り回せるんだな!」


いつの間にか氷を砕かれ、再び斧を担ぐ轟。一方メガネをクイッと上げ、少し残念そうにしている建宮。2人とも余裕の態度である。


一体、何がどうなっているのか……。







「部長、今のって……!」

「お前にも見えたか、暁。あいつらの技が当たる寸前、あのメガネ男が"バリアを張った"」

「まさか、まだ手を隠してたなんて……」


フィールド脇、選手以外のチームメンバーが待機する場所で、そんなやり取りをする。
つまるところ、晴登たちの必殺技は未知の魔術によって防がれていたのだ。


「あれって建宮って人の能力(アビリティ)っすかね? でも"爆破"と"バリア"じゃ系統が全然違うような……」

「思い返せば簡単な話だ。爆発は必ず斧の一撃に伴って起こっていた。つまり、"爆破"はデカい男の方の能力(アビリティ)なんだよ。メガネ男はタイミング良く指を鳴らしてただけだ」

「じゃあ、あの人はずっと魔術を使ってなかったってこと?! 全然気づかなかったわ……」


伸太郎の疑問に、終夜はすぐさま答えを出す。さすがの観察眼と言うべきか、確かに建宮の指鳴らしは不自然だった。しかし、ただのカッコつけと解釈できないこともない。それこそが彼らの作戦だったのだ。
緋翼の言う通り、建宮は自分の魔術を一度たりとも発動させていない。"バリア"を最高のタイミングで、確実に成功させるために。


「問題はそれだけじゃないぞ。あのバリアは結月の必殺技を防いだんだ。相当レベルが高いに違いない」

「きっと私たちじゃ手も足も出ないでしょうね……」


レベル5の魔術師である結月の必殺技を防いだ。その功績だけで、あのバリアの優秀性は評価できる。少なくとも、レベル4は下らないはずだ。


「そしてこれが最もヤバい問題なんだが、俺たちはあいつらの背後にいたからバリアを目視できた。けど、対峙している三浦たちにとっては──」

「技で相手が隠れて見え、加えてあの煙……"バリアが見えてなかった"ってことすか」

「それって、損しかないじゃないの!」


終夜の考える最大の問題。それは、恐らく晴登たちが"バリア"を認識していないということだ。
【タイタン】は"バリア"の魔術を秘匿する戦法をとっていた。そして、満を持して発動したそれによって、必殺技を受けることに成功している。
これだけでも十分問題ではあるが、この"バリア"を知覚できなかった場合、彼らの奥の手は曝されていないことになり、切り札まで使った晴登たちが圧倒的不利に陥ってしまうのだ。


「大体、魔術師の戦闘(バトル)において、最初にやるのは相手の能力(アビリティ)を正しく知ることだ。それなのに、相手の能力(アビリティ)を誤認して必殺技を撃って、そして防がれちまうなんて悪手も悪手、大悪手だ」

「相手の能力(アビリティ)を正しく知ること……」

「要は情報戦みたいなもんだ。それがわかっているからこそ、実況も下手に選手の能力(アビリティ)をバラすような真似はしてないだろ?」

「確かに……!」


終夜が言うことは全くその通りであると、伸太郎は納得する。言われてみれば、ジョーカーはどの試合においても、選手の紹介で能力(アビリティ)に関することを言っていない。運営側である彼が、事前に選手の能力(アビリティ)を知っていてもおかしくないのに。
つまりこの本戦では、ただ戦闘能力を競うのではなく、相手の能力(アビリティ)を探る情報戦も兼ねているという訳だ。思ったより奥が深い……!


「これは対魔術師について教えてなかった俺の落ち度だ。もっとも、今回はそもそも相手が1枚上手だったが。──この試合、厳しいぞ」







「く、ぅ……」

「結月! 大丈夫?!」

「うん、何とか……。念のため、魔力を残して正解だったよ……」


膝をつきそうになる結月を支えながら、晴登は声をかける。彼女の表情は重苦しく、息遣いも荒い。明らかに大丈夫ではなかった。
魔力を残しているとは言ったが、ほとんど使い切ったのではなかろうか。それでも辛うじて倒れていないのは、"鬼化"の恩恵なのかもしれない。


「結局、なぜ防がれたのかはわからない。でも、最悪の状況になったってことだけはわかる」


【タイタン】の2人は怪我ひとつなく、逆にこちらは結月が限界に近い。トドメだと思って、晴登もかなり魔力を消費してしまっている。もう"疾風の加護"もここまでだ。
こんなことになるとわかっていれば、もっと抑えたのに……。


「……いや、過去をくよくよしても仕方ない。大事なのはここからだ」


自分にそう言い聞かせ、何とか前を向こうとする。しかし、手錠越しに結月の苦しさが伝わり、嫌な汗が頬を伝った。

どんな手段かはわからないが、少なくとも相手は結月の必殺技すら防御することができる能力(アビリティ)を有している。そしてそれは"斧"でも"爆破"でもない、3つ目の魔術だろう。なぜならあの時、"斧"は封じていたし、"爆破"はそもそもされなかったのだから。

