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適える初恋

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第三章

「僕が高校を卒業したら」
「おい、まさか」
「まさかと思うけれど」
「うん、プロポーズするってね」
「おい、本気か」
「二十歳も年上の人に」
「本気だよ、先生も待ってくれるって言ってるから」
 そのニキータもというのだ。
「だからね」
「先生とか」
「結婚するのね」
「そのつもりだよ」
 完全に本気の言葉だった。
「僕はね」
「考えなおせ」
 ロベルトも本気で息子に言った、表情も極めて深刻だ。
「二十歳年上だぞ」
「わかっているよ」
「それでもか」
「うん、僕は先生と結婚するよ」
「年齢は関係ないのか」
「そう思ってるよ」
「先生もか?」
「そうだよ」
 相手もというのだ。
「卒業式で僕の告白受けてくれから」
「そうなのか」
「だからね」
「高校を卒業したらか」
「うん、働くから」 
 そうして社会人になってというのだ。
「僕は先生と結婚するよ」
「だからそれはな」
「そう、考えなおしなさい」
 オパラも我が子に必死の顔で言った。
「二十歳も年上の人よ」
「幾ら何でも離れ過ぎているだろ」
「無理よ、そんな結婚は」
「上手くいく筈がないだろ」
「僕達は幸せになるよ」
 これがフェリペの考えだった、彼は確信していた。
「何があってもね」
「だからか」
「結婚して幸せになるの」
「うん、本気だから」
 誰が何を言おうとも、という言葉だった。
「僕はね」
「だから止めろ」
「幾ら何でも無理よ」
 両親はあくまで言う、しかしだった。
 フェリペは聞かない、何度も何度も言ってもだった。それは彼の両親だけでなくだった。周りの他の者達もだった。
 フェリペの親しい友人達もだ、彼に本気で忠告した。
「年上なんてものじゃない」
「親子位離れてるんだぞ」
「そんな人と結婚してどうするんだ」
「中学生でそんなこと言うのか」
「幾ら何でも無茶だ」
「非常識だろ」
 彼等も彼の両親と同じ考えだった。
「別の人選べ」
「絶対他にいい人がいる」
「二十歳年上なんて無理だ」
「幾らその人が魅力的でもな」
「いや、僕は決めたんだ」
 フェリペは彼等にも同じことを言った。 
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