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儚き想い、されど永遠の想い

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6部分:第一話 舞踏会にてその三


第一話 舞踏会にてその三

「それとも。世間知らずかな」
「ううん、どうかな」
「誰でも恋愛には憧れがあるしね」
「それを考えたらね」
「別にいいんじゃないかい?」
 友人達はだ。彼のその言葉を受け入れてだ。よしとして話すのだった。
「ここで階級だの庶民の生活だのという人間が最近いるけれどね」
「共産主義だったか?」
「そうそう、プロレタリアがどうとかね」
「そういう人間が最近増えているね」
 周囲のロシア革命への話がだ。ここでも出た。
 現に日本でもだ。その共産主義について話されだしていた。それは徐々にであるが不穏な空気をだ。日本に形作っていたのである。
 彼等はそれを冗談めかして話す。そうしてだった。
「どうもそれを福音みたいに言う人間がいるけれど」
「けれど恋愛もいいじゃないか」
「そうだよ。誰かを愛するというのはね」
「いいことだよ」
 こう言って彼の考えを認め受け入れた。そしてだ。
 そのうえでだ。義正を見てだった。また話した。
「ただ君はこれまではどうだったんだい?」
「恋愛をしたことはあるかい?」
「それはあるかい?」
「どうなんだい?」
「それがないんだよ」
 ここではだった。義正は苦笑いになってだ。こう友人達に話した。
「そういうのはね」
「ないのかい」
「そういうことはないのかい」
「恋愛の経験はまだだったんだね」
「じゃあ初恋も」
「勿論ないよ」
 また苦笑いで述べた彼だった。
「恋とはどんなものなのか」
「どうかこの僕に教えて欲しい」
 また別の友人がだ。こんなことを言った。
「それだね」
「ああ、モーツァルトか」
「あの音楽家の歌だね」
「そうだね。モーツァルトだね」
 義正もくすりと笑ってだ。彼等のそのジョークに応えた。
「フィガロの結婚だったかな」
「確かそれだったね」
「あのオペラだったね」
「あの」
 こうだ。話していくのだった。
「いいオペラだってj評判だね」
「まだ聴いたことはないけれど」
「レコードであったと思うよ」
「けれど舞台はまだなんだな」
 オペラは舞台である。日本に入りはじめていた頃だ。だがその本場のオペラはだ。まだ殆どの者が観たことのない時代であった。
 それで今一つはっきりとしない話になっていた。だがその中でだ。
 義正はだ。またこう言うのであった。
「誰か。いい人がいれば」
「君はその恋に入られる」
「恋愛小説にあるような恋愛に」
「その君の夢に入られるんだね」
「そうだね。ただ僕は光源氏じゃないから」
 日本の古典である。あまりにも有名な。
「あんな風にはね」
「美女をとっかえひっかえはかい」
「それはないんだね」
「どうも。ああいうのはね」
 また苦笑いになってだ。光源氏について述べるのだった。
「なれそうもないね」
「まあお妾さんを大勢持っている人はいるけれどね」
「それも結構ね」
「あの伊藤公爵なんて」
 伊藤博文のことである。
 
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