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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  クイーン 現る


「なんだと?カードを盗られた?」

「何やってんだよ睦月!あれはアンデッドが封印されてるんだぞ!?」

「す、すみません・・・でも、俺もいつ取られたのか・・・・」


ある土曜日の昼下がり。
街中の喫茶店に呼び出された剣崎一真、相川始の二人は、上城睦月の言葉を聞いて驚いていた。


ラウズカードがどこかに行ってしまった。
というか、たぶん盗られた。


ラウズカードは剣崎達ブレイド系ライダーの力の源となるカードだ。
そしてそのカードには、アンデットと呼ばれるモンスターが封印されている。

そんな一歩間違えれば十中八九危険な代物を、仮面ライダーレンゲルに変身するこの少年は紛失してしまったというのだ。



「なんでそんなことに」

「いや、わかんないですよ。俺、バスケの試合中ちゃんとロッカーに鍵かけて入れてましたから」


上城睦月は、現在大学生としてキャンパスライフを満喫中だ。
仮面ライダーの変身者ということもあり、このまま卒業後は「EARTH」にお世話になる予定。

彼女との仲も悪くなく、そんな中での不幸だった。


彼の所属しているバスケサークルの試合。
その最中に、彼のロッカーのカギが開けられており、冷や汗の中確認するとカードが何枚かなくなっていた、という物だ。


「何をしているんだ・・・・」

「ですから!こうしてすぐに二人に連絡したんじゃないですか!!」

「落ち着けって睦月。ここで俺らが言い争いしてもしょうがないだろ」

「ああ。説教は橘からしてもらうとして、今はどうすべきかを少しでも考えよう」

「げ」


呆れてたような声を出す始と、これからどうすべきかを考える剣崎。
そして、顔をしかめる睦月。

橘――――仮面ライダーギャレン・橘朔也は彼がレンゲルとして戦いを始めたころからの師弟関係だ。
そんな彼から説教を喰らうのは堪えるし、そもそも

――――どうしてそうなったのか、悪かった点、そして改善点。言ってみろ


彼ならそう言うだろう。
淡々とした静かな声で、訥々と糾弾してくるのだ。

これがなかなか答える。
声のトーンも相まって、彼の説教は静かながらも結構な人におそれられるのだ。


その橘はというと、少し距離が離れていたらしく到着が遅れている。

『ああ、他にも話した合いことがある。一回集まろう』

とは彼の談。




「ていうか、やっぱりあれじゃないか?」

「む?」

「ほら、最近多いらしいじゃん。デミライダーとかいうらしいけど」

「あ」

無論、彼らとて仮面ライダー。
他のライダーたちの前に敵対ライダーが現れたとは知っている。


そこで睦月のカードが盗まれたのだ。
結びつけない方が無理という物だ。


「睦月。盗まれたカードは何だったんだ?」

「えっとですね・・・・」

トランプに酷似した、アンデットを封印したラウズカードはジョーカーを含め52枚。
その多種多様な効果、能力次第では非常に厄介なことになる。


睦月がメモを取出しリストアップしたカードの名前を言う。

そのカードはというと・・・

クラブの4・ラッシュライノセラス
クラブの10・リピートテイピア
クラブのQ・アブソーブタイガー

の三枚だ。


「4はまだいいが、10とQのカードか」

説明を入れると、ラッシュライノセラスは武器を構えての突進攻撃。

そして10のカード・リピートテイピアは、カードの封印されたほかのアンデッドを復活させ使役することが出来る。

更には上級カードのQ・アブソーブタイガー。
ブレイド系ライダーが強化形態へと変身するのに必要不可欠な、融合能力をもつアブソーブクイーンカードだ。


封印されているタイガーアンデッドは敵ながら義侠の人物であり、睦月にとっても思い入れのあるカードだ。
彼がすぐに二人に連絡を取ったのには、危機感以上にその気持ちもあるのだろう。



「とにかく、新たな敵ライダーが現れるならこちらも対策を立てなければな」

「お待たせしました。ご注文の品です」

「ああ、すまない」

「ごゆっくり」


頼んでいた飲み物が運ばれてきて、礼を言う始。

そうこうしていると、窓の外に見慣れた人物の影が見えた。

橘だ。
カランカランと扉を開けて店内に入り、三人のいる机にきて――――


バン!!

