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儚き想い、されど永遠の想い

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128部分:第十一話 断ち切る剣その二


第十一話 断ち切る剣その二

「恋愛に関しては。特にこの場合は」
「全て話すべきだね」
「隠さずにです」
 是非だ。そうするべきだというのだ。
「その様に」
「そうだね。真実は何よりも強いね」
「はい、最も強いものです」
 誠実な佐藤らしい言葉だった。
「何よりもです」
「わかった。じゃあ」
「はい、そうされるべきです」
「誠実は力だね」
「誠、何よりも奇麗な言葉です」
 佐藤は話してくる。
「そして強い言葉です」
「言が成る」
 そうした言葉だというのだ。確かにその二つが重なってだ。
 誠という言葉になる。それでだというのだ。
「それが最も強いか」
「その通りです。では」
「では?」
「決められたお祝いにです」
 笑顔での言葉だった。
「どうされますか」
「どうするか?」
「はい、ワインはどうでしょうか」
 それをだ。勧めてきたのである。
「ワインをです。飲まれますか」
「ワインをかい」
「若しくは他のお酒は」
「ブランデーがいいかな」
 義正は少し考える顔になってからだった。
 そのうえでだ。こう佐藤に答えたのだ。
「その方がいいかな」
「ブランデーですか」
「今日はじっくりと飲みたいね」
 答えながらだ。微笑むのだった。
「だからそれをね」
「ブランデーをじっくりとですか」
「うん。それでいいかな」
「はい」
 佐藤も明るい笑顔で義正に応える。
「では早速それを」
「いい酒だね、ブランデーは」
 義正は穏やかな笑みになってまた佐藤に話した。
「何か。飲んでいるとね」
「落ち着かれますね」
「落ち着くね」
 実際にそうだというのだ。
「とてもね」
「そうですね。ブランデーは何処か大人の香りがします」
「大人の味というか」
「独特の雰囲気が、ワインとはまた違ったものが」
「あるね」
「だからいいのです」
 そのだ。ブランデーがいいというのだ。
 そう話してだ。佐藤が持って来たブランデーを見る。それは彼が座るテーブルの上に置かれた。そしてそのボトルとグラスを見ながらだ。
 今度はだ。そのボトルの緑色の丸い姿を見てだ。話すのだった。
「この形もいいんだよ」
「ボトルのですか」
「色もいい」
 その緑色のガラスもだというのだ。
「とてもね。いいね」
「日本のものとは離れた」
「西洋風のね。ただ」
「ただ?」
「西洋は確かにいいよ」
 そのだ。西洋を肯定してからだ。
 そのうえでだ。彼はこうも話すのだった。
「けれどここは日本だよ」
「はい、確かに日本です」
「それが余計にいいんだ」
「いいのですか」
「日本の。この文化や風土の中で西洋のものが楽しめる」
 それがいいというのだ。
 
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