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儚き想い、されど永遠の想い

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337部分:第二十六話 育っていくものその三


第二十六話 育っていくものその三

 この人物の名を出してだ。そのうえで言ったのである。
「女性運動家の」
「その方が言っておられますね」
「女性は太陽だったと」
「はい、ですから女性はです」
 真理はそこから言う。女性は太陽だという主張から。
「子供を産み育てられるのではないでしょうか」
「太陽だから」
「それでなのですか」
「そうではないでしょうか」
 真理は考える、それも海の様に深く考えていた。
 そしてだ。今度はこうも言ったのだ。
「国によっては女性は海ともされますね」
「ですね。我が国では山だとも言います」
「海であり山ですか」
「海も山も多くのものをその中に宿しています」
 その女性だという海や山が。そうだというのだ。
「それと同じで」
「女性は産むことができる」
「中にあるからこそ」
「そして太陽は」 
 また太陽の話に戻った。ここで。
「その光で命を育みますね」
「それも女性のもの」
「だからですか」
「ですから女性にはそれができるのではないでしょうか」
 子供を産む、それがだというのだ。
「ですから」
「その太陽が女性」
「海や山も」
「そうなるからこそですか」
「子供を産めるのですか」
「はい」
 真理は述べた。また。
「そう思えてきました」
「そうかも知れませんね」
 真理のそうした言葉に最初に頷いたのは喜久子だった。
 彼女も深く考えた顔になりだ。そして言うのだった。
「女性がそうした存在だからこそ」
「そういえばです」
 続いてだ。麻実子だった。
 彼女はだ。こう言ったのだった。
「全ては。女性からはじまるという話もありましたね」
「希臘の神話だったでしょうか」
「確か」
 新しく読んだ本から麻実子は話す。真理に応えながら。
「そうだったかと」
「あれは確か大地でしたね」
「大地もまた女性なのですね」
「そうなりますね。あの神話ですと」
「大地でもあるからですね」
 ここまで話してだ。そうしてだった。
 麻実子も頷くことが出来た。女性というものに対して。
「私達は。そうした存在だからこそですね」
「命を産めますね」
「そうなるのですね」
 今度は喜久子に話した麻実子だった。その話を横で聞いてだ。
 真理はだ。その二人に微笑みこう述べた。
「では私は太陽になって」
「そうしてですね」
「産まれますね」
「そうします」
 こう言ったのだった。にこやかに決意を固めて。
 その時は次第に近付いてきていた。しかし。
 進んでいたのはそれだけではなかった。今まただった。
 真理は咳込みそれを出してしまった。丁度そこには義正もいた。
 屋敷の緑の中でそれを出してしまい。真理は暗い顔になった。だがその彼女に。
 
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