そうなると考えられるのは、伸太郎と同じで複数の属性を含む能力(アビリティ)の可能性。例えば、"斧"と"爆破"が同じ人物の能力(アビリティ)で、防御手段がもう一人の能力(アビリティ)とか。


「そんなにふらふらしてて大丈夫かぁ? オラ、歯ぁ食いしばって受けてみろやぁ!!」

「来る……!」


轟が叫びながらその場で斧を地面に振り下ろすと、そこから火柱のような爆発が立て続けに起こり、晴登たちを襲った。
……なるほど、どうやら仮説は正しかったらしい。


「結月、避け──」


先程のように、まるで以心伝心の息の合った動きをしようとしたところで、結月の反応が鈍いことに気づく。やはり、彼女は相当疲れているようだ。
このままでは避け切れないと察し、晴登は無理やり結月の手を引き、転がるように回避した。


「ご、ごめんハルト……」

「気にしないで」


謝る結月に、彼女の身体を支えながら晴登は優しく答える。けれど、休んで欲しいとは言い切れない。もし彼女がここで"鬼化"を解いてしまうと、その瞬間に崩れ落ちてしまいそうだから。もう少し、もう少しだけ頑張って貰わないと──







「この勝負、どう見る影丸?」

「どうもこうもあるかよ。あのガキども、途中までは動きは良かったが爪が甘ぇよ」

「そうだね。切り札を切るまでが早かった。もう少し手札を増やすべきだろう」


観戦席で、アーサーと影丸が戦況について会話する。どちらも【日城中魔術部】が不利だという意見だ。

先程の晴登と結月のコンビネーションの良さとそれによる猛攻には目を見張るものがあったが、それ以外に関してはズブの素人。困ったらゴリ押しだなんて、相手との実力差が離れていないとそうそう通用するものではない。


「それにしても、"鬼"になる魔術か……」

「君の"龍"と近しいものを感じるね」

「あぁ。けど、その割にはまだまだ使いこなせてなさそうだ」


一方で、影丸は結月の"鬼化"に強い興味を示していた。レベル5の能力(アビリティ)だからというのもあるが、彼自身の能力(アビリティ)が"黒龍"ということで、伝説上の生き物繋がりで親近感を覚えたからだ。
ただ、そんな自分と比べると、彼女の能力(アビリティ)の規模はまだまだ小さいと言える。そのことを口にすると、アーサーが苦笑した。


「彼女はまだ子供だよ? 君とは経験値が違うじゃないか」

「わかってるよ。ま、伸びしろはあるってこった」


自分と彼女では、積み上げてきたものが違う。だからこそ、こうして上から物を言えるのだ。数少ないレベル5の魔術師。その成長には期待が持てる。


「ふぁぁぁ。さて、と……」

「おや、帰るのかい?」

「見たいもんは見れたしな。それに結果も見えてる。これ以上は時間の無駄だ」

「せっかく来たんだから、最後まで観ていけばいいのに」


大きな欠伸を一つしてから、影丸は再び龍翼を広げた。ここに来た目的は達成したのだから、居残る理由はない。
その奔放な態度にアーサーはやれやれと首を振りつつ、最後に質問を送る。


「……ちなみに、少女のペアの少年には何か?」

「女と相性は良いみたいだが、それだけだ。あいつ自身の実力は大したことない。……とんだ見込み違いだったな」

「ふぅん」


そう言い残すと、影丸は空へと羽ばたいていってしまった。
彼は少年の方にも目を付けていたはずだが、どうやらもう見る気は失ったらしい。確かに、アーサーが見てもこれといって目立った特徴はなかった。しかし、


「結果は見えてる、ね。──でも、君はまだ諦めてないんだろ? だったらその健闘、ここで見守るとしよう」


少年の目にはまだ光があった。勝負を諦めず、勝ち筋を必死に探している目だ。
であれば、この試合の行方はまだわからない。勝負とは、先に折れた方が負けなのだから。

アーサーは一人微笑み、試合の様子を傍観するのだった。







『なんということでしょう! 先程までと一転、形勢が逆転してしまっています! 現在は轟選手が巻き起こす火柱の猛攻を、【日城中魔術部】チームは何とかかわしている状況です!』


ジョーカーの言う通り、晴登たちの戦況は芳しくない。ようやく結月のペースに合わせられるようになったところだが、相手が攻撃の手を緩める訳もなく、苦しい逃走劇が続いている。


「オラオラ、逃げてばっかか?!」

「こ、の……!」


轟の挑発に乗り、"鎌鼬"を放とうとして──止める。どうせ防がれるし、これ以上魔力を浪費したくないからだ。
けど、このまま逃げ続けても勝ち目はない。相手の体力も魔力もまだまだ尽きそうにないし、時間をかけるだけ無駄だ。