「大変だ!!俺のカードが盗まれた!!」

「「「あんたもかい!!」」」

なんというか、良くも悪くも橘らしい登場をしたのであった。



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「で、あんたのは?」

「ああ、俺が盗まれたのは7とQだ」

「ダイヤの7・・・ロックトータスか」

「しかもまたQのカードか・・・・」


四人のライダーの内、二人がすでに被害にあっている。
相手はどうやら油断できない相手らしい。


「二人とも、今でも当然」

「ああ、バックルとカードは持っている」

「大丈夫ですよ橘さん!俺はそう簡単に取られませんって!!」

「まったくだ。日頃から隙があるからそうしてカードがなくなるんだ」

「ロッカーに入れといて盗まれるなんて思いませんよ・・・・」

「ふ、みろ。俺はこうして自分のスートのカード13枚。ちゃんとそろっている」


バッと机の上に並べる始。

おぉ、と無駄に感心したような声を出す剣崎。

むぅ、と何も言い返せない橘。

あれ?と首を傾げて指を指して数える睦月。


「あの・・・・9枚しかないですよ」

「なにィ!?」

ガバッと枚数を見直す始。
確かに、目の前に並ぶカードは9枚。

抜けているのは

4・フロートドラゴンフライ
7・バイオプラント
8・リフレクトモス

そしてQ・アブソーブオーキッドだ。


「よ、4枚だと・・・いつの間に・・・・!!」

ポン、ポン

「ん?」

ワナワナと驚愕する始
その両肩に、橘と睦月が手を当てる。

こちらへようこそ。まるでそう言っているかのようだ。



「うるさいわ!!」

「おぉ、なかなか人間臭いツッコミするようになったな始」

「やかましい!!」

「だがこうなると、現在無事なのは剣崎。お前だけだ」

「お、俺か・・・」

からかわれたりしたものの、確かに状況はまずいだろう。

なんだかんだと言って、始の危機察知能力―――というより、研ぎ澄まされた野生の勘。
それを潜り抜けてカードを盗み出すなど、そう簡単にできることではない。


「敵は必ずQのカードを奪っている。おそらく、そこに敵の狙いがあるのだろう」

「Q・・・か。じゃあ今度現れるのは。仮面ライダー・・・クイーン?」

「まだそんな名前を付けたところでしょうがないだろう・・・」


敵の姿を憶測する四人。

だがその時、四人が座るテーブル席の、外に面した大きな窓ガラスが砕け散った。




ガラガラと崩れる壁。
弾けるように発せられる悲鳴。

そして、四人の男たちは一手速くその席から店内の奥の方に離脱していた。



「グッ!?なんだ!?」

「おい、見ろ!!」


橘が指を指す先。
さっきまで自分た阿智が座っていたテーブル席の場所に、サイの化物が唸り声を上げてそこにいた。


ライノセラスアンデッド。
睦月が盗られたカードに封印されていたアンデッドだ。

「ついに剣崎を狙ってきたか?」

「ですが・・・」

「ああ。カードを取り返すチャンスだ。睦月!!」

「はい!!」


「「変身!!」」

《turn up》《open up》


ライノセラスアンデッドに向かって、ギャレンとレンゲルに変身した二人が武器を構えて向かっていく。

ドゴン!!という音と共に、炎の弾丸によってアンデッドが店外に突き飛ばされ、さらにそこに突進してきたレンゲルが真正面からアンデッドとぶつかり合う。



店に空いた大きな穴から、店員や客を逃がす始と剣崎。

とそこに、逃げ出したばかりの数名をねらって植物のツタが襲い掛かった。


「いかん!!」

《change》

そのツタめがけて駆けだしながらカリスに変身する始。
カリスラウザーの刃でツタを切り裂き、ツタが来た方向を睨むカリス。


「キキキキキキ!!」

そこにいたのは、プラントアンデッド。
カリスを邪魔者と捉えたらしく、その四肢に向かって毒のツタを伸ばし、カリスがそれに応戦していく。


「くそ、何がどーなってんだ!!!」



何とか一般人を逃がす剣崎。
ブレイバックルにカードを装填し、腰に装着し、自らも変身し彼らに加勢するため腕を伸ばす。


だが、その騒動の中に人影を見た。

女だ。
黒髪、それもロング。

歳は剣崎より少し年下か。
だが漂わせている雰囲気で、どうしても少し年上の女性に見えてしまう感じの女だ。


その女性が、ピッと何かを振るった。
正確には、左手に持った何かに、右手に持った何かをスライドさせた。


「!!!!」

瞬間、女の前にカメの化物―――トータスアンデッドが出現し、剣崎に向かって突進してきた。


「変身!」

《turn up》

それに対し、変身時に出現するオリハルコンエレメントでその突進を防ぐ剣崎。
弾かれるトータスアンデッドだが、なおも闘志は失っていないらしく再び駆けだした。


剣崎は駆け出し、エレメントをくぐりブレイドへと変身。
ブレイラウザーを振り下ろしてトータスアンデッドとぶつかり合う。


ドゴォ!!という音と共に、凄まじい衝撃が周囲に広がる。
万が一に備えて「ボアタックル」のカードを発動させていたが、それでもこのアンデッドの重さ故なのか、ブレイドが弾き飛ばされビルの壁に叩き付けられてしまった。