何か、良い手は──


「さて、これで終いだ!!」

「え……あ! しまった、囲まれた!?」


決め手となる一手を考えていたせいで、辺りが完全に見えてなかった。いつの間にか両脇が爆破による残り火で囲まれており、逃げ場を失ってしまったのだ。

真正面では、大きく斧を振り上げる轟。どうやらここで勝負を決めに来るらしい。きっとド派手な爆発が起こることだろう。


「ここまでか……!」


轟の斧はもう振り下ろさんとしていた。
疲弊して魔力の少ない結月では、その後に起こる爆発は防げまい。当然、晴登だって不可能だ。かといって左右を阻む炎の壁を突破するには、これまた結月の力が必要であり、そこで魔力を消費すれば展開は悪くなる一方である。


「……っ」


情けない。これでは結局、結月の力に頼り切りではないか。こんなに疲れ切っているのに、まだ無茶をさせるというのか。それでも彼氏か。それでも男か。
たまには自分の力でこの状況を打破してみろよ。何のためにここに立ってるんだ。


──勝つためだろ。



その瞬間、一筋の風が晴登の頬を撫でる。



「……これだ」


ようやく閃いた。魔力の少ない中、この火事場を切り抜ける手段を。この戦闘(バトル)に勝つための方法を。


「ごめん結月、頼みたいことがある」

「何でも言って、ハルト」

「──」


結局、自分だけの力では足りなかった。だから彼女の力を借りることにする。
時間にして1秒、たったの一言、結月に作戦を告げた。それを聞いて、彼女はくすりと笑う。


「わかった」


何一つ、疑いを見せなかった。躊躇いもしなかった。考えもしなかった。魔力がほとんど残っておらず、疲れて苦しいはずなのに、ただ晴登の言葉を信じて、最速でそれを遂行する。


「そらよ──おぉぉ!?」

「地面が?!」


斧が地面に触れる寸前、結月が生み出した氷柱によって【タイタン】の2人は空へと投げ出された。

──爆発を防げないのであれば、最初から使わせなければ良い。


「行くよ!」

「うん!」


窮地を脱した晴登と結月は、間髪入れずに追撃に入る。この機を逃せばもう勝利はありえない。身体中の力を振り絞れ!


「攻撃がバリアで防がれるなら、もっと近づけばいい。ゼロ距離で喰らわせる!」


晴登は"疾風の加護"を再発動。結月と共に、目に見えない速度で距離を詰める。


「こ、この……!」


轟は完全に体勢を崩していたが、建宮は何とかバリアの生成を間に合わせる。だが、関係ない。
残された全ての魔力を腕に込める。もう後先は考えない。着地なんて知るか。この一撃に賭ける。

この時にはもう、結月の"鬼化"は解けていた。最後の力で、晴登をここまで導いてくれたのだ。なんと健気なことか。彼女は自分の信じる恋人に全てを託したのだ。であれば、それに応えなければ男が廃るというもの。

バリアが何だ。この想いの力は誰にも止めさせない──!


「ぶっ飛べ!! "天翔波(てんしょうは)"!!」


「「ぐわぁぁぁっ!!!」」


思い切り振りかぶられた晴登の手がバリアに触れる。その瞬間、巻き起こった暴風によって、【タイタン】の2人は弾かれたように地面へと吹き飛ばされ、墜落した。


──フィールド外の地面へと。



『【タイタン】、両者ともリングアウト!! よって勝者、【日城中魔術部】!!』



ジョーカーの叫ぶような勝利宣言が、会場中にこだました。
 
 

 
後書き
お、少し更新が早いのでは? いえいえ、実は前回に収まらなかった部分がほとんどなので、そこまで執筆速度に変わりはありません。なんてこったい。どうも波羅月です。

いやちょっと待てよと。だったらどうしてこんなに話が長いんだと。何なら前回より長いじゃないかと。すいません、言い訳をさせて下さい。すぅ……外野の掛け合いが! 想像以上に間延びしてしまった! からです!

……はい。つまるところ、会話させたいことを詰め込んだら、めちゃくちゃ長くなってしまったという訳です。だってこういうシーンってよくあるじゃないですか。だからつい書き起こしたくなってしまって……。
おかげで文量がぶわっと増えてしまい、今に至ります。元々1話で終わらせるはずだったのが、まさか2話丸々使ってしまうなんて……。うむ、完全に作者に贔屓されてますね、これは。許せませんよ、はい(よそ見)

まぁ何にせよ、晴登たち【日城中魔術部】はめでたく3回戦、すなわち準決勝に進出でございます。良かった! まだ続きが書ける! とてもワクワクしております。

ということで、今回も読んで頂き、ありがとうございました! 次回もお楽しみに! では!



P.S. 一応付け加えておきますが、途中で違和感を感じた人は正常です。何がとは言いませんが。 
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