「グッ!!」

「グガァァアアア!!!」

「ハァッ!!」

一瞬苦しむブレイドだが、サイド突っ込んできたトータスアンデッドを回避しその足を切り裂く。
第二撃を叩き込もうと剣を振るうが、背を向けたトータスアンデッドには甲羅がある。

火花を散らすのみでダメージがないのを見て、ブレイドは即座に下がった。

そこに振るわれるアンデッドの拳。


様々な戦いを経験して、ブレイドの動きも洗練されたものになっている。

たしかこのアンデッドは、自分とギャレンの二人がかりでも苦戦した相手だ。
だが、あることにより戦況は一変、ギャレンの猛攻の前にこいつは封印されたのだ。


それは

《Absorb Queen―――Fusion Jack》

「ハァッ!!」

ジャックフォームへの強化変身。
かつてトータスアンデッドも、ジャックフォームへと変身したギャレンに成す術もなく敗れている。



だが



「そこォッッ!!」

跳び上がるブレイド。
剣を構え、ライトニングスラッシュを発動させて突っ込んでいく。

だが、そこに向かって鞭が飛んだ。

バチィッッ!!とその先端が音速を超え、ブレイドの左手を弾き飛ばした。


「ガぁっ!?」

そして、バラバラとカードが落ちる。
JとQの二枚が宙を舞う。

ブレイドが通常フォームへと戻り大地に堕ちた目の前にJのカードが。


そして、Qのカードは鞭を手にした女の足元に。


「な・・・・・」

「待ってた。この瞬間を」

スッと足元のカードを拾い、ブレイドの元に集まるライダーたちを睨みつける女。




「これで、クイーンのカードが四枚揃った!!!」

今さっきブレイドから奪った一枚。
そして、事前に盗まれていた三枚。


計四枚のQのカードが、一か所に集まったのだ。
そして、女がバックルを手にする。

それは、レンゲルのバックルと酷似していた。
ただ、描かれた意匠が「Q」であることを除けば。


バックルにカードを近づける。
すると四枚のQが光り、一枚のカードへと融合してしまったではないか。


「な・・・」

「に・・・・?」



カシュッ!!バチッ!!

女がバックルにカードを挿入し、腰に装着する。
そして、親指でスライドさせて押し開け


「変身!」

《open up》

変身した。



「これで!!これでやっとあんたたちを倒せる!」



そいつは、先ほどの睦月の言葉を借りるのならば、仮面ライダークイーンであった。
マスクのモチーフが「Q」であり、四肢それぞれに「Q」のカードに封印されているアンデッドの意匠があった。

握る武器は鞭。
醒鞭ウィップラウザーだ。


戦わせていた三体のアンデッドを手元のカードに戻し、四人に対し、この女ライダーは宣戦布告をする。


「絶対に許さない。ブレイド、ギャレン、レンゲル、そしてカリス!!!」

「な、なんでだよ!?」

「というか君、それをどこで・・・」


「なんでだって?どこでですって!?そーんなこともわからないの?」

「・・・しってるか?」

「いや、知らない人だ」

「覚えにないな」

「うーん・・・・」



「ま、そうよね。そうだろうと思ったわ。だけど私は忘れない。私は仇をとる!!絶対に!!」



ビシッ!!と鞭を構え、ギチギチと握りながら、クイーンは四人を指してこう叫んだのだ。



「天王路のじいちゃんの仇!!絶対にとってやるからなぁ!!!」




to be continued
 
 

 
後書き

ブレイド編開始!!!

アリス
「裏ではディケイド編が始まっています時期だよ!!」

蒔風
「ディライドが助手として張り切ってるところか?」

ま、この日の午後に士たちはフロニャルドに行くんですがね。

アリス
「そのタイミングかー」


ちなみに天王路って誰かって?

アリス
「ウルトラセブン」

違わないけど違う。

蒔風
「ゼロの親父」

いやそれ同じ。


わからない人はブレイドのウィキペディアで検索検索ぅ!
まあ次回でも説明はしますが。



蒔風
「次回。復讐の理由」


ではまた次回 
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